3)予定稿
(20120705 国会事故調 本編 pdf273枚目〜276枚目(2号機 社長の一声で、、むき出しになった燃料棒).pdf(pop))
1)『 3月14日
15:53 2号機のS/Cの水温が130℃を超えていたため、福島第一原発では、SR 弁を開いても水蒸気が十分に
凝縮されず、炉圧が下がらない可能性が高いとの見解で一致していた。このため、減圧のためには、
SR 弁を開く前にPCV(格納容器)ベントによってS/Cの圧力及び水温を下げ、原子炉圧力を下げる
ことが必要であると認識されていた。』
2)『 16:12 本店高橋フェローは、官邸から直ちに2号機の注水を行うよう要請があったことを報告した。』
3)『 16:15 班目委員長から吉田所長に電話があり、2号機の減圧について「 PCV ベントラインを生かすより、
(SR弁を開き)減圧して注水を先にすべきではないのか。減圧すれば水は入っていくのだから、
早く水を入れるべき」との意見が伝えられた。
その後、班目委員長の提案について、福島第一原発及び本店で検討を行った結果、現状S/Cの温度が
高いため、蒸気が凝縮せず十分な減圧を行うことができない可能性があり、注水を行うことができな
いまま水位だけ急低下するリスクが懸念されたため、東電の方針(ベントラインの構成を最優先とす
る方針)で続行することとなった。』
4)『 16:20 上記を受け、吉田所長は、現場に対してベント予定時間を 17 時と設定し(TAF(有効燃料頂部)到達
予想時刻 17 時 30 分)、引き続き PCV ベントライン (W/W(ウェットウェル))の構成を優先する
ように指示した。また、吉田所長は、本店に対して、班目委員長への説明及びフォローを行うよう要
請した。』
5)『 16:22 既に W/W ベントライン構成の準備をしていた作業員から、電源を接続したがベント弁が動かない旨の
報告があった。また、同作業員によると、空気を送るためのコンプレッサーは作動しているため、圧力
が不足している可能性があるが、圧力の測定手段がないため、方策としては動くまで待つしかないとの
ことであった。』
6)『 16:23 上記やり取りを聞いていた清水社長は、吉田所長に対し、班目委員長の意見に従って先に SR弁を開ける
よう指示を行なった。(略)』
7)『 16:28 吉田所長が、2号機 SR弁開放による減圧操作を指示。』
8)『 18:00 ごろ 2号機 SR弁が開になるが、注水は依然として行われない。』
9)『 18:02 吉田所長は官邸に対して、2号機 SR 弁を開き減圧操作を行なったものの、蒸気が凝縮せず十分に
減圧できないまま炉水位が低下し、芳しくない状況であることを説明した。
「東京電力の吉田でございます。2号機は SR 弁が開きましたが、格納容器内の温度が高いもんです
から、なかなか蒸気が凝縮しない。その状態で炉水位が下がっているというあまり良くない状況で、
まぁ下がったは下がったんですが、そういう状況におるということを報告させていただきます」 』
10)『 18:22 炉水位の急速な低下により、2号機の水位はマイナス3700mm となり、燃料がむき出しの状態と
なった。』
以上、コメント:国会事故調の編集のせいかも知れないが、数的根拠が欠けているのが気になる。
以下、コメントの前に
(20140806 未解明問題 pdf371〜372枚目(3号機の事例より:SRVの弁体自身の自重は 343kPa).pdf(p)
『 (※)SRV において、弁体と弁棒の接続は弁体に偏芯荷重が加わらないよう軸方向
には固定していない。SRVを原子炉が冷温状態(無負荷)で開操作すると、
弁体自身は引き上がらず弁座面に乗ったままである。残った弁体を全開する
ために必要な弁体前後の差圧は、主蒸気逃がし安全弁機器設計仕様書による
と 3.5kg/cm2(=343kPa)である。13日3時前後の格納容器圧力は計測され
ていないものの、前後の時間で計測できている値から推定すると
200kPa[gage]程度はあったと考えられる。したがって、原子炉圧力は
543kPa[gage]程度必要となる。 』
上記は3号機の事例であるが、上記を手掛かりに2号機における事象を解明することとする。
なお、下記pdfは上記3号機の事例を理解しやすくするための参考図面である。
(20111226 政府事故調(中間報告)第4章資料 pdf8枚目(SR弁の作動原理イメージ).pdf(pop))
上記3号機の事例を書き直すと、
[SR弁の弁体を全開させるために必要な圧力] は、 [弁体自体の重さの圧力 343kPa] + [格納容器の圧力] ということに
なる。
上記 [格納容器の圧力] がなぜ加算されているかというと、上記pdf内の図において S/C へ抜けた蒸気圧が、[背圧] と
なって弁体を押さえ付けるからである。
上記 [背圧] については、S/Pの水温が100℃未満の場合は、蒸気がS/Pに吸収されるので、[背圧] が発生することはない。
つまり、S/Pの水温が100℃未満の場合は、圧力抑制室の圧力抑制機能が機能している状態である。だから [背圧] は発生
しない。
さて、S/Pの水温が100℃を超えると、蒸気がS/Pに吸収されにくくなり、格納容器の圧力が上昇すると共に [背圧] が発生
するようになる。こうなると原災法第15条報告対象事象である [
圧力抑制機能喪失] に該当する。
なお、前記において、 [SR弁の弁体を全開させるために必要な圧力] 以上に [原子炉圧力] が高ければ、原子炉の蒸気は
SR弁を抜けて S/C へ放出され、原子炉の圧力が下がる。
上記を書き換えると、 [原子炉圧力] が [SR弁の弁体を全開させるために必要な圧力] 以下になった場合は、 [原子炉圧力]
はそこで下げ止まるということである。原子炉圧力はそれ以下には下がらない。
さて、 [原子炉圧力] が [消防自動車の吐出圧力500kPa] より低くなれば、消防自動車からの代替注水が可能である。
つまり [消防自動車の吐出圧力500kPa] - [弁体自体の重さの圧力 343kPa] = 157kPa であるので、格納容器の圧力が、
157kPa になるまでは、代替注水が可能である。
つまり、格納容器の圧力が157kPa を超えている場合は、例え SR弁を開放したとしても、原子炉水位が下がるだけで、
原子炉圧力が、消防自動車で代替注水が可能な500kPa以下に低下することは無い。
以下、コメント
1)『 3月14日
15:53 2号機のS/Cの水温が130℃を超えていたため、福島第一原発では、SR 弁を開いても水蒸気が十分に
凝縮されず、炉圧が下がらない可能性が高いとの見解で一致していた。このため、減圧のためには、
SR 弁を開く前にPCV(格納容器)ベントによってS/Cの圧力及び水温を下げ、原子炉圧力を下げる
ことが必要であると認識されていた。』
上記S/C(S/P)の水温が100℃を超えた時点で、原災法第15条報告対象事象である「
圧力抑制機能喪失」に該当するが
その報告が行われていない。
ちなみに、上記130℃は約270kPaである。
もはや、SR弁を開いても、原子炉圧力は613kPa(343kPa+270kPa)より下がることはなく、消防自動車の吐出圧力
500kPaより下がることはないので、SR弁を開いても消防自動車を使用しての代替注水は不可能である。
2)『 16:12 本店高橋フェローは、官邸から直ちに2号機の注水を行うよう要請があったことを報告した。』
3)『 16:15 班目委員長から吉田所長に電話があり、2号機の減圧について「 PCV ベントラインを生かすより、
(SR弁を開き)減圧して注水を先にすべきではないのか。減圧すれば水は入っていくのだから、
早く水を入れるべき」との意見が伝えられた。
その後、班目委員長の提案について、福島第一原発及び本店で検討を行った結果、現状S/Cの温度が
高いため、蒸気が凝縮せず十分な減圧を行うことができない可能性があり、注水を行うことができな
いまま水位だけ急低下するリスクが懸念されたため、東電の方針(ベントラインの構成を最優先とす
る方針)で続行することとなった。』
もし仮に、班目委員長が「圧力抑制機能喪失」報告を目にしていたとしたら、班目委員長の上記意見が変わっていたか
どうかは定かではない。
この頃、冷却水は毎分2cmの速度で低下しており、
(20110516 8. プラント関連パラメータ(訂正後)pdf40〜pdf56枚目(2号機:数表データ(14日以降)).pdf(p))
16時20分にTAFに達し燃料露出が始まっている。
4)『 16:20 上記を受け、吉田所長は、現場に対してベント予定時間を 17 時と設定し(TAF(有効燃料頂部)到達
予想時刻 17 時 30 分)、引き続き PCV ベントライン (W/W(ウェットウェル))の構成を優先する
ように指示した。また、吉田所長は、本店に対して、班目委員長への説明及びフォローを行うよう要
請した。』
5)『 16:22 既に W/W ベントライン構成の準備をしていた作業員から、電源を接続したがベント弁が動かない旨の
報告があった。また、同作業員によると、空気を送るためのコンプレッサーは作動しているため、圧力
が不足している可能性があるが、圧力の測定手段がないため、方策としては動くまで待つしかないとの
ことであった。』
6)『 16:23 上記やり取りを聞いていた清水社長は、吉田所長に対し、班目委員長の意見に従って先に SR弁を開ける
よう指示を行なった。(略)』
(20111226 政府事故調(中間報告)第4章資料 pdf31枚目(吉田所長vs班目委員長).pdf(pop))
7)『 16:28 吉田所長が、2号機 SR弁開放による減圧操作を指示。』
(20120914 2011年3月14日16時37分(原災法第15条-61報(FAX)).pdf(pop))
『 2号機は本日16時34分より原子炉の減圧操作を行うとともに海水に注入作業を開始する。
原子炉水位:+-0mm(燃料域) 原子炉圧力:6.998MPa 格納容器圧力:0.42MPa 』
SRVの弁体自重と格納容器圧力の背圧の合計が消防自動車の吐出圧力をはるかに超えて
いるので、原子炉の減圧操作をいくら行なってみたところで、海水の注入はできません。
実はこれが悪夢の始まりである。耐圧ベントにはラプチャーディスクという安全弁がついており、
格納容器圧力が0.427MPa[gage]を超えないとベントが出来ない仕組みになっている。
2号機の格納容器圧力は:0.42MPa[abs] - 0.1013MPa = 約0.32MPa[gage] であり、
ラプチャーディスク作動圧0.427MPa[gage]よりもはるかに低いので、背圧を下げようにも
ベントが出来ない。
ベントが出来ないから、背圧が下がらず、背圧が下がらないから、海水注入が出来ず、の
デッドロック状態の抜き差しならぬ泥沼にはまり込んでしまったのである。
燃料の崩壊熱により沸騰した冷却水が安全弁から吹き出して、燃料がむき出しの状態となる
のを見ているしか仕方がなかったのである。
つまり、下記の対応案は、両方間違いだったことになる。
(20111226 政府事故調(中間報告)第4章資料 pdf31枚目(吉田所長vs班目委員長).pdf(pop))
但し、間違いは条件付きである。
耐圧ベントにこだわらず、SGTSベントを行う方法。
8)『 18:00 ごろ 2号機 SR弁が開になるが、注水は依然として行われない。』
炉圧が、消防自動車の吐出圧力500KPaよりも下がらないため、注水が出来ない。当然の結果である。
9)『 18:02 吉田所長は官邸に対して、2号機 SR 弁を開き減圧操作を行なったものの、蒸気が凝縮せず十分に
減圧できないまま炉水位が低下し、芳しくない状況であることを説明した。
「東京電力の吉田でございます。2号機は SR 弁が開きましたが、格納容器内の温度が高いもんです
から、なかなか蒸気が凝縮しない。その状態で炉水位が下がっているというあまり良くない状況で、
まぁ下がったは下がったんですが、そういう状況におるということを報告させていただきます」 』
10)『 18:22 炉水位の急速な低下により、2号機の水位はマイナス3700mm となり、燃料がむき出しの状態と
なった。』
もし、残留熱除去系を応急復旧させていれば!
安全性を担保するもの。
冷温停止完全自動化。出来ないのなら、なぜ出来ないかを明らかにすることに意味がある。
運転能力維持を担保するもの。
自治体の長に年に1回の無申告外部電源遮断権限を与える。運転員の対応力維持に資する。
その他。
参勤交代制:役員の親族を原発敷地内に住まわせる。
高濃度放射性廃棄物の最終処分。
出雲方式:原発敷地内に保管し、60年に1回点検を行い、保管庫を移し替える。
伊勢方式:原発敷地内に保管し、20年に1回点検を行い、保管庫を移し替える。
東電騙しの手口:
東電の情報操作「吉田神話的お涙頂戴的浪花節的情報操作的文学的叙情報告書」