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pdf版-1)
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pdf版-6)
pdf版-7)
知らなければ騙されます
。
騙されないためには(特に裁判官は)知らなければなりません
。
5)最高裁 -
6.17
不当判決のカラクリ
2022年6.17に最高裁が不当判決を捻り出したカラクリを科学的技術的論理的に提供します。
最高裁判決を良しとすれば、福島原発訴訟について国は賠償をしなくてもよいということ
になり、国の情報戦に最高裁が取り込まれたままの
虜状態
で出した「
最高裁の虜判決
」を
原発事故避難者に強いることになり、又、全国約30件の同種訴訟における「
虜判決
」
妄信
ドミノ
を許すことになります。
妄信ドミノ例
:
20231226東京高裁逆転判決(部分)
.pdf(popup)
かくなる上は、虜判決のカラクリを裁判官に知らせ虜状態から解放しなくてはなりません
。
全国約30件の同種訴訟の中の不当な判決の是正を促すため、
gemini.to
を共有拡散願います
!
以下、
福島原発訴訟原告団・弁護団Webサイト
より
『 2022年6月17日、最高裁判所第二小法廷(菅野博之裁判長)は、福島第一原発事故の被
害者が提起した生業訴訟、群馬訴訟、千葉訴訟、愛媛訴訟の4訴訟において、
国が規制
権限を行使しなかったことについて
、
国の責任を認めないとの判決
を言い渡しました。
裁判官全員一致の判決ではなく、3対1と意見が分かれた判決でした
。』
以上、
福島原発訴訟原告団・弁護団Webサイト より引用させていただきました。
3.11の原発事故前に「
国が規制権限を行使しなかった
」
規制権限
とは
経済産業大臣には
、公共の安全を確保し、環境の保全を図るために、下記に示すような
運転
停止を含む強力な規制権限が与えられています
。
特に原子力発電事業者が命令に違反した場合には懲役を含む罰則があります。
電気事業法
『
(技術基準適合命令)
第四十条
経済産業大臣は
、事業用電気工作物が(略)
省令で定める技術基準
に適合し
ていないと認めるときは
事業用電気工作物を設置する者に対し、その技術基準に適合す
るように事業用電気工作物を修理し、改造し、
若しくは移転し
、若しくは
その使用を一
時停止すべきことを命じ
、又は
その使用を制限することができる
。』
『
(罰則)
第百十六条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三年
以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
四 第四十条(原子力発電工作物に係る場合に限る。)の規定による命令又は処分に
違反したとき。』
発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令62号 4条1項
(当時)
『
(防護措置等)
第四条
原子炉施設
並びに一次冷却材又は二次冷却材により駆動される蒸気タービン及
びその附属設備
が
想定される
自然現象
( 略 、
津波
、略 )
により原子炉の安全性を
損なうおそれがある場合は
、
防護措置
、基礎地盤の改良
その他の適切な措置を講じな
ければならない
。』
原子力発電所は、膨大な電力を生み出す一方、その稼働により内部に多量の人体に有害な放
射性物質を発生させており、事故により放射性物質が外部に漏れ出せばその被害は甚大なも
のなります。そのため、経済産業大臣は、原発事故を未然に防ぎ、放射性物質漏出事故を未
然に防ぐための国としての監督指導責任を負っています。
もし、国が原子力事業者の自主規制にのみ任せ、国の責任を放棄し野放しにし責任逃れをす
るのであれば、危険極まりないことになるのであって、そのようなことならば、そのような
危険物の設置稼働を地元自治体が許すことはあり得ず、国民もまたそれを許すことはないで
しょう。
仮に、新たな津波の痕跡が発見されたとして、
津波が来れば炉心損傷しかねない状態にある
のに、原子力事業者においてそのような事態の発生を防止すべく適切な対応が取られていな
い場合、周辺の住民が自ら被害を回避することは事実上不可能であって、経済産業大臣の規
制権限の行使によってしか安全を確保することができません。ですから、経済産業大臣に
運
転停止を含む強力な規制権限が与えられているのです
。
経済産業大臣が、技術基準に定められた「津波により原子炉の安全性を損なうおそれがある」
原子炉施設に対して適時かつ適切に技術基準適合命令を発するためには、
津波に関する科学
的知見を継続的に収集し
、原子炉の安全性が損なわれればその被害が甚大になり得ることに
鑑み、最も過酷と想定される津波について、これを予見していなければなりません。規制当
局はそのような仕組みを組織に組み込み、規制権限を適時かつ適切に行使することが出来る
ような体制を取っていなければならないのです。
一般的に営利を目的とした原子力事業者においては、利益追及のために
安全対策を怠る方向
に向かったり、問題先送りといった傾向が生じ易いことは否定できないことから
、
規制当局
は、原子力事業者にそうした傾向が生じていないかどうか不断に注視しつつ
、安全寄りの指
導・規制をして行かなければ、法の趣旨からしてその職責を果たせないのです。
原子力事業者にとってみても原子力事業者任せは穴が開きやすく良くないのです。
国から背
中を押された方が原子力事業者も動きやすいのです。
大変な危険物であるからしてその取り扱いについて
きちんとした国の監視システムが機能す
るようになっていなければ
しょせんおかしいのです。
つまり、経済産業大臣は、事故を起こすことになるかも知れないような原子炉を
運転させてはならないのです。
(当たり前の事だと思われるかも知れませんが、
その当たり前が当たり前ではなかったから、3.11のような大事故が起こったので
す。)
国家賠償法
『 第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、
故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これ
を賠償する責に任ずる。
② 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共
団体は、その公務員に対して求償権を有する。』
以上、まとめておくと、
規制当局は、公共の安全を確保し、環境の保全を図るために、
津波に関する科学的知見を
継続的に収集し
、
原子力事業者が安全対策を先送りしていないかどうか不断に注視しつつ
、
運転停止を含む規制権限を適時かつ適切に行使し、原子力災害を未然に防がなければなら
ないし、その被害の甚大さに鑑み、それを未然に防ぐための強力な罰則付きの規制権限を
法により与えられているのであるからして、規制権限の不行使により、公共の安全を確保
することに失敗し、あるいは環境の保全を図ることに失敗すれば、国はそれを賠償しなけ
ればならない。
国にその覚悟がないのであれば、原発そのものがこの日本に存在してはならないのである。
以上の覚悟が規制当局に無いのであれば、原子力の安全な利用などは絵に描いた餅である。
さて、冒頭の、国家賠償請求訴訟においては、最高裁は
国が規制権限を行使しな
かったことについて
、3対1で
国の責任を認めない
(つまり、国に責任は無い。よ
って、国家賠償責任はない)
との判決を出しています。
しかるに、3.11よりも前に、福島第一原発に大事故を起こすことに
なるかも知れないような、つまり、国が電気事業法第40条に基づく
規制権限を行使しなければならないような幾つかの場面があったの
です。
(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の8年7カ月前
(国によるプレート間大地震予測)
下記は、阪神淡路大震災(平成7年=1995年)を契機に発足し、長期的に発生し得る地震
の規模や確率を地域別に予測する国の地震調査研究推進本部(文部科学省に設置)が公表
した長期評価
三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について
(2002年7月31日公表)
(下記は、上記を抜粋編集したもの)
なお、下記は、上記を引用した
最高裁判決文3〜4頁
よりの抜粋である。
『 本件
長期評価
は、(略)
マグニチュード8クラスのプレート間大地震(津波地震)については、
今後30年以内の発
生確率が20%程度
、(略)、
その地震の規模は、津波マグニチュード8.2前後と推定され
る
こと等を内容とするものであった。』
なお、ここで、再確認しておくが、
規制当局は、公共の安全を確保し、環境の保全を図るために、
津波に関する科学的知見を
継続的に収集し
、
原子力事業者が安全対策を先送りしていないかどうか不断に注視しつつ
、
運転停止を含む規制権限を適時かつ適切に行使し、原子力災害を未然に防がなければなら
ないし、その被害の甚大さに鑑み、それを未然に防ぐための強力な罰則付きの規制権限を
法により与えられているのであるからして、規制権限の不行使により、公共の安全を確保
することに失敗し、あるいは環境の保全を図ることに失敗すれば、国はそれを賠償しなけ
ればならない。
次項目は、上記の国(文科省に設置された地震調査委員会)による長期評価(大地震予測)
から
4年2カ月後のことである
。
なお、この4年2カ月間の規制当局の動向について、
本判決には何も記されていない
。
本判決に書くに足るべき規制当局の動向が無かったのか、本判決がこの4年2カ月間を取るに
足らないと考えていたのかどうかについてはよく分からない。
(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の4年半前
大津波による原発大事故の4年半前(2006年9月)に、国(原子力安全・保安院)が原子
力事業者に、
「
耐震安全性
(含。
津波に対する安全性
)」の評価を実施し、
その結果
を国に報告するようにとの指示を出していました
。
つまり、最も大きい津波を想定して、それに耐えられる施設であるかどうかを評価し、
その結果を国に報告するように指示を出していたのです
。
原発事故時の被害の甚大さに鑑み、上記を満たしたものでなければ東電は運転をしてはな
らなかったし、また
国は運転をさせてはならなかったのです
。
上記の国の指示は、残念ながら、事故を軽減するとか避けるとかの結果には繋がらなかっ
たのです。
国の指示が効力を発揮しなかったとすればその問題は根深いのです。
その根深い問題に迫って行きます。
下記は、上記の指示に基づき東電が原子力安全・保安院へ提出した
実施計画書
の一部分です。
(下記、
東電プレスリリース20061018
添付資料
当社原子力発電所における耐震安全性評価実施計画の概要(部分))
東電の計画書によれば「津波に対する安全性」の評価を含めて、平成21年(2009年)6月に
国に最終報告書を提出することになっていました。
3.11(2011年)より2年近くも前に最終報告書を提出することになっていたのです
。
3.11よりも前に津波に対する安全性が確保されていてしかるべきだったのです。
ハード(防潮堤、水密対策)であれ、ソフト(津波被水モータ即時交換体制or運転停止)で
あれ。
それが、なぜ、3.11のような大事故が
。
国も
、
東電も
、なぜ、3.11のような大事故を防ぐことにならなかったのか
。
その不思議に迫って行きます。
(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の4年5カ月前
3.11の4年5カ月前に、
非常用海水ポンプ
の津波脆弱性
について、下記のような
口頭での指示(東電は「指示」ではなく「要望」と受け取っている)がありました。
下記、電事連 = 電気事業連合会
この要望を各社上層部に伝えるように、という話を口頭で電事連が受けています
。
下記平成18年 = 2006年10月6日
(下記、別件-福島原発刑事裁判第1回公判-20170630-要旨告知された証拠より。)
福島第一原発の主要な建屋は海抜10mの敷地上にありますが、
非常用海水ポンプは
海水をくみ上げる関係で海側の敷地を6m掘り下げて
海抜4mの敷地を作りその上に
設置されています
。
上記で言うところの
非常用海水ポンプ
とは、
残留熱除去海水系ポンプ
のことです。
残留熱除去海水系ポンプ
は原子炉のメルトダウンを防ぎ冷温停止に持ち込むという
重要な機能を持っていますが、海水を利用して海水へ放熱しているという関係から
海の近くに置かざるを得ずプラントのアキレス腱なのです。
残留熱除去海水系ポンプ
は、プラントで最も重要な電動ポンプですので、現用1台
に対し3台もの切替予備を持っています。4台が同時に故障することは有り得ないと
され、運転が認可されているわけですが、有り得ない想定外の津波が来た場合は切
替予備もろともモータが被水して故障し、原子炉から海水への残留熱の除去(放熱)
機能が全滅してしまい、上記の炉心損傷になるということになるのです。
非常用海水ポンプ
に津波脆弱性が有って炉心損傷になる恐れが
あるということを、3.11の4年半前に国は気に掛けていたので
す。
(最新の地震予測による津波の発生を気に掛けたと思われますが詳細は不明です)
国が気に掛けていながら、あのような大事故が起こったので
す。
追記。
そもそも津波で
非常用海水ポンプ
(特に残留熱除去海水系ポンプ)が全滅するような
事故は想定されておりません。その
証拠
に、あらかじめ想定し得る限りを想定した事
象ベースの事故時運転操作手順書がありますが、津波に関しては引き波(下降)発生
時のポンプ空回り破損防止の手順書はあるものの、津波上昇による被害時の手順書は
存在しません。つまり、津波上昇による被害は想定していないのです。どういう事か
というと、津波による被害が想定されるようになった場合には、それについての対処
が完了するまで原子炉を運転してはならないという事です。
これが事象ベースの事故時運転操作手順書が意味するものです。
なお、想定外の津波が想定されていましたが、これについては次項目で。
津波による
非常用海水ポンプ
の被害が想定されるようになった場合には、その被害の
甚大さに鑑みて、それについての対処が完了するまで、国は、原子炉を運転させては
ならないのです。
(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の3年1カ月前
下記平成20年 = 2008年2月5日
(下記、別件-福島原発刑事裁判第1回公判-20170630-要旨告知された証拠より。)
この頃、東電内部で、
国の長期評価に基づき30年以内に20%程度の確率で発生
する
とされた地震予測による津波を試し計算したところ
非常用海水ポンプ 5.4m〜6.1m
を
3m〜4mも上回る
8.4m〜10.2m
という結果になったのです。試算された津波が
実際に発生した場合、後述する
「原子力緊急事態に至る可能性のある事象」
に即該
当する事故になります。
この試算は無視できないことから上記あるいは次項のよう
な動きになったのです。
大津波による炉心損傷事故は、決して荒唐無稽の絵空事ではなかったのです。大事
故の発生はかなり高い確率で決して予言ではなく科学的に予測されていたのです。
国の長期評価による地震予測を前提にすれば、その津波により
非常用海水ポンプ
の
全滅が想定されており、津波に対する安全性を欠いており、もはやもぐり運転です。
もし、原発建設時に上記の状態だったとしたら運転許可は出ていなかったはずです。
もはや違法運転です。
3.11の3年前に大津波が予測されていたのです。
3.11の大津波は決して突然ではなかったのです。
(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の約2年8カ月前
下記平成20年 = 2008年7月31日
(下記、東電事故調査報告書20120620 本編pdf44枚目(23頁)の一部分)
東電内部では、津波対策をあれやこれや、検討中でした。
(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の2年4カ月前〜3.11の1年9カ月前
耐震安全性の評価報告書 2008年12月3日〜2009年6月30日 提出分の抜粋
ちなみに、津波試算で対策が不要な場合の報告事例 - 1
(下記、
東電プレスリリース20081203
柏崎刈羽原子力発電所7号機
における「発電用
原子炉施設に関する耐震設計審査指針」の改訂に伴う耐震安全性評価結果報告書の提
出について の 添付資料の5頁目の一部分)
何も問題がなければ実にシンプルで、報告にそう時間はかからないのです
。
以降、太平洋側の原発の報告に時間がかかっているのは何か問題がある証拠なのです。
問題が判明したら運転を続けていてはいけないのです。
問題を隠蔽して運転を続けていてはいけないのです。
報告に時間がかかっていたら当局は監督指導しなければならないのです。
上記のプレスリリースの5日後、
(津波の安全性に疑義がある発電所については)
最終報告書の提出を延期
(下記、
東電プレスリリース20081208
「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」
の改訂に伴う福島第一原子力発電所および福島第二原子力発電所の耐震安全性評価の
延期について の 一部分)
先に
東電プレスリリース20080331
において「津波に対する安全性については、最終報告
で結果を示す。」として先送りしておいて、今度はその最終報告を延期するというので
す。
危険運転継続のための延期です
。
報告書を正直に提出すれば運転停止を命じられるので、それを避けているのです。
いや、報告書を出しようがないのです。
(下記、東電事故調査報告書20120620 本編pdf35枚目(14頁)の一部分)
危険運転中の原子力プラントの「津波の安全性」についての報告時期が未定だなんてダメ
ですよ、ダメ、ダメ。漏れ出せば数十万人を故郷から追いやるような危険物を取り扱って
いるという認識がまるでない。
保安院が対応しなかったらダメですよ。
東電の呆れた言い草
(下記、東電事故調査報告書20120620 本編pdf43枚目(22頁)の一部分)
国の指示の仕方が悪いと言わんばかりのことが書いてある。
すでに最終報告が出されている柏崎刈羽原発7号機にしても6号機
にしても「
その中で最も大きい津波を想定しても
」としているでは
ないか。
漏れ出せば数十万人を故郷を失うという悲しみのどん底に突き落と
すような危険物を取り扱っているという認識が全く欠如している。
平成21年6月 = 2009年6月の福島第一原子力発電所1〜4号機、6号機の中間報告
(下記、
東電プレスリリース20090619
「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」
の改訂に伴う福島第一原子力発電所の耐震安全性評価結果中間報告書(改訂版)等の
経済産業省原子力安全・保安院への提出について の 一部分)
『(略)
(略)、当初予定していた時期の
最終報告を延期
し、(略)。
(略)
今後、最終報告について、可能な限り速やかにとりまとめ、原子力安全・保安院へ
提出いたします。』
すぐにでも出せそうなニュアンスを残して、延期後の報告時期は示されず、未定。
(下記、
同上 東電プレスリリース20090619 添付資料(添付1)
の1頁目の一部分)
「津波に対する安全性」は「最終報告において結果を示す予定」で、
その「最終報告」は「延期」。
欠陥原発を継続して運転するためのあからさまな欠陥隠しです。
これは事件です。
国は事件の見逃しです。
(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の1年半前
※ 下記は、
政府事故調査委員会ヒアリング記録
より、
原子力安全・保安院の津波対応抜粋20110831
※
下記は、3.11の1年半前(2009年9月7日)の
貞観津波の試算
の東電の説明を受けて。
貞観津波の試算は8.7m〜9.2m
もあり
非常用海水ポンプの5.4m〜6.1m
を3m以上超
えていたのです。そのことを国の担当者は知ったのです。貞観津波と同規模の津波
が来れば海水ポンプのモータが被水し原子炉の除熱が出来なくなり最悪メルトダウ
ン至ることが東電では現実になっていたということを国の担当者は知ったのです。
上記の非常用海水ポンプは、残留熱を海水へ放熱して、
炉心損傷
を防ぐための重要
なものであることから、省令62号4条1項の「津波により原子炉の安全性を損な
うおそれ」がないものでなければならないところ、津波堆積物から予測した場合、
津波に対する安全性を3m以上も欠いているのであるからして
電気事業法第40条の
技術基準適合命令
の対象であり、
命令を出さなければ国の規制権限の不行使である
。
国の規制権限は法に則り厳然と粛々と行使されなければならなかったのである
。
(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の1年半前
※ 下記は、
政府事故調査委員会ヒアリング記録
より、
原子力安全・保安院の津波対応抜粋20110831 ※
下記は、3.11の1年半前(2009年9月7日)の
貞観津波の試算
に関わる東電の発言。
東電の上記発言は、国による運転規制を気に掛けてのものであると思われる。
(注。原発設置時に運転認可をしているのになぜこのようなことが起こるかという
と、一例として原発設置時には発見されていなかった津波の痕跡が後から新
たに発見された場合にはこのようなことが起こり得る。
また、原子力発電所は漏れ出せば数十万人に危害を与え故郷から追いやるよ
うな危険物を取り扱っているという特殊性があり、リスクが微塵でもあった
ら運転してはならないし、また
運転をさせてはならない
。
国には原子力事業者からタイムリーに情報収集しタイムリーに
権限を行使し
原発事故を未然に防ぐ責務がある。)
もし、国に
権限を行使し
事故を未然に防ぐような能力が無いとするならば、
あるいは手に余るというならば、あるいは
想定外
の事故だったというような
ことになるならば、原発はやはり得体の知れない危険物ということになり、
この日本に原発が存在するようなことがあってはならないということになる。
(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の1年半前の頃
※ 下記は、
政府事故調査委員会ヒアリング記録
より、
原子力安全・保安院の津波対応抜粋20110831 ※
(新潟県中越沖地震は2007年7月16日、駿河湾地震は2009年8月11日)
これは国の組織的な問題です。
津波の問題を吸い上げる機能が欠落していたのです。
(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の1年前
2006年9月の国の指示に基づく耐震安全性評価に係る報告書の
発電所別提出比較
柏崎刈羽原発
7号機中間報告2008年11月04日
(津波評価については最終報告で結果を示す予定)
中間報告から1カ月後、
7号機最終報告2008年12月03日
(含。津波評価)
6号機最終報告2009年05月19日(含。津波評価)
1号機中間報告2010年03月04日(含。津波評価)
中間報告から3週間後、1号機最終報告2010年03月24日
上下を比較してみて下さい。津波の問題がなければ最終報告がさっさと出せるのです。
下記の福島第一原発に関する報告書提出状況は明らかに変です。異常です。
福島第一原発
(2008年3月:最新の津波試算:
非常用海水ポンプ
を
3m〜4mも上回る
津波が来る。)
5号機中間報告2008年03月31日
(
津波評価
は、2009年6月提出予定の
最終報告
で、
ということになっていたが、
2008年12月8日のプレスリリースで
「2009年6月予定の
最終報告
を延期します。」
中間報告から
2年を経過するも
、東電からの「津波に対する安全性」評価を含む最
終報告は
未だ無い
。
3号機中間報告2009年06月19日
(
最終報告
(
津波評価
)は可能な限り速やかに提出予定
中間報告から
9カ月を経過するも
、東電からの「津波に対する安全性」評価を含む
最終報告は
未だ無い
。
1号機、2号機、4号機、6号機は上記3号機に同じ
なお、当初の実施計画書によれば、福島第一原発の
最終報告
は2009年6月の予定だった
。
「津波に対する安全性」の評価報告が、遅れに遅れているということは、
津波に関して何か大きな問題を抱えているであろうことを国は推して知る
べしである。
これではせっかくの「津波に対する安全性」の評価の意味がありません。
最終報告書が出せない、つまり「津波に対する安全性」の確認報告が出せないという
ことは、
津波に対する脆弱性を抱えたまま運転している
ということです。
最終報告を遅らせている原因の非常用海水ポンプは、残留熱を海水へ放熱して
炉心
損傷
を防ぐための重要なものであることから、省令62号4条1項の「津波により
原子炉の安全性を損なうおそれ」がないものでなければならないところ、国の長期
評価に基づく地震予測から津波を試算した場合、
津波に対する安全性を3m〜4mも
欠いているのであるからして
電気事業法第40条の
技術基準適合命令
の対象であり、
命令を出さなければ国の規制権限の不行使である
。
国の規制権限は法に則り厳然と粛々と行使されなければならなかったのである
。
そんなさなかに原発推進側(エネ庁)が安全規制側(保安院)をないがしろにするという
とんでもない出来事が・・・・・。
(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の1年前
※ 下記は、
政府事故調査委員会ヒアリング記録
より、
原子力安全・保安院の津波対応抜粋20110831 ※
下記の、「当時」は「2010年3月頃」、「1F一3」は「福島第一原発3号機」。
国と東電の組織的計画的耐震偽装
(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の10カ月前
この頃、福島第一3号機のプルサーマル(MOX燃料使用)の話があり、それに先
立ち福島県知事から3号機の耐震安全性の評価が求められていた。
しかし、前記のように地震随伴事象による津波のリスクを抱えているとなれば、
プルサーマルどころか福島県知事の立場として即時運転停止せよという話にもな
りかねない。
さて、国策としてプルサーマルを進めようとするエネ庁(資源エネルギー庁)は
この評価積み残しをいったいどう処理するか。
(なお、30億円とも60億円とも言われるプルサーマル交付金が間に合ったかどう
かについては調べてみたがよく分からなかった。)
※ 下記は、
政府事故調査委員会ヒアリング記録
より、
原子力安全・保安院の津波対応抜粋20110831 ※
下記の「4月28日」は「2010年4月28日」である。
知ってか知らずか何れにしてもこれが原発の怖さです。原発には目に見えない怖さがある
のです。リスクを抱え込んだままそれをこのように処理させてしまう怖さがあるのです。
こと原発については何であれ例え一抹であったとして不安があったとしたらはっきりさせ
ておかないといけないのです。こと原発については問題を先送りしてはいけないのです。
(下記は、上記のレクの続き)
下記のことからして、本件は東電とも示し合わせた上での、耐震偽装大臣レクです。
福島県に対する国と東電の共同不法行為です。津波の試算を知らなければ過失、
知っていれば故意です。
耐震安全性の評価は、原子力安全・保安院(安全規制側)の専権事項であり、
資源エネルギー庁(推進側)にとやかく言われる筋合いのものではありません。
安全よりもスケジュールありきです。はい。
耐震安全性の評価に積み残しがあることは福島県には黙ったまま
話を進めましょうって、県知事にわざわざ確認すると「だったら
やってくれと」ということになるので積み残し部分は抜いて耐震
安全性の評価報告書の体裁を整えて仕舞いましょうって、こと安
全に関することについて昼間からそんな相談をしてはいかんでし
ょう。
上記大臣レクから、1カ月後、東電が動いた
津波抜きの報告書
福島県原子力発電所安全確保技術連絡会
へ
東京電力が5月31日に提出した
「福島第一原子力発電所3号機の耐震安全性について」
積み残しになっていた「津波に対する安全性の評価」については項目自体が含まれて
おりません。
さらに、上記の1カ月半後の東電のダメ押し
津波に対して安全です
福島県原子力発電所安全確保技術連絡会
へ
東京電力が7月12日に提出した
「福島第一原子力発電所3号機の耐震安全性について」
上記の最終頁が下記です。
上記は下記を隠蔽したでっち上げ資料です。福島県の技術連絡会は騙されていたのです。
30年以内に20%の確率で津波により稼働全機が同時に炉心損傷に直面するリスクがあり、
東電内部では対策をあれやこれや検討していたのです。
(下記、東電事故調査報告書20120620 本編pdf44枚目(23頁)の一部分)
上記大臣レクから、3カ月後の国の動き
津波抜きの報告書
福島県原子力発電所安全確保技術連絡会
へ
国(原子力安全・保安院)が提出した
「3号機の耐震安全性評価結果について」
の
中の9頁目が下記です。
上記の
「
経済産業大臣指示
に基づき
特別な扱い
として実施する」
とは、12頁目の
下記に示すように
「津波に対する安全性」
については、
評価項目から外す
という
とんでもない扱いのことです。
「ポンプはだめだなと思った」り「炉を止めるこ
とができるんですか。」と言われたりして、津波の危険性は認識していたはずで
すが・・・・・
上記の「津波」の安全性評価抜きは、津波脆弱性があると分
かっていながら、資源エネルギー庁との関係においてまた東
電との関係においてすったもんだを避けるために「津波」を
抜いたのであり、過失ではなく故意です。摩擦を避けるため
に、故意に「津波」を抜いたのです。いや、抜かざるを得な
い、自分の力ではどうしようもないことになっていたのです。
これは、国による耐震偽装(耐津波偽装)です。
例え、上司に命じられたとしても、やってはいけ
ないことをやってはいけなかったのです。
それが、経済産業大臣の指示であったとしても、
やってはいけないことをやってはいけなかったの
です。悲しいことです。人間が集団を作るとこう
ゆうことが起こるのです。
15頁目(東電で議論の的になっている非常用海水系ポンプが抜かされている。)
上図には残留熱海水系ポンプ(非常用海水系ポンプ)が書かれていません。
上図では残留熱の除去(原子炉から残留熱を取り除き消し去ること)は出来ません。
上図では下図の非常用海水系ポンプが評価対象から抜かされているのです。
上図の熱交換器と非常用海水系ポンプは当サイトが追加したもの。
この仕組みが無いと原子炉から海水への残留熱の除去が出来ずに原子炉の温度が上がる
ばかりで冷温停止に持ち込めずメルトダウンに至ります。
残留熱除去系ポンプと残留熱除去海水系ポンプ(非常用海水系ポンプ)の両方が動作し
て初めて意味を持つのです。
そして最終頁になんと書かれているか言うと、
リスク(津波)を隠したままの国からの報告です。
リスク(津波)を隠したままの国のお墨付きです。
東電にも運転のお墨付きを与えたことになります。
上記を受け、
福島県原子力発電所安全確保技術連絡会の事務局提出分
の
(資料7)
の
つまり福島県側の、プルサーマル受け入れのための安全性確認資料の最終頁になん
と書かれているかと言うと、
リスク(津波)を抱えたままの原子炉運転です。
3.11は、この7カ月後のことです。
安全規制側(原子力安全・保安院)が原発推進側(資源エネルギー庁)に
押し切られて(大臣を利用されて)、安全規制を破らされていたのです。
原発推進側の暴走です。恐ろしいことが起こっていたのです。報告書と実
体が乖離していたのです。
「ポンプはだめだなと思った」り、「炉を止めることができ
るんですか。」と言われたりしたことがあったものの、
運転
規制ではなく
、
逆に運転許可を出す結果に追い詰められてい
たのです
。
結果的に資源エネルギー庁が安全規制の足を引っ張ったこと
になったのです。
(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の7カ月前
下記平成22年 = 2010年8月27日
(下記、別件-福島原発刑事裁判第1回公判-20170630-要旨告知された証拠より。)
国も東電も 3.11よりも前に運転停止に該当するような津波脆弱性があることに気付
いていながら問題が大き過ぎるが故に双方決断が出来ずに、大きな問題を抱えたま
ま時がズルズル過ぎて行った。(これは原発が抱える本質的な問題です。)
大事故は想定されていた。
想定されていたから色々検討していた。
そして、そのまま、 3.11の大事故が発生してしまったのでした。
なお、本件放射性物質漏出事故は、明らかに「人災」です。
人間によるそのような工作物がそこに無ければ放射性物質が漏出
するようなことは無かったのです。
人間がそのような有害な放射性物質を生み出す工作物をそこに設
置し、しかも管理監督不行き届きのまま運転していたことから放
射性物質漏出事故が発生したのです。
想定外の津波が来たから放射性物質が漏出しても仕方がなかった
などという「天災」話に誤魔化され騙されてはならないのです。
(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11
(
東電は最終報告は出さず危険運転中だったのです
)
2006年9月の国の指示に基づく耐震安全性評価報告書の2011年3月11日までの
提出状況
下記の福島第一原発に関する報告書提出状況は明らかに変です。異常です。
福島第一原発
(2008年3月:最新の津波試算:
非常用海水ポンプ
を
3m〜4mも上回る
津波が来る。)
5号機中間報告2008年03月31日
(
津波評価
)
は、2009年6月提出予定の
最終報告
で、
ということになっていたが、
2008年12月8日のプレスリリースで
「2009年6月予定の
最終報告
を延期します。」
中間報告から2011年3月で
3年を経過、東電からの最終報告が無いまま3.11
。
3号機中間報告2009年06月19日
(
最終報告
(
津波評価
)は可能な限り速やかに提出予定
中間報告から2011年3月で
1年8カ月を経過、東電からの最終報告が無いまま3.11
。
1号機、2号機、4号機、6号機は上記3号機に同じ
なお、当初の実施計画書によれば、福島第一原発の
最終報告
は2009年6月の予定だった
。
津波に対する安全性の評価報告が遅れに遅れているということは、
何か大きな問題を抱えているであろうことは推して知るべしです。
これではせっかくの「津波に対する安全性」の評価の意味がありません。
最終報告書が出せない、つまり「津波に対する安全性」の確認報告が出せないというこ
とは、津波に対する脆弱性を抱えたまま運転しているということです。
炉心損傷に発展するような津波が想定されていて、津波が大き過ぎるが故に議論が収束
することがなく、そうかといって運転停止を起案する勇気もなく、最終報告を出すこと
が出来ぬままズルズル危険運転を続けていたのです。
これを見逃していたとすれば国の過失であり、これを見・逃していたとすれば東電と同
罪です。特に3号機(プルサーマル)については違反運転幇助です。
東電から中間報告はあったものの「津波に対する安全性」については先送りされており
3年が過ぎても最終報告が無いまま(東電は、このまま報告書を提出すれば運転停止に
なることが分かっているから報告書を提出しない。)、
そうかといって東電社内で地震による津波を理由に一時的な運転停止を起案するほどの
エネルギーは無く(理由付けが大変であり、空振りも怖い。)、
そうかといって津波による被水モータの24時間365日即時交換体制を取るといったよう
な一時的な運用面での代替手法の社内検討の動きもなく(そんな危険なものは職場環境
配慮義務違反であり運転出来ないと労働組合に言われて運転停止に追い込まれるかも知
れない。)、
そうかといって国による何の運転規制も無いまま
、
3.11がやって来てしまったのでした。
残留熱除去海水ポンプが全滅したまま長時間放置され(証拠後出)、これにより除熱機能
の喪失が長時間におよんだ結果、核燃料棒の発する2600℃の崩壊熱で核燃料棒が自ら溶
け落ち、鋼鉄製の圧力容器の底を突き破って格納容器内へと流れ出し、さらにはその輻射
熱で格納容器を変形損壊させるに至った。
この事故で有害な放射性物質が大量に飛散し周辺の住民十数万人が平穏に生活する権利を
奪われ掛け替えのない故郷を追われることになった。
(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の半年後
※ 下記は、
政府事故調査委員会ヒアリング記録
より、
原子力安全・保安院の津波対応抜粋20110824 ※
文中の「09年の件」とは「2009年9月7日の件」のことであり、
貞観津波、「炉を止めることができるんですか。」のことである。
(下記は、2011年8月24日、つまり3.11の半年後のプレスブリーフィング概要の部分)
(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の半年後
下記の「耐震バックチェック」とは、3.11大事故の4年半前に国が原子力事業者に
指示した「耐震安全性(含。津波に対する安全性)」の評価のことです。
※ 下記は、政府事故調査委員会ヒアリング記録 より、
原子力安全・保安院の津波対応抜粋20110902 ※
(下記は、2011年9月2日、つまり3.11の半年後の政府事故調ヒアリング時の発言)
大事故は想定されていた。
想定されていたから色々検討していた。
が、運転停止の発令は、無かった
。
これが、3.11の真相である。
さて、
最高裁判決
には上記(まえがきに代えて)の片鱗も出て来
ません。つまり、最重要設備であるのに津波に一番弱い
非常用海
水ポンプ
に関わるエピソードは一つも出て来ません。上記エピソ
ードによれば、国に責任は無いとか国家賠償責任はないとかの判
決になることはないでしょう。
また、「ポンプはだめだなと思った」とか「規制機関として、十
分対応されていないということは事実」とか「原子炉を止めた上
で補強工事をやらせるべきであった。」とかの保安院関係者のヒ
アリング記録(ちなみに3者は別人)があるのに、
最高裁は、なぜ、
国が規制権限を行使しなかったことについて、
国の責任を認めない
(つまり、国に責任は無い。よって、国家賠
償責任はない)との
判決を出すことになったのか。
ここで、突然ですが、
20230504 NHK あの日 あのとき あの番組 大江健三郎さん 日本人へのメッセージ より
福島原発事故で責任を取る人が出て来ないことについて
「
あいまいにしておく
ということで、その人も安全に済むし、相手もあまり追い詰めないと
いうふうな考え方がこの国にはある。
今度こそ、
日本人が
、
なぜ福島原発の大きい事故が起こったかということを、根本的に、誰
でも分かるように、みんなで分かるように、突き詰めて話す、突き詰めて調査する
。本当に
自分によく分けのわからないこと、
危険があると分かっているときに、人間はその道を選択
してはいけないということを
、私はもう一度、それこそ子供にも分かるように、我々専門家
ではない小説家にも納得できるように、
はっきり言う声が欲しい
。
」
(初回放送は20110703)
当サイトよりの予定稿:
「誰にでも分かるように」を目指し、証拠を集め、証拠に徹し・・・・・
・・・・・
なにはともあれ
以下、謎解きです。
最高裁判決を伝える報道記事(全文)
『
産経新聞20220617
試算超える津波「
想定外
」
国の予見可能性判断せず
東京電力福島第1原発事故の避難者らが
国に損害賠償を求めた訴訟で
、
最高裁が国の責任
を否定する初の判断を下した
。
未曽有の災害による
想定外の事故
だった点を重視
、
国が東電
に命じて対策を講じたとしても「事故は回避できなかった」との結論を導いた
。
約30件ある同種訴訟で、国の責任の有無を巡り争点となったのは、津波の到来は予見で
きたか▽
東電に必要な対策をとらせていれば事故は回避できたか
▽平成14年に政府の地震
調査研究推進本部が公表した地震予測「長期評価」は信頼性のある見解だったかーの3点だ
った。
阪神大震災(7年)を契機に発足し、長期的に発生し得る地震の規模や確率を地域別に予
測する地震調査研究推進本部が公表した長期評価では、福島県沖を含む太平洋側の日本海溝
沿いで
「マグニチュード(M)8級の津波地震が、30年以内に20%程度の確率で発生す
る」とされた
。
これが科学的に信頼できるものであれば、津波は予見でき、事故は避けられた可能性があ
る。逆に信頼できないものならば津波を予見することは難しく、事故は避けられなかった可
能性が高い。
これまでの各地の地高裁は、いずれもこの「2者択一」の構図で判断。判断も
拮抗(きっこう)していた
。
だが、最高裁は17日の判決で、長期評価の信頼性と予見可能性について、明確な判示を
避けた。代わりに、
仮に長期評価に基づいた対策を取った場合、「事故を防げたのか」とい
う1点のみに論点を絞り、判断を下した
。
長期評価が今後発生するとした地震の規模はM8・2前後だったが、最高裁は実際に発生
した地震はM9・1だったこと、主要建屋付近の浸水も長期評価が「約2・6メートルかそ
れ以下」としていたのに対し、最大5・5メートルに及んでいたことを指摘。
東電の子会社が20年に長期評価に基づいて行った津波の試算では、第1原発の東側から
海水が浸入することは想定されていなかったが、実際には、東側からも大量の海水が浸入し
ていたことにも言及
。
想定外の事態
だったことを強調した
。
判決では、原子力損害賠償法で事故の過失の有無にかかわらず原則、責任を負うとされる
東電などの原発事業者と違い、規制権限を行使する立場である国の責任を問う難しさも浮き
彫りになった形となった。
一方、
裁判官4人のうち唯一、反対意見を述べた三浦守裁判官は
「
『想定外』という言葉
で、全ての想定がなかったことになるものではない
」と指摘。「国や東電が法令に従って真
摯(しんし)な検討を行っていれば適切な対応をとることができ事故を回避できた可能性が高
い。
地震や津波の規模にとらわれ、問題を見失ってはならない
」とした。 』
上記は、下記の判決を伝える報道記事です。
20220617 福島原発事故-
国家賠償訴訟
-最高裁判決
(裁判要旨)
.pdf(popup)
20220617 福島原発事故-
国家賠償訴訟
-最高裁判決
(全文)
.pdf(popup)
当サイトによる反対意見
1)本判決は、
2頁目
の
『本件発電所の概要』
において、
『 ウ (略)
主要な建屋
は、いずれも
海抜10mの
平らな土地上にあり、(略)。 本件敷
地の
東側
は、
海水をくみ上げるポンプ
等の設備が設置された
海抜4mの区画
等を挟んで
海に面している。
エ 本件各原子炉に係る原子炉施設では、原子炉の運転により発電した電力や外部
の変電所から供給される電力が利用されていたが、これらの電力をいずれも利用するこ
とができない場合に備えて、
非常用ディーゼル発電機及びこれにより発電した電力を他
の設備に供給するための電気設備が主要建屋の中に設置されていた
。』
との設備説明を行なっています。
上記のことから、
証拠1)
海抜10mの敷地上
に
主要な建屋がある
(中に
非常用電源設備
がある。)。
証拠2)
海抜4mの区画上
に
海水をくみ上げるポンプ
(
非常用海水系ポンプ
(海抜5.4m〜
海抜6.1m))が設置されている。
そこで、上記2件の重要な証拠について、
予見性との関係において
、
より津波の被害を受
けやすい証拠2)
の海抜4mの区画上にある
非常用海水系ポンプについて
、
津波が来て被
害を受けたら
どのような原子力災害に該当する事故が発生することになるのか
リアリティ
と確かさを示すため類似の実例を織り交ぜ、
以下に
非常用海水系ポンプについての証拠調
べ
をしておきます。
津波により非常用海水系ポンプと称される
残留熱除去海水系ポンプ
のモータが冠水して機
能を喪失した場合、原子炉から
残留熱を除去する機能が喪失
し、複数の原子炉が一気に下
記の「
原子力緊急事態に至る可能性のある事象
」に該当することになります。
原子力災害対策特別措置法施行規則
第九条のイ(5)
(5) 原子炉の運転中に主復水器による当該原子炉から熱を除去する機能が喪失した場合
において、当該原子炉から
残留熱を除去する機能が喪失
すること。
事象は上記に該当し、上記は、下記により定められています。
原子力災害対策特別措置法施行令
第四条第4項第五号
原子力緊急事態に至る可能性のある事象
事象は上記に該当し、上記は、下記により定められています。
原子力災害対策特別措置法
第10条(原子力防災管理者の通報義務等)
事象は上記に該当するので下記の通報義務があります。
直ちに、、その旨を主務大臣、所在都道府県知事、所在市町村長及び関係隣接都道府県
知事に通報しなければならない。(原災法第10条通報)
下記は、3.11 福島第二原発1号機の事例(東電事故調査報告書20120620より抜粋)
18:33 福島第二原発2号機「
原子力緊急事態に至る可能性のある事象
」に該当
18:33 福島第二原発4号機「
原子力緊急事態に至る可能性のある事象
」に該当
下図は、3.11 福島第二原発1号機の事例(政府事故調査報告書20120723より抜粋)
ちなみに、下図のモータのうちの3台が現用で、残り7台は切替予備ですが、
津波による被害の特徴は切替予備もろとも冠水により全滅してしまうことです。
しかも、複数機同時に発生する可能性が高く、代替モータがひっ迫することになりま
す。
しかも、上図の下部中央にある480V電源盤が被水で全滅し、モータ駆動用電源が喪
失するので、電源(原子炉除熱機能用480V交流電源)の仮設復旧が必要になりま
す。
さて、モータ交換および電源対処までの間は残留熱を海水へ放熱することが出来ませんの
で、代替注水により残留熱を格納容器の圧力抑制室のサプレッションプールへ移送するこ
とにより炉心損傷を先延ばしし、凌いでいる状態です。もし、代替注水が止まれば数時間
で炉心損傷に至りますので水源を含め気が抜けません。
冠水したモータを短時間で交換できればよいのですが、夜間休日等に罹災した場合(要員
の招集、複数機複数台同時罹災等々)を考慮すると、とても短時間でそのすべてが完了す
るとは到底思われません。
動力電源ケーブルは重いので電源の仮設復旧についても時間が
かかります。
つまり、事象が必然的に次の段階へ進むことを想定しておかなければなりません
。
残留熱除去機能が喪失しまま約10時間が経過すると、代替注水により残留熱が流れ込んで
いるサプレッションプール(ex.2,980㎥)の温度が100℃に達して飽和状態になり、格納
容器の圧力抑制室の
圧力抑制機能が喪失
し、下図に示すように格納容器の圧力が上がり始
めます。お湯を沸かしている時にヤカンの温度が100℃になると圧力で重い蓋でも動くよ
うになるのと同じ理屈です。非常事態です。
格納容器の設計圧力は
(0.38MPa abs)
ここに達したらベント
こうなると、下記に基づき住民避難指示が出されます。格納容器の爆発を回避するための
ベントがいつ行なわれてもよいように、避難指示は事象に基づき放射性物質流出に備え早
めに出されることになっています。
原子力災害対策特別措置法施行規則
第21条の二
ニ 原子炉の運転中に主復水器による当該原子炉から熱を除去する機能が喪失した場合
において、当該原子炉から残留熱を除去する機能が喪失したときに、原子炉格納容器の
圧力抑制機能が喪失
すること。
事象は上記に該当し、上記は、下記により定められています。
原子力災害対策特別措置法施行令
第六条第4項第四号
原子力緊急事態の発生を示す事象
事象は上記に該当し、上記は、下記により定められています。
原子力災害対策特別措置法
第15条(原子力緊急事態宣言等)
事象は上記に該当するので下記の義務があります。
直ちに、、その旨を主務大臣、所在都道府県知事、所在市町村長及び関係隣接都道府県
知事に報告しなければならない。(原災法第15条報告)
下記は、3月12日 福島第二原発1号機の事例(東電事故報告書20120620より抜粋)
05:32 福島第二原発2号機「
原子力緊急事態の発生を示す事象
」に該当
06:07 福島第二原発4号機「
原子力緊急事態の発生を示す事象
」に該当
重要注。
福島第二原発は外部電源は生きていましたが、海水ポンプが
機能を失い住民避難を伴うような危機に直面したのです。
電源が生きていたとしても海水ポンプが機能を失えば除熱が
出来ませんのでメルトダウンの危機に直面するのです
。
もはや、内閣総理大臣による「
原子力緊急事態宣言
」および「
住民避難指示
」を伴う大事
故です。 (注。3.11の場合「
原子力緊急事態宣言
」は福島第一原発で発出済。)
なお、残留熱除去海水系ポンプの復旧待ちの間は海水への放熱が出来ませんので、代替注
水( 下図
①原子炉への注水
)により残留熱を格納容器の圧力抑制室内のサプレッション
プールへ移すことによりメルトダウンを凌いでいるわけですが、
3日前後で、圧力抑制室内上部の空き空間が代替注水の水で埋め尽くされてしまい(外部
水源注水総量制限ex.2300㎥)、こうなると水の行き場がなくなってそれ以上の注水は出
来なくなり原子炉の冷却継続は出来なくなるので、(注。ベントに成功し炉外への蒸発に
よるサプレッションプールの水位低下があればその分冷却が継続可能である。) 原子炉内
の冷却水が高温になって高圧で主蒸気逃がし安全弁から吹き出すようになり、それに伴っ
て原子炉の水位が低下し核燃料が露出して空焚きの状態になり数時間でメルトダウンに至
ります。
そうなる前に、被水したポンプを交換し残留熱除去系の復旧に成功すれば、メルトダウン
の危機から脱し、冷温停止に持ち込むことが出来ます。
下記はその成功事例です。
東京電力「福島第二原子力発電所はなぜ過酷事故を免れたのか」.html(popup)
『 事故を免れたポイント(福島第二原発)』の中で、
『 格納容器内に蒸気(熱)を溜めておける
時間内に
海水ポンプ等の復旧に成功した。』
とし、海水ポンプの復旧には
時間的制限
があり、その
時間内に
海水ポンプを復旧させ
ることに成功したことが、ポイントとして挙げられています。
下記は、福島第二原発 モータ駆動電源の確保
下記報道は、自衛隊機による福島第二原発用モータの輸送
下記は、福島第二原発 モータ交換作業
下記は、3月13日 福島第二原発1号機の事例(東電事故報告書20120620より抜粋)
上記より、福島第二原発1号機の残留熱除去系ポンプの手動起動は3月14日 01:24
ちなみに、福島第二原発2号機の残留熱除去系ポンプの手動起動は3月14日 07:13
ちなみに、福島第二原発4号機の残留熱除去系ポンプの手動起動は3月14日 15:42
20120620 別紙2(主な時系列)pdf128枚目〜143枚目(福島第二 主な時系列等)
福島第二 :RHR残留熱除去系応急復旧時刻 :
RHR系応急復旧に要した時間
1号機 :3月14日(月) 1時24分 :
2日と10時間 2分
2号機 :3月14日(月) 7時13分 :
2日と15時間51分
4号機 :3月14日(月)15時42分 :
3日と20分
下図は、福島第二原発1号機の格納容器(設計圧力は0.38MPa)の圧力の推移です。
上図から格納容器の圧力が、爆発を防ぐためのベントをせざるを得ない設計圧力にほ
ぼ達していたことが分かります。なお、3月14日未明に圧力の降下が始まっています
が、これはRHR(残留熱除去系)の復旧が自衛隊の支援を受けた甲斐あってギリギリ
で間に合ったことによるものです。なんと、ベントまで2時間を残すのみだったので
す。
下記は、報道ステーションSUNDAY 2014年5月25日のテレビ画面の一部分です。
福島第二原発も決して安泰ではなかったのです。大事故の瀬戸際からの生還でした。
下図は、福島第二原発2号機の格納容器(設計圧力は0.38MPa)の圧力の推移です。
ちなみに、福島第二原発2号機の残留熱除去系ポンプの手動起動は3月14日 07:13
下図は、福島第二原発4号機の格納容器(設計圧力は0.38MPa)の圧力の推移です。
ちなみに、福島第二原発4号機の残留熱除去系ポンプの手動起動は3月14日 15:42
以上、福島第二原発1号機/2号機/4号機の3機が、いずれもベントギリギリ、引いて
はメルトダウンの淵から生還したのです。半日遅れれば炉心損傷が始まっていたこ
とでしょう。福島第二原発は少数精鋭で実に見事なオペレーションをしたのです。
メルトダウンを防ぐ対処がピッタリはまったのです。限られた要員のやりくりがピ
ッタリはまったのです。最初は2号機を優先させていましたが、途中から1号機優先
に変えたのですが、その監督采配が見事にはまったのです。一寸の狂いもなく。
もう一度上記の3つのグラフを見てみて下さい。実に見事なものです。実に美しい
です。
下記は、3月14日 福島第二原発1号機の事例(東電事故報告書20120620より抜粋)
上記より、福島第二原発1号機の原子炉冷温停止は3月14日 17:00
ちなみに、福島第二原発2号機の原子炉冷温停止は3月14日 18:00
ちなみに、福島第二原発4号機の原子炉冷温停止は3月15日 07:15
福島第二原発
RHR(残留熱除去海水系)の応急復旧工事内容
注。電源ケーブルは
自衛隊ヘリ3機で霞ヶ浦から空輸した
。
福島第二 1号機
RHRCポンプ
モータ:
自衛隊機で空輸したものと交換
電源:放射性廃棄物処理建屋から電源ケーブルを敷設し供給。
RHRSポンプ モータ:使用可能だった
電源:放射性廃棄物処理建屋から電源ケーブルを敷設し供給。
EECWポンプ
モータ:
自衛隊機で空輸したものと交換
電源:
高圧電源車
+変圧器
の構成で電源ケーブルを敷設し供給。
福島第二 2号機
RHRCポンプ モータ:使用可能だった
電源:放射性廃棄物処理建屋から電源ケーブルを敷設し供給。
RHRSポンプ モータ:使用可能だった
電源:放射性廃棄物処理建屋から電源ケーブルを敷設し供給。
EECWポンプ モータ:使用可能だった
電源:3号機の空き端子から電源ケーブルを敷設し供給。
福島第二 4号機
RHRCポンプ
モータ:
柏崎刈羽から陸送したものと交換
電源:3号機の空き端子から電源ケーブルを敷設し供給。
RHRSポンプ モータ:使用可能だった
電源:3号機の空き端子から電源ケーブルを敷設し供給。
EECWポンプ モータ:使用可能だった
電源:
高圧電源車
+変圧器
の構成で電源ケーブルを敷設し供給。
(20120723 政府事故調 2
pdf166 より
(実録ドラマ風仕立て)(メルトダウンへのカウントダウン、カチッ、カチッ、)
(福島第二原発:1号機に危機迫る。正に綱渡りで凌ぐ)
福島第二原発1号機のEECWポンプ( RHRの軸受け冷却用)の復旧が間に合わず
RHRを起動することが出来ない。格納容器の圧力が上がり続け爆発の危険が迫って
いる。ベントをすれば格納容器の圧力は下げられるが、風評被害は避けられない。
爆発の危険は迫る。ベントは避けたい。どうする第二発電所対策本部!
ついに、軸受冷却用のポンプ復旧を待てず、軸受の温度が上がるのに時間がかか
るはずだからそれまでは大丈夫だろうという、温度警報が出たらRHRを停止させれ
ばいいじゃんという、軸受焼き付きのリスクを冒し、RHR起動に踏み切り、先ずは
格納容器の冷却を開始した。
EECWポンプは、この20分後に復旧した。20分待てない程に事態は切迫していた
のである。
ちなみに、EECWポンプのモータは自衛隊機で空輸したモータであり、電源は高
圧電源車+変圧器であり、これらを接続した電源ケーブルは自衛隊ヘリで空輸した
ものであった。自衛隊の支援がなければ、ベントが避けられなかったに相違なく、
メルトダウンに至っていても何の不思議もない。
メルトダウンを防ぐために何が必要か、そしてそのために必要な機材は何処に有
るか、そしてそれら必要な機材をどうやって運ぶか、そして工事をどうやって間に
合わせるか、マニュアルの無い問題を次々に解かねばならない。そしてそれを解い
た。1号機2号機4号機、3機同時にである。実に見事なオペレーションであり、
実に見事なハンドリングである。
追記。福島第二 4号機のRHRCポンプのモータは、柏崎刈羽原発からの陸送によ
るものである。福島第二は八方手を尽くしていた。その結果、間に合ったのである。
上記、住民避難を伴うような原子力事故の予見可能性について
福島第二原発の海抜4mの敷地に設置されている非常用海水系ポンプは、
津波の高さ5.1〜5.2mに対して機能を確保できるよう対策を講じていた
ところ、
2002年7月31日の国の地震調査委員会による地震予測に基づく津波の試算を行えば、
であり、
津波の試算は、4m盤上の残留熱除去海水系ポンプを2m〜3m
も超えており
、
残留熱除去機能(原子炉の除熱機能)が喪失すること
、
残留熱除去海水系ポンプの被水モータの交換工事が必要になる
こと
、
同一建屋内にあるモータ駆動用480V電源盤が被水し使用不能
になるので仮設電源の敷設工事が必要になること
、
以上の工事は常駐している運転操作員の手に負えるものではな
いこと
、
残留熱除去機能の喪失から10時間後「原子力緊急事態の発生
を示す事象」に至り、住民避難指示という事態に至ること
、
が事前に想定可能であった。
つまり、
福島第二原発に、上記のような原子力事故が発生するであろう
ことは、予見が可能だったのである
。
つまり、
事前に対処していれば、危ない橋を渡らずに済んだのである
。
つまり、
事前に対処していれば、大騒動を起こさずに済んだのである
。
つまり、
事前に対処しておらず、リスクを隠して運転していたのである
からして悪質であり「東電に原発を運転する適格性はない」と
でもいうような烙印を押されたら、国も困るのである
。
上記の非常用海水ポンプは、残留熱を海水へ放熱して、
炉心損傷
を防ぐための重要
なものであることから、省令62号4条1項の「津波により原子炉の安全性を損な
うおそれ」がないものでなければならないところ、国の長期評価に基づく地震予測
から津波を試算した場合、
津波に対する安全性を2m〜3mも欠いているのであるか
らして
電気事業法第40条の
技術基準適合命令
の対象であり、
命令を出さなければ国の規制権限の不行使である
。
なお、2002年7月31日の国の地震調査委員会による上記地震予測は、下記であり、
単なる懸念とか予言とかいうようなものではなく、阪神淡路大震災を契機に国に設
置された地震調査委員会により公表された科学的なものである。事実、上記の公表
から8年7カ月後に、3.11大地震が発生することになるのである。
なお、ここで、再確認しておくが、
規制当局は、公共の安全を確保し、環境の保全を図るために、
津波に関する科学的知見を
継続的に収集し
、
原子力事業者が安全対策を先送りしていないかどうか不断に注視しつつ
、
運転停止を含む規制権限を適時かつ適切に行使し、原子力災害を未然に防がなければなら
ないし、その被害の甚大さに鑑み、それを未然に防ぐための強力な罰則付きの規制権限を
法により与えられているのであるからして、規制権限の不行使により、公共の安全を確保
することに失敗し、あるいは環境の保全を図ることに失敗すれば、国はそれを賠償しなけ
ればならない。
福島第一原発
の住民避難を伴うような原子力災害の予見可能性
福島第一原発の海抜4mの敷地に設置されている非常用海水系ポンプは、
津波の高さ5.4〜6.1mに対して機能を確保できるよう対策を講じていた
ところ、
2002年7月31日の国の地震調査委員会による地震予測に基づく津波の試算を行えば、
であり、
津波の試算は、4m盤上の残留熱除去海水系ポンプを3m〜4m
も超えており
、
残留熱除去機能(原子炉の除熱機能)が喪失すること
、
残留熱除去海水系ポンプの被水モータの交換工事が必要になる
こと
、
4m盤上にある取水設備電源室
が被水しモータ駆動用6.9kV電源
が使用不能になるので仮設電源の敷設工事が必要になること
、
以上の工事は常駐している運転操作員の手に負えるものではな
いこと
、
残留熱除去機能の喪失から10時間後「原子力緊急事態の発生
を示す事象」に至り、住民避難指示という事態に至ること
、
特に、
福島第一原発から5キロにある双葉病院と施設の180人の寝た
きりや介護が必要な高齢患者の、増してや地震および津波発生
による混乱時の避難には、避難そのものに大変なリスクが伴う
ことになるので、
そのような事態の発生は規制権限の行使で絶
対に事前に防ぐべきこと
、
(福島・双葉病院の悲劇 - 原発事故避難で死亡した50人の寝たきり患者(popup))
が事前に想定可能であった。
つまり、
福島第一原発に、住民避難を伴うような原子力災害が発生する
であろうことは、予見が可能だったのである
。
さらに、
原子炉の除熱機能の復旧が3日間滞れば、原子炉が空焚きにな
ってメルトダウンが発生し、放射性物質漏出に進展するような
シビアな状態になるリスクがあることが、予見可能だったので
ある
。
上記の非常用海水ポンプは、残留熱を海水へ放熱して、
炉心損傷
を防ぐための重要
なものであることから、省令62号4条1項の「津波により原子炉の安全性を損な
うおそれ」がないものでなければならないところ、国の長期評価に基づく地震予測
から津波を試算した場合、
津波に対する安全性を3m〜4mも欠いているのであるか
らして
電気事業法第40条の
技術基準適合命令
の対象であり、
命令を出さなければ国の規制権限の不行使である
。
国は電気事業法第40条に基づく規制権限を行使すべきであり、
これを行使し技術基準
適合命令を発していれば、
狙わずともそれに付随して
残留熱除去系が技術基準適合命
令対象設備になったというインパクトが東電内に深く残り、
そうなっていれば、
長期
評価に基づく津波対策工事の完了いかんを問わず、例え3.11のような
大津波が来たと
しても、
稼働全機で残留熱除去系を見落とすといったような
大失態が生ずる筈も無
く、
除熱機能を持っていないSLCの復旧に貴重な三日間を無駄に費やすといったよう
なことが生ずる筈も無く、福島第二原発と同様に3.11初日から残留熱除去系復旧工事
に着手しRHRポンプとRHRSポンプを電源車で稼働させるに至れば原子炉の除熱機能
が働き、
放射性物質の漏出事故は回避できていたということになるのである。
発電所は2002年5月から緊急時を想定して下記の体制を取ってはいたが、「津波が来
たら残留熱除去海水系ポンプが一番危ない」との情報が届けられることは、ついぞ無
かった。体制を取ってはいたが機能せず、もったいないことであった。仏作って魂入
れずであった。下記はまったくの空文である。
その福島第一原発の3.11がどうだったのかについて
東電事故調査報告書 20120620 本編 pdf346枚目
に、
『 2、3号機では、津波襲来後も原子炉隔離時冷却系(RCIC)などの高圧注水系が
機能したことで、
2〜3日の対応時間を確保することはできた
。』
と報告されていることから、残留熱除去系を復旧させるための時間は2〜3日有った
ということになります。
事実、下記は福島第一原発2号機のデータですが、
ほぼ3日間は原子炉水位が一定に保たれており、この間に残留熱除去系を復旧させて
いれば、残留熱除去系による除熱により炉心損傷事故は回避出来たことになります。
それが間に合わなかったので、水位が低下し核燃料が露出して空焚き状態になり炉心
が溶融して放射性物質漏出事故になってしまったのです。
本来なら上図の左下に除熱/RHRという項目がなければならないのに、それが無いの
です。
つまり、残留熱除去系(RHR)を復旧させようとした形跡がまるで無いのです。
つまり、残留熱除去系を回復させようとする体制すら取られていなかったのです。
それが、なんと、
残留熱除去系は、見落とされていた
2号機の場合 : その証拠ビデオ
東京電力 テレビ会議
上記の中の「2013年3月6日(公開分)」が下記
テレビ会議録画映像の開示(第2回)(平成23年3月16日〜4月11日:155箇所)
上記の中の「87-1」が下記のビデオであるが、何日の何時の会議かというと、
「87」の録画時間は3月26日19時30分〜3月27日3時30分までの8時間であり、
「87-1」は3月27日1時10分44秒〜11分57秒までの1分13秒間の録画である。