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知らなければ騙されます騙されないためには(特に裁判官は)知らなければなりません
5)最高裁 - 6.17 不当判決のカラクリ
 
2022年6.17に最高裁が不当判決を捻り出したカラクリを科学的技術的論理的に提供します。
 
最高裁判決を良しとすれば、福島原発訴訟について国は賠償をしなくてもよいということ
 
になり、国の情報戦に最高裁が取り込まれたままの虜状態で出した「最高裁の虜判決」を
 
原発事故避難者に強いることになり、又、全国約30件の同種訴訟における「虜判決妄信
 
ドミノを許すことになります。妄信ドミノ例20231226東京高裁逆転判決(部分).pdf(popup)
 
かくなる上は、虜判決のカラクリを裁判官に知らせ虜状態から解放しなくてはなりません
 
全国約30件の同種訴訟の中の不当な判決の是正を促すため、gemini.toを共有拡散願います
 
以下、福島原発訴訟原告団・弁護団Webサイト より
 『 2022年6月17日、最高裁判所第二小法廷(菅野博之裁判長)は、福島第一原発事故の被
  害者が提起した生業訴訟、群馬訴訟、千葉訴訟、愛媛訴訟の4訴訟において、国が規制
  権限を行使しなかったことについて
国の責任を認めないとの判決 を言い渡しました。
  裁判官全員一致の判決ではなく、3対1と意見が分かれた判決でした。』

以上、
福島原発訴訟原告団・弁護団Webサイト より引用させていただきました。  
 
 
3.11の原発事故前に「国が規制権限を行使しなかった規制権限 とは
経済産業大臣には、公共の安全を確保し、環境の保全を図るために、下記に示すような運転
停止を含む強力な規制権限が与えられています

特に原子力発電事業者が命令に違反した場合には懲役を含む罰則があります。

 
電気事業法
 『
(技術基準適合命令)
  第四十条 経済産業大臣は、事業用電気工作物が(略)
省令で定める技術基準に適合し
  ていないと認めるときは事業用電気工作物を設置する者に対し、その技術基準に適合す
  るように事業用電気工作物を修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を一
  時停止すべきことを命じ、又はその使用を制限することができる。』

 『
(罰則)
  第百十六条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三年
   以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
   四 第四十条(原子力発電工作物に係る場合に限る。)の規定による命令又は処分に
    違反したとき。』

 
発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令62号 4条1項(当時)
 『
(防護措置等)
  第四条 原子炉施設並びに一次冷却材又は二次冷却材により駆動される蒸気タービン及
   びその附属設備
想定される自然現象( 略 、津波 、略 )により原子炉の安全性を
   損なうおそれがある場合は防護措置、基礎地盤の改良その他の適切な措置を講じな
   ければならない。』
 
 
原子力発電所は、膨大な電力を生み出す一方、その稼働により内部に多量の人体に有害な放
射性物質を発生させており、事故により放射性物質が外部に漏れ出せばその被害は甚大なも
のなります。そのため、経済産業大臣は、原発事故を未然に防ぎ、放射性物質漏出事故を未
然に防ぐための国としての監督指導責任を負っています。
もし、国が原子力事業者の自主規制にのみ任せ、国の責任を放棄し野放しにし責任逃れをす
るのであれば、危険極まりないことになるのであって、そのようなことならば、そのような
危険物の設置稼働を地元自治体が許すことはあり得ず、国民もまたそれを許すことはないで
しょう。
 
 
仮に、新たな津波の痕跡が発見されたとして、津波が来れば炉心損傷しかねない状態にある
のに、原子力事業者においてそのような事態の発生を防止すべく適切な対応が取られていな
い場合、周辺の住民が自ら被害を回避することは事実上不可能であって、経済産業大臣の規
制権限の行使によってしか安全を確保することができません。ですから、経済産業大臣に
転停止を含む強力な規制権限が与えられているのです
 
 
経済産業大臣が、技術基準に定められた「津波により原子炉の安全性を損なうおそれがある」
原子炉施設に対して適時かつ適切に技術基準適合命令を発するためには、
津波に関する科学
的知見を継続的に収集し
、原子炉の安全性が損なわれればその被害が甚大になり得ることに
鑑み、最も過酷と想定される津波について、これを予見していなければなりません。規制当
局はそのような仕組みを組織に組み込み、規制権限を適時かつ適切に行使することが出来る
ような体制を取っていなければならないのです。
 
 
一般的に営利を目的とした原子力事業者においては、利益追及のために安全対策を怠る方向
に向かったり、問題先送りといった傾向が生じ易いことは否定できないことから
規制当局
は、原子力事業者にそうした傾向が生じていないかどうか不断に注視しつつ
、安全寄りの指
導・規制をして行かなければ、法の趣旨からしてその職責を果たせないのです。

原子力事業者にとってみても原子力事業者任せは穴が開きやすく良くないのです。
国から背
中を押された方が原子力事業者も動きやすいのです。
 
 
大変な危険物であるからしてその取り扱いについてきちんとした国の監視システムが機能す
るようになっていなければ
しょせんおかしいのです。
 
 
つまり、経済産業大臣は、事故を起こすことになるかも知れないような原子炉を
運転させてはならないのです。
(当たり前の事だと思われるかも知れませんが、
その当たり前が当たり前ではなかったから、3.11のような大事故が起こったので
す。)
 

 
国家賠償法
 『 第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、
    故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これ
    を賠償する責に任ずる。
   ② 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共
    団体は、その公務員に対して求償権を有する。』
 
 
以上、まとめておくと、
規制当局は、公共の安全を確保し、環境の保全を図るために、
津波に関する科学的知見を
継続的に収集し
原子力事業者が安全対策を先送りしていないかどうか不断に注視しつつ
運転停止を含む規制権限を適時かつ適切に行使し、原子力災害を未然に防がなければなら
ないし、その被害の甚大さに鑑み、それを未然に防ぐための強力な罰則付きの規制権限を
法により与えられているのであるからして、規制権限の不行使により、公共の安全を確保
することに失敗し、あるいは環境の保全を図ることに失敗すれば、国はそれを賠償しなけ
ればならない。

国にその覚悟がないのであれば、原発そのものがこの日本に存在してはならないのである。
以上の覚悟が規制当局に無いのであれば、原子力の安全な利用などは絵に描いた餅である。
 
 
 
さて、冒頭の、国家賠償請求訴訟においては、最高裁は 国が規制権限を行使しな
かったことについて、3対1で
国の責任を認めない(つまり、国に責任は無い。よ
って、国家賠償責任はない)
との判決を出しています。  
 
しかるに、3.11よりも前に、福島第一原発に大事故を起こすことに
なるかも知れないような、つまり、国が電気事業法第40条に基づく
規制権限を行使しなければならないような幾つかの場面があったの
です。
 
 

(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の8年7カ月前(国によるプレート間大地震予測)
  下記は、阪神淡路大震災(平成7年=1995年)を契機に発足し、長期的に発生し得る地震
  の規模や確率を地域別に予測する国の地震調査研究推進本部(文部科学省に設置)が公表
  した長期評価
  
三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について (2002年7月31日公表)
  (下記は、上記を抜粋編集したもの)
 
  なお、下記は、上記を引用した 最高裁判決文3〜4頁 よりの抜粋である。
  『 本件長期評価は、(略)
  マグニチュード8クラスのプレート間大地震(津波地震)については、今後30年以内の発
  生確率が20%程度、(略)、その地震の規模は、津波マグニチュード8.2前後と推定され
  こと等を内容とするものであった。』
 
 
 なお、ここで、再確認しておくが、
 規制当局は、公共の安全を確保し、環境の保全を図るために、
津波に関する科学的知見を
 継続的に収集し
原子力事業者が安全対策を先送りしていないかどうか不断に注視しつつ
 運転停止を含む規制権限を適時かつ適切に行使し、原子力災害を未然に防がなければなら
 ないし、その被害の甚大さに鑑み、それを未然に防ぐための強力な罰則付きの規制権限を
 法により与えられているのであるからして、規制権限の不行使により、公共の安全を確保
 することに失敗し、あるいは環境の保全を図ることに失敗すれば、国はそれを賠償しなけ
 ればならない。
 

 次項目は、上記の国(文科省に設置された地震調査委員会)による長期評価(大地震予測)
 から4年2カ月後のことである
 なお、この4年2カ月間の規制当局の動向について、
本判決には何も記されていない
 本判決に書くに足るべき規制当局の動向が無かったのか、本判決がこの4年2カ月間を取るに
 足らないと考えていたのかどうかについてはよく分からない。
 

(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の4年半前
  大津波による原発大事故の4年半前(2006年9月)に、国(原子力安全・保安院)が原子
  力事業者に、
耐震安全性(含。津波に対する安全性)」の評価を実施し、その結果
  
を国に報告するようにとの指示を出していました
 
  つまり、最も大きい津波を想定して、それに耐えられる施設であるかどうかを評価し、
  その結果を国に報告するように指示を出していたのです

 
原発事故時の被害の甚大さに鑑み、上記を満たしたものでなければ東電は運転をしてはな
 
らなかったし、また国は運転をさせてはならなかったのです
 
上記の国の指示は、残念ながら、事故を軽減するとか避けるとかの結果には繋がらなかっ
 
たのです。
 
国の指示が効力を発揮しなかったとすればその問題は根深いのです。
その根深い問題に迫って行きます。
下記は、上記の指示に基づき東電が原子力安全・保安院へ提出した実施計画書の一部分です。
  
(下記、 東電プレスリリース20061018 添付資料
           当社原子力発電所における耐震安全性評価実施計画の概要(部分))
 
 東電の計画書によれば「津波に対する安全性」の評価を含めて、平成21年(2009年)6月に
 国に最終報告書を提出することになっていました。

 3.11(2011年)より2年近くも前に最終報告書を提出することになっていたのです

 3.11よりも前に津波に対する安全性が確保されていてしかるべきだったのです。
 ハード(防潮堤、水密対策)であれ、ソフト(津波被水モータ即時交換体制or運転停止)で
 あれ。

 
それが、なぜ、3.11のような大事故が  

 国も東電も、なぜ、3.11のような大事故を防ぐことにならなかったのか
 その不思議に迫って行きます。  

(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の4年5カ月前
  3.11の4年5カ月前に、
非常用海水ポンプの津波脆弱性について、下記のような
  口頭での指示(東電は「指示」ではなく「要望」と受け取っている)がありました。

                         下記、電事連 = 電気事業連合会

  
この要望を各社上層部に伝えるように、という話を口頭で電事連が受けています
   下記平成18年 = 2006年10月6日
  (下記、別件-福島原発刑事裁判第1回公判-20170630-要旨告知された証拠より。)

  

  
福島第一原発の主要な建屋は海抜10mの敷地上にありますが、非常用海水ポンプは
  
海水をくみ上げる関係で海側の敷地を6m掘り下げて海抜4mの敷地を作りその上に
  
設置されています
  上記で言うところの
非常用海水ポンプとは、残留熱除去海水系ポンプのことです。
  
残留熱除去海水系ポンプは原子炉のメルトダウンを防ぎ冷温停止に持ち込むという
  
重要な機能を持っていますが、海水を利用して海水へ放熱しているという関係から
  
海の近くに置かざるを得ずプラントのアキレス腱なのです。
  
残留熱除去海水系ポンプは、プラントで最も重要な電動ポンプですので、現用1台
  
に対し3台もの切替予備を持っています。4台が同時に故障することは有り得ないと
  
され、運転が認可されているわけですが、有り得ない想定外の津波が来た場合は切
  
替予備もろともモータが被水して故障し、原子炉から海水への残留熱の除去(放熱)
  
機能が全滅してしまい、上記の炉心損傷になるということになるのです。
  
非常用海水ポンプに津波脆弱性が有って炉心損傷になる恐れが
  
あるということを、3.11の4年半前に国は気に掛けていたので
  
す。(最新の地震予測による津波の発生を気に掛けたと思われますが詳細は不明です)
  
国が気に掛けていながら、あのような大事故が起こったので
  
す。  

  
追記。
  
そもそも津波で非常用海水ポンプ(特に残留熱除去海水系ポンプ)が全滅するような
  
事故は想定されておりません。その証拠に、あらかじめ想定し得る限りを想定した事
  
象ベースの事故時運転操作手順書がありますが、津波に関しては引き波(下降)発生
  
時のポンプ空回り破損防止の手順書はあるものの、津波上昇による被害時の手順書は
  
存在しません。つまり、津波上昇による被害は想定していないのです。どういう事か
  
というと、津波による被害が想定されるようになった場合には、それについての対処
  
が完了するまで原子炉を運転してはならないという事です。
  
これが事象ベースの事故時運転操作手順書が意味するものです。  

  
なお、想定外の津波が想定されていましたが、これについては次項目で。  

  
津波による非常用海水ポンプの被害が想定されるようになった場合には、その被害の
  
甚大さに鑑みて、それについての対処が完了するまで、国は、原子炉を運転させては
  
ならないのです。  

(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の3年1カ月前
   下記平成20年 = 2008年2月5日
  (下記、別件-福島原発刑事裁判第1回公判-20170630-要旨告知された証拠より。)
 
  この頃、東電内部で、国の長期評価に基づき30年以内に20%程度の確率で発生する
  とされた地震予測による津波を試し計算したところ
非常用海水ポンプ 5.4m〜6.1m
  を 3m〜4mも上回る
8.4m〜10.2m という結果になったのです。試算された津波が
  実際に発生した場合、後述する
「原子力緊急事態に至る可能性のある事象」に即該
  当する事故になります。
この試算は無視できないことから上記あるいは次項のよう
  な動きになったのです。
 

  大津波による炉心損傷事故は、決して荒唐無稽の絵空事ではなかったのです。大事
  故の発生はかなり高い確率で決して予言ではなく科学的に予測されていたのです。
 

  
国の長期評価による地震予測を前提にすれば、その津波により非常用海水ポンプ
  
全滅が想定されており、津波に対する安全性を欠いており、もはやもぐり運転です。
  
もし、原発建設時に上記の状態だったとしたら運転許可は出ていなかったはずです。
  
もはや違法運転です。  

  3.11の3年前に大津波が予測されていたのです。
  3.11の大津波は決して突然ではなかったのです。
 

(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の約2年8カ月前
   下記平成20年 = 2008年7月31日
  (下記、東電事故調査報告書20120620 本編pdf44枚目(23頁)の一部分)
 
  東電内部では、津波対策をあれやこれや、検討中でした。  

(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の2年4カ月前〜3.11の1年9カ月前
  耐震安全性の評価報告書 2008年12月3日〜2009年6月30日 提出分の抜粋
 
  ちなみに、津波試算で対策が不要な場合の報告事例 - 1
  (下記、
東電プレスリリース20081203 柏崎刈羽原子力発電所7号機における「発電用
   原子炉施設に関する耐震設計審査指針」の改訂に伴う耐震安全性評価結果報告書の提
   出について の 添付資料の5頁目の一部分)
 
  何も問題がなければ実にシンプルで、報告にそう時間はかからないのです

  以降、太平洋側の原発の報告に時間がかかっているのは何か問題がある証拠なのです。

  問題が判明したら運転を続けていてはいけないのです。
  問題を隠蔽して運転を続けていてはいけないのです。

  報告に時間がかかっていたら当局は監督指導しなければならないのです。

  上記のプレスリリースの5日後、  
  (津波の安全性に疑義がある発電所については)最終報告書の提出を延期
  (下記、
東電プレスリリース20081208「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」
   の改訂に伴う福島第一原子力発電所および福島第二原子力発電所の耐震安全性評価の
   延期について の 一部分)
 
  先に 東電プレスリリース20080331 において「津波に対する安全性については、最終報告
  で結果を示す。」として先送りしておいて、今度はその最終報告を延期するというので
  す。
  危険運転継続のための延期です  
  報告書を正直に提出すれば運転停止を命じられるので、それを避けているのです。
  いや、報告書を出しようがないのです。

  (下記、東電事故調査報告書20120620 本編pdf35枚目(14頁)の一部分)
 
  危険運転中の原子力プラントの「津波の安全性」についての報告時期が未定だなんてダメ
  ですよ、ダメ、ダメ。漏れ出せば数十万人を故郷から追いやるような危険物を取り扱って
  いるという認識がまるでない。
  保安院が対応しなかったらダメですよ。
 
  東電の呆れた言い草
  (下記、東電事故調査報告書20120620 本編pdf43枚目(22頁)の一部分)
 
  国の指示の仕方が悪いと言わんばかりのことが書いてある。
  すでに最終報告が出されている柏崎刈羽原発7号機にしても6号機
  にしても「その中で最も大きい津波を想定しても」としているでは
  ないか。

  漏れ出せば数十万人を故郷を失うという悲しみのどん底に突き落と
  すような危険物を取り扱っているという認識が全く欠如している。
 
  平成21年6月 = 2009年6月の福島第一原子力発電所1〜4号機、6号機の中間報告
  (下記、
東電プレスリリース20090619「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」
   の改訂に伴う福島第一原子力発電所の耐震安全性評価結果中間報告書(改訂版)等の
   経済産業省原子力安全・保安院への提出について の 一部分)
 
 『(略)
  (略)、当初予定していた時期の
最終報告を延期し、(略)。
  (略)
  今後、最終報告について、可能な限り速やかにとりまとめ、原子力安全・保安院へ 
  提出いたします。』
  すぐにでも出せそうなニュアンスを残して、延期後の報告時期は示されず、未定。
  (下記、
同上 東電プレスリリース20090619 添付資料(添付1)の1頁目の一部分)
 
  「津波に対する安全性」は「最終報告において結果を示す予定」で、
  その「最終報告」は「延期」。
  欠陥原発を継続して運転するためのあからさまな欠陥隠しです。
  これは事件です。

  国は事件の見逃しです。
 

(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の1年半前
  ※ 下記は、
政府事故調査委員会ヒアリング記録 より、
                   原子力安全・保安院の津波対応抜粋20110831

  下記は、3.11の1年半前(2009年9月7日)の貞観津波の試算の東電の説明を受けて。
 
  貞観津波の試算は8.7m〜9.2m もあり 非常用海水ポンプの5.4m〜6.1m を3m以上超
  えていたのです。そのことを国の担当者は知ったのです。貞観津波と同規模の津波
  が来れば海水ポンプのモータが被水し原子炉の除熱が出来なくなり最悪メルトダウ
  ン至ることが東電では現実になっていたということを国の担当者は知ったのです。
 

  上記の非常用海水ポンプは、残留熱を海水へ放熱して、
炉心損傷を防ぐための重要
  なものであることから、省令62号4条1項の「津波により原子炉の安全性を損な
  うおそれ」がないものでなければならないところ、津波堆積物から予測した場合、
  
津波に対する安全性を3m以上も欠いているのであるからして電気事業法第40条の
  
技術基準適合命令の対象であり、命令を出さなければ国の規制権限の不行使である
  
国の規制権限は法に則り厳然と粛々と行使されなければならなかったのである  

(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の1年半前
  ※ 下記は、政府事故調査委員会ヒアリング記録 より、
                   原子力安全・保安院の津波対応抜粋20110831 ※

  下記は、3.11の1年半前(2009年9月7日)の貞観津波の試算に関わる東電の発言。
 
  東電の上記発言は、国による運転規制を気に掛けてのものであると思われる。
  (注。原発設置時に運転認可をしているのになぜこのようなことが起こるかという
     と、一例として原発設置時には発見されていなかった津波の痕跡が後から新
     たに発見された場合にはこのようなことが起こり得る。
     また、原子力発電所は漏れ出せば数十万人に危害を与え故郷から追いやるよ
     うな危険物を取り扱っているという特殊性があり、リスクが微塵でもあった
     ら運転してはならないし、また運転をさせてはならない
     国には原子力事業者からタイムリーに情報収集しタイムリーに権限を行使し
     原発事故を未然に防ぐ責務がある。)
 

     もし、国に権限を行使し事故を未然に防ぐような能力が無いとするならば、
     あるいは手に余るというならば、あるいは想定外の事故だったというような
     ことになるならば、原発はやはり得体の知れない危険物ということになり、
     この日本に原発が存在するようなことがあってはならないということになる。
 

(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の1年半前の頃
  ※ 下記は、政府事故調査委員会ヒアリング記録 より、
                  原子力安全・保安院の津波対応抜粋20110831 ※

  (新潟県中越沖地震は2007年7月16日、駿河湾地震は2009年8月11日)
 
  これは国の組織的な問題です。
  
津波の問題を吸い上げる機能が欠落していたのです。  

(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の1年前
  
2006年9月の国の指示に基づく耐震安全性評価に係る報告書の発電所別提出比較
  
柏崎刈羽原発
   
7号機中間報告2008年11月04日(津波評価については最終報告で結果を示す予定)
    
中間報告から1カ月後、7号機最終報告2008年12月03日(含。津波評価)
   
6号機最終報告2009年05月19日(含。津波評価)
   
1号機中間報告2010年03月04日(含。津波評価)
    
中間報告から3週間後、1号機最終報告2010年03月24日
  上下を比較してみて下さい。津波の問題がなければ最終報告がさっさと出せるのです。

  下記の福島第一原発に関する報告書提出状況は明らかに変です。異常です。

  
福島第一原発
  (2008年3月:最新の津波試算:
非常用海水ポンプ3m〜4mも上回る 津波が来る。)
   
5号機中間報告2008年03月31日津波評価は、2009年6月提出予定の最終報告で、
    ということになっていたが、
    
2008年12月8日のプレスリリースで 「2009年6月予定の最終報告を延期します。」
    
中間報告から2年を経過するも、東電からの「津波に対する安全性」評価を含む最
    
終報告は未だ無い
   
3号機中間報告2009年06月19日最終報告津波評価)は可能な限り速やかに提出予定
    
中間報告から9カ月を経過するも、東電からの「津波に対する安全性」評価を含む
    
最終報告は未だ無い
   1号機、2号機、4号機、6号機は上記3号機に同じ

  
なお、当初の実施計画書によれば、福島第一原発の最終報告は2009年6月の予定だった
  
「津波に対する安全性」の評価報告が、遅れに遅れているということは、
  
津波に関して何か大きな問題を抱えているであろうことを国は推して知る
  
べしである。
  
これではせっかくの「津波に対する安全性」の評価の意味がありません。
  
最終報告書が出せない、つまり「津波に対する安全性」の確認報告が出せないという
  
ことは、津波に対する脆弱性を抱えたまま運転しているということです。  

  最終報告を遅らせている原因の非常用海水ポンプは、残留熱を海水へ放熱して
炉心
  損傷
を防ぐための重要なものであることから、省令62号4条1項の「津波により
  原子炉の安全性を損なうおそれ」がないものでなければならないところ、国の長期
  評価に基づく地震予測から津波を試算した場合、
津波に対する安全性を3m〜4mも
  欠いているのであるからして
電気事業法第40条の技術基準適合命令の対象であり、
  
命令を出さなければ国の規制権限の不行使である
  
国の規制権限は法に則り厳然と粛々と行使されなければならなかったのである  

 そんなさなかに原発推進側(エネ庁)が安全規制側(保安院)をないがしろにするという
 とんでもない出来事が・・・・・。
   

(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の1年前
  ※ 下記は、政府事故調査委員会ヒアリング記録 より、
                  原子力安全・保安院の津波対応抜粋20110831 ※

  下記の、「当時」は「2010年3月頃」、「1F一3」は「福島第一原発3号機」。
 
 
  

 
国と東電の組織的計画的耐震偽装
(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の10カ月前
  この頃、福島第一3号機のプルサーマル(MOX燃料使用)の話があり、それに先
  立ち福島県知事から3号機の耐震安全性の評価が求められていた。
  しかし、前記のように地震随伴事象による津波のリスクを抱えているとなれば、
  プルサーマルどころか福島県知事の立場として即時運転停止せよという話にもな
  りかねない。
  さて、国策としてプルサーマルを進めようとするエネ庁(資源エネルギー庁)は
  この評価積み残しをいったいどう処理するか。

  (なお、30億円とも60億円とも言われるプルサーマル交付金が間に合ったかどう
   かについては調べてみたがよく分からなかった。)

  ※ 下記は、政府事故調査委員会ヒアリング記録 より、
                  原子力安全・保安院の津波対応抜粋20110831 ※

  下記の「4月28日」は「2010年4月28日」である。 
 
  知ってか知らずか何れにしてもこれが原発の怖さです。原発には目に見えない怖さがある
  のです。リスクを抱え込んだままそれをこのように処理させてしまう怖さがあるのです。

  こと原発については何であれ例え一抹であったとして不安があったとしたらはっきりさせ
  ておかないといけないのです。こと原発については問題を先送りしてはいけないのです。

 (下記は、上記のレクの続き)

  下記のことからして、本件は東電とも示し合わせた上での、耐震偽装大臣レクです。
 
  福島県に対する国と東電の共同不法行為です。津波の試算を知らなければ過失、
  知っていれば故意です。

  耐震安全性の評価は、原子力安全・保安院(安全規制側)の専権事項であり、
  資源エネルギー庁(推進側)にとやかく言われる筋合いのものではありません。

  
安全よりもスケジュールありきです。はい。
  
耐震安全性の評価に積み残しがあることは福島県には黙ったまま
  
話を進めましょうって、県知事にわざわざ確認すると「だったら
  
やってくれと」ということになるので積み残し部分は抜いて耐震
  
安全性の評価報告書の体裁を整えて仕舞いましょうって、こと安
  
全に関することについて昼間からそんな相談をしてはいかんでし
  
ょう。  

  
上記大臣レクから、1カ月後、東電が動いた
  
津波抜きの報告書
  
福島県原子力発電所安全確保技術連絡会
  東京電力が5月31日に提出した
「福島第一原子力発電所3号機の耐震安全性について」
  積み残しになっていた「津波に対する安全性の評価」については項目自体が含まれて
  おりません。
 

  
さらに、上記の1カ月半後の東電のダメ押し
  
津波に対して安全です
  
福島県原子力発電所安全確保技術連絡会
  東京電力が7月12日に提出した
「福島第一原子力発電所3号機の耐震安全性について」
  上記の最終頁が下記です。
 
  上記は下記を隠蔽したでっち上げ資料です。福島県の技術連絡会は騙されていたのです。
  30年以内に20%の確率で津波により稼働全機が同時に炉心損傷に直面するリスクがあり、
  東電内部では対策をあれやこれや検討していたのです。

  (下記、東電事故調査報告書20120620 本編pdf44枚目(23頁)の一部分)
 
 

  
上記大臣レクから、3カ月後の国の動き
  
津波抜きの報告書
  
福島県原子力発電所安全確保技術連絡会
  国(原子力安全・保安院)が提出した
「3号機の耐震安全性評価結果について」
  中の9頁目が下記です。
 
  上記の経済産業大臣指示に基づき特別な扱いとして実施する」とは、12頁目の
  下記に示すように
「津波に対する安全性」については、評価項目から外すという
  とんでもない扱いのことです。
「ポンプはだめだなと思った」り「炉を止めるこ
  とができるんですか。」と言われたりして、津波の危険性は認識していたはずで
  すが・・・・・
 
  上記の「津波」の安全性評価抜きは、津波脆弱性があると分
  
かっていながら、資源エネルギー庁との関係においてまた東
  
電との関係においてすったもんだを避けるために「津波」を
  
抜いたのであり、過失ではなく故意です。摩擦を避けるため
  
に、故意に「津波」を抜いたのです。いや、抜かざるを得な
  
い、自分の力ではどうしようもないことになっていたのです。  
 これは、国による耐震偽装(耐津波偽装)です。  
 例え、上司に命じられたとしても、やってはいけ
 ないことをやってはいけなかったのです。
 
 それが、経済産業大臣の指示であったとしても、
 やってはいけないことをやってはいけなかったの
 です。悲しいことです。人間が集団を作るとこう
 ゆうことが起こるのです。

  15頁目(東電で議論の的になっている非常用海水系ポンプが抜かされている。)
 
  上図には残留熱海水系ポンプ(非常用海水系ポンプ)が書かれていません。
  上図では残留熱の除去(原子炉から残留熱を取り除き消し去ること)は出来ません。
  上図では下図の非常用海水系ポンプが評価対象から抜かされているのです。
 
  上図の熱交換器と非常用海水系ポンプは当サイトが追加したもの。
  この仕組みが無いと原子炉から海水への残留熱の除去が出来ずに原子炉の温度が上がる
  ばかりで冷温停止に持ち込めずメルトダウンに至ります。
  残留熱除去系ポンプと残留熱除去海水系ポンプ(非常用海水系ポンプ)の両方が動作し
  て初めて意味を持つのです。

  そして最終頁になんと書かれているか言うと、
 
 リスク(津波)を隠したままの国からの報告です。
 リスク(津波)を隠したままの国のお墨付きです。

 東電にも運転のお墨付きを与えたことになります。

  上記を受け、
福島県原子力発電所安全確保技術連絡会の事務局提出分(資料7)
  つまり福島県側の、プルサーマル受け入れのための安全性確認資料の最終頁になん
  と書かれているかと言うと、
 
 リスク(津波)を抱えたままの原子炉運転です。  
 
 3.11は、この7カ月後のことです。  

  
安全規制側(原子力安全・保安院)が原発推進側(資源エネルギー庁)に
  
押し切られて(大臣を利用されて)、安全規制を破らされていたのです。
  
原発推進側の暴走です。恐ろしいことが起こっていたのです。報告書と実
  
体が乖離していたのです。  

  
「ポンプはだめだなと思った」り、「炉を止めることができ
  
るんですか。」と言われたりしたことがあったものの、運転
  
規制ではなく逆に運転許可を出す結果に追い詰められてい
  
たのです  

  
結果的に資源エネルギー庁が安全規制の足を引っ張ったこと
  
になったのです。  

(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の7カ月前
  下記平成22年 = 2010年8月27日

  (下記、別件-福島原発刑事裁判第1回公判-20170630-要旨告知された証拠より。)
  
 

  
国も東電も 3.11よりも前に運転停止に該当するような津波脆弱性があることに気付
  いていながら問題が大き過ぎるが故に双方決断が出来ずに、大きな問題を抱えたま
  ま時がズルズル過ぎて行った。(これは原発が抱える本質的な問題です。)
 

  
大事故は想定されていた。  

  
想定されていたから色々検討していた。  

  
そして、そのまま、 3.11の大事故が発生してしまったのでした。  

  
なお、本件放射性物質漏出事故は、明らかに「人災」です。
  
人間によるそのような工作物がそこに無ければ放射性物質が漏出
  
するようなことは無かったのです。
  
人間がそのような有害な放射性物質を生み出す工作物をそこに設
  
置し、しかも管理監督不行き届きのまま運転していたことから放
  
射性物質漏出事故が発生したのです。
  
想定外の津波が来たから放射性物質が漏出しても仕方がなかった
  
などという「天災」話に誤魔化され騙されてはならないのです。  
 

(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11東電は最終報告は出さず危険運転中だったのです
  
2006年9月の国の指示に基づく耐震安全性評価報告書の2011年3月11日までの提出状況
  下記の福島第一原発に関する報告書提出状況は明らかに変です。異常です。

  
福島第一原発
  (2008年3月:最新の津波試算:
非常用海水ポンプ3m〜4mも上回る 津波が来る。)
   
5号機中間報告2008年03月31日津波評価は、2009年6月提出予定の最終報告で、
    ということになっていたが、
    
2008年12月8日のプレスリリースで 「2009年6月予定の最終報告を延期します。」
    
中間報告から2011年3月で3年を経過、東電からの最終報告が無いまま3.11
   
3号機中間報告2009年06月19日最終報告津波評価)は可能な限り速やかに提出予定
    
中間報告から2011年3月で1年8カ月を経過、東電からの最終報告が無いまま3.11
   1号機、2号機、4号機、6号機は上記3号機に同じ

  
なお、当初の実施計画書によれば、福島第一原発の最終報告は2009年6月の予定だった
  
津波に対する安全性の評価報告が遅れに遅れているということは、
  
何か大きな問題を抱えているであろうことは推して知るべしです。
  これではせっかくの「津波に対する安全性」の評価の意味がありません。
  最終報告書が出せない、つまり「津波に対する安全性」の確認報告が出せないというこ
  とは、津波に対する脆弱性を抱えたまま運転しているということです。

  炉心損傷に発展するような津波が想定されていて、津波が大き過ぎるが故に議論が収束
  することがなく、そうかといって運転停止を起案する勇気もなく、最終報告を出すこと
  が出来ぬままズルズル危険運転を続けていたのです。

  これを見逃していたとすれば国の過失であり、これを見・逃していたとすれば東電と同
  罪です。特に3号機(プルサーマル)については違反運転幇助です。
 

  東電から中間報告はあったものの「津波に対する安全性」については先送りされており
  3年が過ぎても最終報告が無いまま(東電は、このまま報告書を提出すれば運転停止に
  なることが分かっているから報告書を提出しない。)、
  そうかといって東電社内で地震による津波を理由に一時的な運転停止を起案するほどの
  エネルギーは無く(理由付けが大変であり、空振りも怖い。)、
  そうかといって津波による被水モータの24時間365日即時交換体制を取るといったよう
  な一時的な運用面での代替手法の社内検討の動きもなく(そんな危険なものは職場環境
  配慮義務違反であり運転出来ないと労働組合に言われて運転停止に追い込まれるかも知
  れない。)、

  
そうかといって国による何の運転規制も無いまま
  
3.11がやって来てしまったのでした。
 
  残留熱除去海水ポンプが全滅したまま長時間放置され(証拠後出)、これにより除熱機能
  の喪失が長時間におよんだ結果、核燃料棒の発する2600℃の崩壊熱で核燃料棒が自ら溶
  け落ち、鋼鉄製の圧力容器の底を突き破って格納容器内へと流れ出し、さらにはその輻射
  熱で格納容器を変形損壊させるに至った。
  この事故で有害な放射性物質が大量に飛散し周辺の住民十数万人が平穏に生活する権利を
  奪われ掛け替えのない故郷を追われることになった。
 

(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の半年後
  ※ 下記は、政府事故調査委員会ヒアリング記録 より、
          原子力安全・保安院の津波対応抜粋20110824 ※

  文中の「09年の件」とは「2009年9月7日の件」のことであり、
  貞観津波、「炉を止めることができるんですか。」のことである。
  (下記は、2011年8月24日、つまり3.11の半年後のプレスブリーフィング概要の部分)
 
 

(まえがきに代えて- 証拠の一例)
3.11の半年後
  下記の「耐震バックチェック」とは、3.11大事故の4年半前に国が原子力事業者に
  指示した「耐震安全性(含。津波に対する安全性)」の評価のことです。 

  ※ 下記は、政府事故調査委員会ヒアリング記録 より、
                   原子力安全・保安院の津波対応抜粋20110902 ※

  (下記は、2011年9月2日、つまり3.11の半年後の政府事故調ヒアリング時の発言)
 
 

  
大事故は想定されていた。  

  
想定されていたから色々検討していた。  

  
が、運転停止の発令は、無かった  

  
これが、3.11の真相である。  
 
 
さて、最高裁判決 には上記(まえがきに代えて)の片鱗も出て来
ません。つまり、最重要設備であるのに津波に一番弱い非常用海
水ポンプ
に関わるエピソードは一つも出て来ません。上記エピソ
ードによれば、国に責任は無いとか国家賠償責任はないとかの判
決になることはないでしょう。
 
 
また、「ポンプはだめだなと思った」とか「規制機関として、十
分対応されていないということは事実」とか「原子炉を止めた上
で補強工事をやらせるべきであった。」とかの保安院関係者のヒ
アリング記録(ちなみに3者は別人)があるのに、
最高裁は、なぜ、国が規制権限を行使しなかったことについて、
国の責任を認めない(つまり、国に責任は無い。よって、国家賠
償責任はない)との
判決を出すことになったのか。  
 
 
ここで、突然ですが、
20230504 NHK あの日 あのとき あの番組 大江健三郎さん 日本人へのメッセージ より

福島原発事故で責任を取る人が出て来ないことについて

あいまいにしておくということで、その人も安全に済むし、相手もあまり追い詰めないと
いうふうな考え方がこの国にはある。
今度こそ、日本人がなぜ福島原発の大きい事故が起こったかということを、根本的に、誰
でも分かるように、みんなで分かるように、突き詰めて話す、突き詰めて調査する。本当に
自分によく分けのわからないこと、危険があると分かっているときに、人間はその道を選択
してはいけないということを、私はもう一度、それこそ子供にも分かるように、我々専門家
ではない小説家にも納得できるように、
はっきり言う声が欲しい
(初回放送は20110703)
 

当サイトよりの予定稿:
「誰にでも分かるように」を目指し、証拠を集め、証拠に徹し・・・・・
・・・・・
 
 
 
 
なにはともあれ  
以下、謎解きです。  
 
 
最高裁判決を伝える報道記事(全文)
産経新聞20220617 試算超える津波「想定外 国の予見可能性判断せず
 東京電力福島第1原発事故の避難者らが
国に損害賠償を求めた訴訟で最高裁が国の責任
を否定する初の判断を下した
未曽有の災害による想定外の事故だった点を重視国が東電
に命じて対策を講じたとしても「事故は回避できなかった」との結論を導いた

 約30件ある同種訴訟で、国の責任の有無を巡り争点となったのは、津波の到来は予見で
きたか▽
東電に必要な対策をとらせていれば事故は回避できたか▽平成14年に政府の地震
調査研究推進本部が公表した地震予測「長期評価」は信頼性のある見解だったかーの3点だ
った。
 阪神大震災(7年)を契機に発足し、長期的に発生し得る地震の規模や確率を地域別に予
測する地震調査研究推進本部が公表した長期評価では、福島県沖を含む太平洋側の日本海溝
沿いで
「マグニチュード(M)8級の津波地震が、30年以内に20%程度の確率で発生す
る」とされた

 これが科学的に信頼できるものであれば、津波は予見でき、事故は避けられた可能性があ
る。逆に信頼できないものならば津波を予見することは難しく、事故は避けられなかった可
能性が高い。
これまでの各地の地高裁は、いずれもこの「2者択一」の構図で判断。判断も
拮抗(きっこう)していた

 だが、最高裁は17日の判決で、長期評価の信頼性と予見可能性について、明確な判示を
避けた。代わりに、
仮に長期評価に基づいた対策を取った場合、「事故を防げたのか」とい
う1点のみに論点を絞り、判断を下した

 長期評価が今後発生するとした地震の規模はM8・2前後だったが、最高裁は実際に発生
した地震はM9・1だったこと、主要建屋付近の浸水も長期評価が「約2・6メートルかそ
れ以下」としていたのに対し、最大5・5メートルに及んでいたことを指摘。
 
東電の子会社が20年に長期評価に基づいて行った津波の試算では、第1原発の東側から
海水が浸入することは想定されていなかったが、実際には、東側からも大量の海水が浸入し
ていたことにも言及
想定外の事態だったことを強調した
 判決では、原子力損害賠償法で事故の過失の有無にかかわらず原則、責任を負うとされる
東電などの原発事業者と違い、規制権限を行使する立場である国の責任を問う難しさも浮き
彫りになった形となった。
 一方、
裁判官4人のうち唯一、反対意見を述べた三浦守裁判官は『想定外』という言葉
で、全ての想定がなかったことになるものではない
」と指摘。「国や東電が法令に従って真
摯(しんし)な検討を行っていれば適切な対応をとることができ事故を回避できた可能性が高
い。
地震や津波の規模にとらわれ、問題を見失ってはならない」とした。 』  

上記は、下記の判決を伝える報道記事です。  
  
 
20220617 福島原発事故-国家賠償訴訟-最高裁判決(裁判要旨).pdf(popup)  
 
20220617 福島原発事故-国家賠償訴訟-最高裁判決(全文).pdf(popup)  
  

当サイトによる反対意見
 
  

1)本判決は、
2頁目『本件発電所の概要』において、
  『 ウ (略)主要な建屋は、いずれも海抜10mの平らな土地上にあり、(略)。 本件敷
  地の東側は、海水をくみ上げるポンプ等の設備が設置された海抜4mの区画等を挟んで
  海に面している。
    エ 本件各原子炉に係る原子炉施設では、原子炉の運転により発電した電力や外部
  の変電所から供給される電力が利用されていたが、これらの電力をいずれも利用するこ
  とができない場合に備えて、非常用ディーゼル発電機及びこれにより発電した電力を他
  の設備に供給するための電気設備が主要建屋の中に設置されていた。』

  との設備説明を行なっています。

  上記のことから、
  証拠1)海抜10mの敷地上主要な建屋がある(中に非常用電源設備がある。)。
  証拠2)海抜4mの区画上海水をくみ上げるポンプ
非常用海水系ポンプ (海抜5.4m〜
      海抜6.1m))が設置されている。

  
  そこで、上記2件の重要な証拠について、
予見性との関係においてより津波の被害を受
  けやすい証拠2)
の海抜4mの区画上にある非常用海水系ポンプについて津波が来て被
  害を受けたら
どのような原子力災害に該当する事故が発生することになるのかリアリティ
  と確かさを示すため類似の実例を織り交ぜ、以下に非常用海水系ポンプについての証拠調
  をしておきます。
 
  
  津波により非常用海水系ポンプと称される残留熱除去海水系ポンプのモータが冠水して機
  能を喪失した場合、原子炉から残留熱を除去する機能が喪失し、複数の原子炉が一気に下
  記の「
原子力緊急事態に至る可能性のある事象 」に該当することになります。  
   
原子力災害対策特別措置法施行規則第九条のイ(5)
   (5) 原子炉の運転中に主復水器による当該原子炉から熱を除去する機能が喪失した場合
   において、当該原子炉から残留熱を除去する機能が喪失すること。
  事象は上記に該当し、上記は、下記により定められています。
   
原子力災害対策特別措置法施行令第四条第4項第五号
   原子力緊急事態に至る可能性のある事象

  事象は上記に該当し、上記は、下記により定められています。
   
原子力災害対策特別措置法第10条(原子力防災管理者の通報義務等)
  事象は上記に該当するので下記の通報義務があります。
   
直ちに、、その旨を主務大臣、所在都道府県知事、所在市町村長及び関係隣接都道府県
   知事に通報しなければならない。(原災法第10条通報)

    下記は、3.11 福島第二原発1号機の事例(東電事故調査報告書20120620より抜粋)
 
 
     18:33 福島第二原発2号機「 原子力緊急事態に至る可能性のある事象 」に該当
     18:33 福島第二原発4号機「
原子力緊急事態に至る可能性のある事象 」に該当

    下図は、3.11 福島第二原発1号機の事例(政府事故調査報告書20120723より抜粋)

    ちなみに、下図のモータのうちの3台が現用で、残り7台は切替予備ですが、
    津波による被害の特徴は切替予備もろとも冠水により全滅してしまうことです。
 
    しかも、複数機同時に発生する可能性が高く、代替モータがひっ迫することになりま
    す。

    しかも、上図の下部中央にある480V電源盤が被水で全滅し、モータ駆動用電源が喪
    失するので、電源(原子炉除熱機能用480V交流電源)の仮設復旧が必要になりま
    す。

  さて、モータ交換および電源対処までの間は残留熱を海水へ放熱することが出来ませんの
  で、代替注水により残留熱を格納容器の圧力抑制室のサプレッションプールへ移送するこ
  とにより炉心損傷を先延ばしし、凌いでいる状態です。もし、代替注水が止まれば数時間
  で炉心損傷に至りますので水源を含め気が抜けません。

  冠水したモータを短時間で交換できればよいのですが、夜間休日等に罹災した場合(要員
  の招集、複数機複数台同時罹災等々)を考慮すると、とても短時間でそのすべてが完了す
  るとは到底思われません。
動力電源ケーブルは重いので電源の仮設復旧についても時間が
  かかります。

  つまり、事象が必然的に次の段階へ進むことを想定しておかなければなりません

  残留熱除去機能が喪失しまま約10時間が経過すると、代替注水により残留熱が流れ込んで
  いるサプレッションプール(ex.2,980㎥)の温度が100℃に達して飽和状態になり、格納
  容器の圧力抑制室の圧力抑制機能が喪失し、下図に示すように格納容器の圧力が上がり始
  めます。お湯を沸かしている時にヤカンの温度が100℃になると圧力で重い蓋でも動くよ
  うになるのと同じ理屈です。非常事態です。
 
格納容器の設計圧力は
(0.38MPa abs)


ここに達したらベント
  こうなると、下記に基づき住民避難指示が出されます。格納容器の爆発を回避するための
  ベントがいつ行なわれてもよいように、避難指示は事象に基づき放射性物質流出に備え早
  めに出されることになっています。

   
原子力災害対策特別措置法施行規則第21条の二
   ニ 原子炉の運転中に主復水器による当該原子炉から熱を除去する機能が喪失した場合
   において、当該原子炉から残留熱を除去する機能が喪失したときに、原子炉格納容器の
   圧力抑制機能が喪失すること。
  事象は上記に該当し、上記は、下記により定められています。
   
原子力災害対策特別措置法施行令第六条第4項第四号
   原子力緊急事態の発生を示す事象

  事象は上記に該当し、上記は、下記により定められています。
   
原子力災害対策特別措置法第15条(原子力緊急事態宣言等)
  事象は上記に該当するので下記の義務があります。
   
直ちに、、その旨を主務大臣、所在都道府県知事、所在市町村長及び関係隣接都道府県
   知事に報告しなければならない。(原災法第15条報告)

    下記は、3月12日 福島第二原発1号機の事例(東電事故報告書20120620より抜粋)
 
     05:32 福島第二原発2号機「 原子力緊急事態の発生を示す事象 」に該当
     06:07 福島第二原発4号機「
原子力緊急事態の発生を示す事象 」に該当
 
 
 
    重要注。
    
福島第二原発は外部電源は生きていましたが、海水ポンプが
    
機能を失い住民避難を伴うような危機に直面したのです。
    
電源が生きていたとしても海水ポンプが機能を失えば除熱が
    
出来ませんのでメルトダウンの危機に直面するのです
  もはや、内閣総理大臣による「
原子力緊急事態宣言」および「住民避難指示」を伴う大事
  故です。 (注。3.11の場合「
原子力緊急事態宣言」は福島第一原発で発出済。)
  なお、残留熱除去海水系ポンプの復旧待ちの間は海水への放熱が出来ませんので、代替注
  水( 下図
①原子炉への注水 )により残留熱を格納容器の圧力抑制室内のサプレッション
  プールへ移すことによりメルトダウンを凌いでいるわけですが、
 
  3日前後で、圧力抑制室内上部の空き空間が代替注水の水で埋め尽くされてしまい(外部
  水源注水総量制限ex.2300㎥)、こうなると水の行き場がなくなってそれ以上の注水は出
  来なくなり原子炉の冷却継続は出来なくなるので、(注。ベントに成功し炉外への蒸発に
 
  よるサプレッションプールの水位低下があればその分冷却が継続可能である。) 原子炉内
  の冷却水が高温になって高圧で主蒸気逃がし安全弁から吹き出すようになり、それに伴っ
  て原子炉の水位が低下し核燃料が露出して空焚きの状態になり数時間でメルトダウンに至
  ります。
  そうなる前に、被水したポンプを交換し残留熱除去系の復旧に成功すれば、メルトダウン
  の危機から脱し、冷温停止に持ち込むことが出来ます。

    下記はその成功事例です。
 
    
東京電力「福島第二原子力発電所はなぜ過酷事故を免れたのか」.html(popup)
    『 事故を免れたポイント(福島第二原発)』の中で、
    『 格納容器内に蒸気(熱)を溜めておける時間内に海水ポンプ等の復旧に成功した。』

    とし、海水ポンプの復旧には時間的制限があり、その時間内に海水ポンプを復旧させ
    ることに成功したことが、ポイントとして挙げられています。

    下記は、福島第二原発 モータ駆動電源の確保
 
 
 
 
 
    下記報道は、自衛隊機による福島第二原発用モータの輸送
 
    下記は、福島第二原発 モータ交換作業
 
    下記は、3月13日 福島第二原発1号機の事例(東電事故報告書20120620より抜粋)
 
    上記より、福島第二原発1号機の残留熱除去系ポンプの手動起動は3月14日 01:24
    ちなみに、福島第二原発2号機の残留熱除去系ポンプの手動起動は3月14日 07:13

    ちなみに、福島第二原発4号機の残留熱除去系ポンプの手動起動は3月14日 15:42
 
     
20120620 別紙2(主な時系列)pdf128枚目〜143枚目(福島第二 主な時系列等)
    福島第二 :RHR残留熱除去系応急復旧時刻 :
RHR系応急復旧に要した時間
     1号機 :3月14日(月) 1時24分 :
2日と10時間 2分
     2号機 :3月14日(月) 7時13分 :
2日と15時間51分
     4号機 :3月14日(月)15時42分 :
3日と20分
    下図は、福島第二原発1号機の格納容器(設計圧力は0.38MPa)の圧力の推移です。
 
    上図から格納容器の圧力が、爆発を防ぐためのベントをせざるを得ない設計圧力にほ
    ぼ達していたことが分かります。なお、3月14日未明に圧力の降下が始まっています
    が、これはRHR(残留熱除去系)の復旧が自衛隊の支援を受けた甲斐あってギリギリ
    で間に合ったことによるものです。なんと、ベントまで2時間を残すのみだったので
    す。

     下記は、報道ステーションSUNDAY 2014年5月25日のテレビ画面の一部分です。
  
    福島第二原発も決して安泰ではなかったのです。大事故の瀬戸際からの生還でした。
    下図は、福島第二原発2号機の格納容器(設計圧力は0.38MPa)の圧力の推移です。
 
    ちなみに、福島第二原発2号機の残留熱除去系ポンプの手動起動は3月14日 07:13
    下図は、福島第二原発4号機の格納容器(設計圧力は0.38MPa)の圧力の推移です。
 
    ちなみに、福島第二原発4号機の残留熱除去系ポンプの手動起動は3月14日 15:42
    以上、福島第二原発1号機/2号機/4号機の3機が、いずれもベントギリギリ、引いて
    はメルトダウンの淵から生還したのです。半日遅れれば炉心損傷が始まっていたこ
    とでしょう。福島第二原発は少数精鋭で実に見事なオペレーションをしたのです。
    メルトダウンを防ぐ対処がピッタリはまったのです。限られた要員のやりくりがピ
    ッタリはまったのです。最初は2号機を優先させていましたが、途中から1号機優先
    に変えたのですが、その監督采配が見事にはまったのです。一寸の狂いもなく。
    もう一度上記の3つのグラフを見てみて下さい。実に見事なものです。実に美しい
    です。

    下記は、3月14日 福島第二原発1号機の事例(東電事故報告書20120620より抜粋)
 
    上記より、福島第二原発1号機の原子炉冷温停止は3月14日 17:00
    ちなみに、福島第二原発2号機の原子炉冷温停止は3月14日 18:00
    ちなみに、福島第二原発4号機の原子炉冷温停止は3月15日 07:15

    
福島第二原発 RHR(残留熱除去海水系)の応急復旧工事内容
    注。電源ケーブルは
自衛隊ヘリ3機で霞ヶ浦から空輸した
    福島第二 1号機
     RHRCポンプ モータ:
自衛隊機で空輸したものと交換
             電源:放射性廃棄物処理建屋から電源ケーブルを敷設し供給。
     RHRSポンプ モータ:使用可能だった
             電源:放射性廃棄物処理建屋から電源ケーブルを敷設し供給。
     EECWポンプ モータ:
自衛隊機で空輸したものと交換
             電源:
高圧電源車+変圧器の構成で電源ケーブルを敷設し供給。
    福島第二 2号機
     RHRCポンプ モータ:使用可能だった
             電源:放射性廃棄物処理建屋から電源ケーブルを敷設し供給。
     RHRSポンプ モータ:使用可能だった
             電源:放射性廃棄物処理建屋から電源ケーブルを敷設し供給。
     EECWポンプ モータ:使用可能だった
             電源:3号機の空き端子から電源ケーブルを敷設し供給。

    福島第二 4号機
     RHRCポンプ モータ:
柏崎刈羽から陸送したものと交換
             電源:3号機の空き端子から電源ケーブルを敷設し供給。
     RHRSポンプ モータ:使用可能だった
             電源:3号機の空き端子から電源ケーブルを敷設し供給。
     EECWポンプ モータ:使用可能だった
             電源:
高圧電源車+変圧器の構成で電源ケーブルを敷設し供給。  
    
(20120723 政府事故調 2 pdf166 より
    (実録ドラマ風仕立て)(メルトダウンへのカウントダウン、カチッ、カチッ、)
               (福島第二原発:1号機に危機迫る。正に綱渡りで凌ぐ)
     福島第二原発1号機のEECWポンプ( RHRの軸受け冷却用)の復旧が間に合わず
    RHRを起動することが出来ない。格納容器の圧力が上がり続け爆発の危険が迫って
    いる。ベントをすれば格納容器の圧力は下げられるが、風評被害は避けられない。
    爆発の危険は迫る。ベントは避けたい。どうする第二発電所対策本部!
     ついに、軸受冷却用のポンプ復旧を待てず、軸受の温度が上がるのに時間がかか
    るはずだからそれまでは大丈夫だろうという、温度警報が出たらRHRを停止させれ
    ばいいじゃんという、軸受焼き付きのリスクを冒し、RHR起動に踏み切り、先ずは
    格納容器の冷却を開始した。
     EECWポンプは、この20分後に復旧した。20分待てない程に事態は切迫していた
    のである。
     ちなみに、EECWポンプのモータは自衛隊機で空輸したモータであり、電源は高
    圧電源車+変圧器であり、これらを接続した電源ケーブルは自衛隊ヘリで空輸した
    ものであった。自衛隊の支援がなければ、ベントが避けられなかったに相違なく、
    メルトダウンに至っていても何の不思議もない。
     メルトダウンを防ぐために何が必要か、そしてそのために必要な機材は何処に有
    るか、そしてそれら必要な機材をどうやって運ぶか、そして工事をどうやって間に
    合わせるか、マニュアルの無い問題を次々に解かねばならない。そしてそれを解い
    た。1号機2号機4号機、3機同時にである。実に見事なオペレーションであり、
    実に見事なハンドリングである。
     追記。福島第二 4号機のRHRCポンプのモータは、柏崎刈羽原発からの陸送によ
    るものである。福島第二は八方手を尽くしていた。その結果、間に合ったのである。

  
  
  
上記、住民避難を伴うような原子力事故の予見可能性について
    福島第二原発の海抜4mの敷地に設置されている非常用海水系ポンプは、
    
津波の高さ5.1〜5.2mに対して機能を確保できるよう対策を講じていた ところ、
    2002年7月31日の国の地震調査委員会による地震予測に基づく津波の試算を行えば、
 
    であり、津波の試算は、4m盤上の残留熱除去海水系ポンプを2m〜3m
        
も超えており
        
残留熱除去機能(原子炉の除熱機能)が喪失すること
        
残留熱除去海水系ポンプの被水モータの交換工事が必要になる
        
こと
        
同一建屋内にあるモータ駆動用480V電源盤が被水し使用不能
        
になるので仮設電源の敷設工事が必要になること
        
以上の工事は常駐している運転操作員の手に負えるものではな
        
いこと
        
残留熱除去機能の喪失から10時間後「原子力緊急事態の発生
        
を示す事象」に至り、住民避難指示という事態に至ること
    
が事前に想定可能であった。
    つまり、
福島第二原発に、上記のような原子力事故が発生するであろう
        
ことは、予見が可能だったのである
    つまり、
事前に対処していれば、危ない橋を渡らずに済んだのである
    つまり、
事前に対処していれば、大騒動を起こさずに済んだのである
    つまり、
事前に対処しておらず、リスクを隠して運転していたのである
        
からして悪質であり「東電に原発を運転する適格性はない」と
        
でもいうような烙印を押されたら、国も困るのである  

    上記の非常用海水ポンプは、残留熱を海水へ放熱して、
炉心損傷を防ぐための重要
    なものであることから、省令62号4条1項の「津波により原子炉の安全性を損な
    うおそれ」がないものでなければならないところ、国の長期評価に基づく地震予測
    から津波を試算した場合、
津波に対する安全性を2m〜3mも欠いているのであるか
    らして
電気事業法第40条の技術基準適合命令の対象であり、
    
命令を出さなければ国の規制権限の不行使である  

    なお、2002年7月31日の国の地震調査委員会による上記地震予測は、下記であり、
 
    単なる懸念とか予言とかいうようなものではなく、阪神淡路大震災を契機に国に設
    置された地震調査委員会により公表された科学的なものである。事実、上記の公表
    から8年7カ月後に、3.11大地震が発生することになるのである。
 
 
 なお、ここで、再確認しておくが、
 規制当局は、公共の安全を確保し、環境の保全を図るために、
津波に関する科学的知見を
 継続的に収集し
原子力事業者が安全対策を先送りしていないかどうか不断に注視しつつ
 運転停止を含む規制権限を適時かつ適切に行使し、原子力災害を未然に防がなければなら
 ないし、その被害の甚大さに鑑み、それを未然に防ぐための強力な罰則付きの規制権限を
 法により与えられているのであるからして、規制権限の不行使により、公共の安全を確保
 することに失敗し、あるいは環境の保全を図ることに失敗すれば、国はそれを賠償しなけ
 ればならない。
 
 
 
 
 福島第一原発の住民避難を伴うような原子力災害の予見可能性
    福島第一原発の海抜4mの敷地に設置されている非常用海水系ポンプは、
    
津波の高さ5.4〜6.1mに対して機能を確保できるよう対策を講じていた ところ、
    2002年7月31日の国の地震調査委員会による地震予測に基づく津波の試算を行えば、
 
    であり、津波の試算は、4m盤上の残留熱除去海水系ポンプを3m〜4m
        
も超えており
        
残留熱除去機能(原子炉の除熱機能)が喪失すること
        
残留熱除去海水系ポンプの被水モータの交換工事が必要になる
        
こと
        
4m盤上にある取水設備電源室が被水しモータ駆動用6.9kV電源
        
が使用不能になるので仮設電源の敷設工事が必要になること
        
以上の工事は常駐している運転操作員の手に負えるものではな
        
いこと
        
残留熱除去機能の喪失から10時間後「原子力緊急事態の発生
        
を示す事象」に至り、住民避難指示という事態に至ること
     特に、
福島第一原発から5キロにある双葉病院と施設の180人の寝た
        
きりや介護が必要な高齢患者の、増してや地震および津波発生
        
による混乱時の避難には、避難そのものに大変なリスクが伴う
        
ことになるので、そのような事態の発生は規制権限の行使で絶
        
対に事前に防ぐべきこと  
     
(福島・双葉病院の悲劇 - 原発事故避難で死亡した50人の寝たきり患者(popup))
    
が事前に想定可能であった。
    つまり、
福島第一原発に、住民避難を伴うような原子力災害が発生する
        
であろうことは、予見が可能だったのである
    さらに、
原子炉の除熱機能の復旧が3日間滞れば、原子炉が空焚きにな
        
ってメルトダウンが発生し、放射性物質漏出に進展するような
        
シビアな状態になるリスクがあることが、予見可能だったので
        
ある  

    上記の非常用海水ポンプは、残留熱を海水へ放熱して、
炉心損傷を防ぐための重要
    なものであることから、省令62号4条1項の「津波により原子炉の安全性を損な
    うおそれ」がないものでなければならないところ、国の長期評価に基づく地震予測
    から津波を試算した場合、
津波に対する安全性を3m〜4mも欠いているのであるか
    らして
電気事業法第40条の技術基準適合命令の対象であり、
    
命令を出さなければ国の規制権限の不行使である  
 
    国は電気事業法第40条に基づく規制権限を行使すべきであり、これを行使し技術基準
    適合命令を発していれば、
狙わずともそれに付随して残留熱除去系が技術基準適合命
    令対象設備になったというインパクトが東電内に深く残り、
そうなっていれば、長期
    評価に基づく津波対策工事の完了いかんを問わず、例え3.11のような
大津波が来たと
    しても、
稼働全機で残留熱除去系を見落とすといったような大失態が生ずる筈も無
    く、
除熱機能を持っていないSLCの復旧に貴重な三日間を無駄に費やすといったよう
    なことが生ずる筈も無く、福島第二原発と同様に3.11初日から残留熱除去系復旧工事
    に着手しRHRポンプとRHRSポンプを電源車で稼働させるに至れば原子炉の除熱機能
    が働き、
放射性物質の漏出事故は回避できていたということになるのである。

    発電所は2002年5月から緊急時を想定して下記の体制を取ってはいたが、「津波が来
    たら残留熱除去海水系ポンプが一番危ない」との情報が届けられることは、ついぞ無
    かった。体制を取ってはいたが機能せず、もったいないことであった。仏作って魂入
    れずであった。下記はまったくの空文である。 
 
 
  
  
その福島第一原発の3.11がどうだったのかについて
    
東電事故調査報告書 20120620 本編 pdf346枚目 に、
    『 2、3号機では、津波襲来後も原子炉隔離時冷却系(RCIC)などの高圧注水系が
      機能したことで、2〜3日の対応時間を確保することはできた。』

    と報告されていることから、残留熱除去系を復旧させるための時間は2〜3日有った
    ということになります。

   
事実、下記は福島第一原発2号機のデータですが、
    ほぼ3日間は原子炉水位が一定に保たれており、この間に残留熱除去系を復旧させて
    いれば、残留熱除去系による除熱により炉心損傷事故は回避出来たことになります。

    それが間に合わなかったので、水位が低下し核燃料が露出して空焚き状態になり炉心
    が溶融して放射性物質漏出事故になってしまったのです。
 
    本来なら上図の左下に除熱/RHRという項目がなければならないのに、それが無いの
    です。

    つまり、残留熱除去系(RHR)を復旧させようとした形跡がまるで無いのです。
    つまり、残留熱除去系を回復させようとする体制すら取られていなかったのです。

    
それが、なんと、
    

 残留熱除去系は、見落とされていた 
 2号機の場合 : その証拠ビデオ 
 東京電力 テレビ会議 
 上記の中の「2013年3月6日(公開分)」が下記 
 テレビ会議録画映像の開示(第2回)(平成23年3月16日〜4月11日:155箇所)  
 上記の中の「87-1」が下記のビデオであるが、何日の何時の会議かというと、 
 「87」の録画時間は3月26日19時30分〜3月27日3時30分までの8時間であり、 
 「87-1」は3月27日1時10分44秒〜11分57秒までの1分13秒間の録画である。 
 「87-1」 
 2011年3月27
復旧班から一言です
  今朝ほど(3月26日朝)、海水の浸かり具合ということで、タービンビルは非常に
 厳しいというご報告を申し上げました。
  
その後、よくよく調べてみると2号機におきまして
 
その電源盤で、あの、あの、出力こそ小さいんですけれども、えーっと
 
水に浸かっていない部分があるということが確認されました
  その電源盤には
、えーっと、残留熱除去系という、大掛かりな冷却システ
 ムではありませんけれども、より小さいけれども、
 
除熱が出来る系統がぶらさがっているってことが当然確認できまして
 
この設備を用いて除熱が出来る可能性が見えてまいりました
  ですのでここは一つのチャンスと捉えて集中的にプロジェクトを立ち上げて、
 これを是非乗り切って行きたいというふうに思っております。

 東電用語集:RHR/残留熱除去系
 『・・・・・原子炉を冷温停止に持ち込めるだけの能力を有している。      
 ポンプ容量・熱交換機ともに能力が高く、・・・・・・・・・・・  』     
 

 上記「復旧班から一言」は大失態がよほど気まずかったのでしょう何度も言い淀 
 んだ上に、大失態を覆い隠そうとしたのでしょうか、
残留熱除去系について「出力
 こそ小さいんですけれども」とか「大掛かりな冷却システムではありませんけれど
 も」とか「より小さいけれども」
などと小さく見せようと言い訳をしております
    原発には魔物が住んでいるのです。
    
これが原発というものであり、これが原発というものの恐さです。
    
「除熱が出来る可能性」がある設備に気が付くのが遅かったのです。
    
2号機は、14日に既にメルトダウンしてしまっており、今さら気が付いて
    
も全くの手遅れです。
    
福島第二原発が自衛隊に災害派遣を要請してモータを空輸してまで復旧を
    
急いでメルトダウンを防いだ残留熱除去系を、福島第一原発はなんと見落
    
としていたのです。
    
全くもってして、起こり得ないことが起こるのが原発というものなのです。
    
原発には魔物が住んでいるとしか言いようがないのです。
    
復旧班は、真っ先に「残留熱除去系」を気にかけねばならなかったのです。
    (下記は、20120705国会事故調査委員会報告書pdf19枚目の部分)
 

    「残留熱除去系を3日以内に直せ」との至上命令を出し、タイムテーブルを作り、各
    物品各工事のタイムリミットを宣言し、陣頭指揮を取るべき責任者は、いったい何を
    していたのか。
 
    RHRを直すという答えがあるのですが、
    絶望していて、RHRに希望を持ってはいなかったのです。
    それにしても、なぜ、RHRが出て来ることなく絶望したのか。
 
    支援体制を含め、巡り合わせが悪かったとしか言いようがないのです。
    
これが原発というものであり、これが原発というものの恐さです。

   
*上記のように、発電所長が不慣れな場合を想定し、法律は下記の条項を規定してい
    
ます。  
    
(20100608 原子力災害対策特別措置法(事故前最終版).html(popup))
     (原子力防災管理者)
     第九条  原子力事業者は、その原子力事業所ごとに、原子力防災管理者を選任
      し、原子力防災組織を統括させなければならない。
      原子力防災管理者は、当該原子力事業所においてその事業の実施を統括管理
      する者をもって充てなければならない。

      
原子力事業者は当該原子力事業所における原子力災害の発生又は拡大の防
      止に関する業務を適切に遂行することができる管理的又は監督的地位にある者
      のうちから
原子力防災管理者を選任し原子力防災組織の統括について、
      原子力防災管理者を
補佐させなければならない
      
原子力事業者は原子力防災管理者が当該原子力事業所内にいないときは
      
副原子力防災管理者に原子力防災組織を統括させなければならない。
   
*以上、発電所長が不慣れな場合を想定し、法律は上記の条項を規定していたのだが。
    
    原子炉の状態を把握し、原子炉の自滅を支え、原子炉を自滅から守るべき最前線の運
    転操作員はというと、下記のように絶望していた。
    (自衛隊員並みのサバイバル訓練を受けていると思っていたが)
    最前線にいて運転に何が必要なのか把握してそれを発信すべき運転操作員がまるで組
    合の団体交渉のようなありさまである。原子炉のこと、運転に必要なことが一番よく
    分かっているはずの運転操作員が「RHRを早く直せ」と発信しなければならなかった
    が、それをしていなかった。
 
    福島第一原発はRHRがまったく視野に入っていなかったのです。
    福島第一原発はRHRという目標を作り得ていなかったのです。
    福島第一原発はRHRというゴールを作り得ていなかったのです。
    福島第一原発はどこへ向かって走っているのか分からなかったのです。
    福島第一原発は出たとこ勝負です。
    福島第一原発は泥縄です。
    福島第一原発は五里霧中だったのです。
    そして、メルトダウンさせてしまったのです。

    
全電源が喪失していてもやれることはあった、やるべきことはあった
    「原子炉圧力」 → 原子炉建屋2階の計装ラックで直接読取可能。
    「原子炉圧力」 → バッテリー2個24Vで代替計測が可能。
    「原子炉圧力」 → 照明用小型発電機120V電源で直接読取可能。
    「原子炉水位」 → バッテリー2個24Vで代替計測が可能。
    「原子炉水位」 → 照明用小型発電機120V電源で直接読取可能。
    「D/W圧力」 → 原子炉建屋2階の計装ラックで直接読取可能。
    「D/W圧力」 → バッテリー2個24Vで代替計測が可能。
    「D/W圧力」 → 照明用小型発電機120V電源で直接読取可能。
    「S/P圧力」 → バッテリー2個24Vで代替計測が可能。
    「S/P圧力」 → 照明用小型発電機120V電源で直接読取可能。
    「S/P水温」 → 照明用小型発電機120V電源で直接読取可能。
    「SR弁」 → バッテリー10個120Vで作動可能。
    「格納容器外の弁」 → 手動で操作。

    「ICが動作しているのかどうは分からない」 → 原子炉建屋2階の計装ラックの圧力
    計で圧力高なら停止中。
    「バッテリー喪失中でICで原子炉を冷やせない」 → 原子炉建屋で2A弁3A弁を手動
    で開けろ。
    「ポンプが動かず代替注水が出来ない」 → 
ろ過水タンクの水頭圧差 により三日
    間(外部水源注水総量制限ex.2300㎥まで)代替注水可能。
残留熱除去系の応急復旧
    を訴えつつ三日間持ち堪えれば・・・・・、

    この三日間に支援部隊が残留熱除去系を応急復旧させてくれれば、メルトダウンを
    起こさずに済んだのである。
 

    運転操作室に誰もいなくなったら → 日本は滅亡する

    原発の不都合な真実 = 原発の最大リスク = 日本滅亡のリスク は今もある

    国民は原発の最大リスクを知らされていたのかどうか。
    運転員は原発の最大リスクを教育されていたのかどうか。

    運転操作室に誰もいなくなったら → 原子炉はどうなるか

    核燃料自体が発する2600℃の崩壊熱で溶融した核燃料が圧力容器の底を破って格納
    容器の中へ落下し、やがてその熱で格納容器が変形損壊し、そこへ地下水が流れ込ん
    で核燃料デブリと接触し、莫大な放射性物質を含んだ地下水が太平洋へと流れ出し、
    放射性物質が食物連鎖で世界中の海へと拡散し、あちこちの漁場で日本由来の放射性
    物質が検出されることとなる。そして魚を食べた鳥により世界の山河へと拡散し、世
    界の山河から日本由来の放射性物質が検出されるようになる。核分裂の結果生み出さ
    れた日本由来の人工的放射性物質がこの美しい地球を汚染することになってしまうの
    である。このようになると、日本は世界中から補償を求められ、日本は滅亡する。
 

    この日本滅亡の危機は現在も続いているのである。

    福島第一原発1〜3号機では溶け落ちた核燃料デブリに接触した地下水が太平洋へと流
    れ出す前にポンプで汲み上げタンクへ保管し続けている。

    ポンプでの汲み上げは今後何年続くか分からない。何らかの事故によりあるいは能登
    半島地震のような地殻変動によりポンプでの汲み上げあるいはタンクへの保管がスト
    ップすれば日本は滅亡する。原発事故はこのようなリスクを日本に残したのである。
    原発は日本を滅亡させるようなリスクを元々持っておりそれが表面化しただけなので
    ある。
    それでも原発を動かしますか ?
 

  
この裁判、背景を考えたら、国の滅亡を防ぐ機会を逸したことになりかねない
  
のです。
  
東電が恐さを知らず運転した如く、最高裁が恐さを知らぬまま判決を出すこと
  
は罪なのです。
  
国民は声を上げなければならないのです。  

    
東京電力事故調査報告書 20120620 本編(概要版)pdf35枚目 に、事故の要因とし
    て、

    『「長時間におよぶ非常用海水系の除熱機能の喪失」』

    と書かれていますが、なぜ除熱機能の喪失が長時間におよんだのかは書かれておりま
    せん。
    「非常用海水系の除熱機能の喪失が長時間におよんだ」のは、非常用海水系を見落と
    していて復旧着手が遅れたからです。
    そして、対応時間切れになった時に除熱機能が復旧していなかったのでメルトダウン
    に至ってしまったのです。

    (全交流電源そして直流電源の喪失等の事情があったにせよ、除熱機能を復旧させな
     ければメルトダウンは防げないのです。電源は手段であって目的ではないのです。
     目的は除熱機能を復活させるために残留熱除去系を復旧させるということあって、
     その手段として、モータはどうするか、電源ケーブルはどうするか、電源はどうす
     るか、「残留熱除去系を復旧させなければメルトダウンしてしまう」ということを
     テレビ会議で11日中には訴え、支援を求めなければならかったのです。何が欠けて
     いたのか。情報です。その情報とは何か。その情報とは「残留熱除去系を復旧させ
     なければメルトダウンしてしまう」ということです。)

    
まさか、
    まさかとは思いますが、残留熱除去系が機能停止すれば早晩メルトダウンに至ってし
    まうこと、残留熱除去系を早急に復旧させればメルトダウンは防げること、を知って
    いる人は極めて限定的だったのでしょうか。

    わざわざテレビ会議まで行っていてどこからも「残留熱除去系はどうした?」との声
    が出ないことが不思議なのです。
    3月27日の2号機の残留熱除去系の説明時に「いまさら何を言ってんだ!」との声が
    出ないことが不思議なのです。

    
まさか、
    残留熱除去系の除熱機能を知ってる人がたまたまいなかった?
    残留熱除去系を知ってる人がたまたまいなかった?

    直接的であれ、間接的であれ、報告書に残留熱除去系復旧に向けての記述はいっさい
    出て来ない。

    
福島第一原発は、どこで道を間違えたのか?。
 
    上記の点検経路に取水設備電源室が入っていない。点検から漏れている。
 
    その点検が漏れたままの報告がなされ、そのまま復旧方針が決められた。
    残留熱除去系のモータはM/C経由で電源供給を受けているが、M/Cは早々に諦めて
    しまっている。

    目的は、残留熱除去系ポンプを動かすことになければならないのであって、その手段
    としてモータはどうする、電源ケーブルはどうする、電源はどうする、とならねばな
    らなかった。目的は曖昧なまま手段の揃いそうな設備を直すことになったのである。
 
 
    直せそうなところから取り敢えず直し始めたとしか思えない。
    たとえSLCを復旧させたとしても除熱の役に立ちはしない。格納容器の耐圧は圧力容
    器の耐圧の約10分の1であり、高圧で注水すれば格納容器が爆発しかねない。

    (下記は、20111226政府事故調査報告書(中間)(本文編)4章pdf135枚目編集)
 
    福島第一原発は、3月12日から3月14日11時まで、1〜3号機のSLC系ポンプの電源を
    電源車で復旧させるための工事を行なっていた。残留熱除去系ポンプの電源を高圧電
    源車で復旧させるための工事はさらさらしていなかったのである。
    SLCを復旧させるなどといった悠長なことをしている時間が無いことに、テレビ会議
    をやっている数十人の誰一人として気が付かなかったのです。
    残留熱除去系を見落としていたのは2号機だけではなかったのです。稼働全機で残留
    熱除去系の代わりにSLCを復旧させていたのです。
 

    
だとすれば、仮に、規制権限が行使されていれば、
    かかる状況において、ハード面ではなく、ソフト面(残留熱除去系の機能を知るとい
    うこと、原発の本当の怖さを知るということ、それに備えておくということ、何のた
    めに人間がそこにわざわざいるのかということ)において大きな意味を持ったことに
    なり、放射性物質の漏出は回避できていたことでしょう。
 

    スリーマイル島原発事故のロジックを原発関係者全員が常識的に知っていると思って
    いましたが、福島第一原発事故に関する限り知っている人は誰もいなかったのです。
 

    そんなこと言ったって福島第一原発は全電源喪失でプラントの計測ができなかったの
    だから、福島第二原発と違うのでは ?。

    (下記、東電事故調査報告書20120620 主な時系列pdf27枚目(25頁)の一部分)
 
    計測用電源は12日には復旧していました。
    運転については、原子炉建屋へ行って手動で弁の開け閉めをすることになります。非
    常時ですから。そのために人間がそこにいるわけですから。
    電源車に不足があるというのならば、外部電源の復旧にタイムリミットを設定しなく
    てはならなかったのですが、外部電源の復旧は本店に丸投げしたままそのままです。

  
  もし、規制権限を行使していたとしても放射性物質漏出事故は回避できなかったというの
  であるならば、どこにネックがあって残留熱除去系の復旧が出来なかったということにな
  るのか、復旧出来ないことの立証責任は被告国側にある。

  なお、もしそのネックが立証されるようなものであるならば、そのようなネックのあるも
  のは、はなから運転を許可してはいけなかったのである。
 

  つまり、(格納容器へ残留熱を溜めておける)3日以内に残留熱除去系の修復が困難であ
  るというならば、つまり
残留熱除去系という安全装置がそのような日本中を探しても見つ
  からないような特殊な工作物を含むものであるというならば、
そのようなものは、はなか
  ら運転させてはいけなかったのである。
 

  それがポンプなのか、モータなのか、電源ケーブルなのか、電源車なのか、配管なのか、
  熱交換器なのか、何がネックになり得るというのか。
  もし、それが弁だというならば、すべての弁はフェイルセーフの考え方からして、手動で
  開閉できるような機能を備えているのが当然である。停電時の自動扉と同じことである。


  なお、残留熱除去系の全体構成は残留熱除去海水系ポンプの他に原子炉建屋内にもう一
  つの残留熱除去系ポンプがあり、この二つのポンプの水流配管が熱交換器を介して熱を
  やり取りすることで除熱を実現しているが、原子炉建屋内の残留熱除去系ポンプは水密
  扉で守られていて健全だったはずである。
もし健全でなかったというのならば、それは
  それで一つの教訓である。健全だったのか、健全ではなかったのか、東電は答える必要
  がある。分からないでは、話にならない。3月11日に分かろうとしていなければならなか
  った。

  (下記は、一審福島地裁判決129頁の部分)
 

  それなのに、3.11にはネックがあった。ネックがあったからこそあそこまで事故が進展し
  てしまったのである。進展を途中で止められなかったのである。3機共に行き着くところ
  まで行き着いてしまったのである。

  そのネックが、3.11の本当の事故原因である。

  物品なのか構造なのか体制なのか。

  国も東電もこの問いに答える必要がある。

  それこそが、事故の真の教訓である。
 
  

  RHRの復旧は、出来るとか出来ないとかいった問題では無いのです
  何としてもやらねばメルトダウンは防げないのです
  やればメルトダウンは防げるのです
  先ずは、知識があるかどうかの問題です
  次は、何としてもやり遂げるという意志の問題です
 
  

  プラントの全部の機能を復旧させなくてもいいんです
  RHRに絞って復旧させればいいんです
  運転操作室から操作できなくてもいいんです
 
  

  野戦病院の治療なのです
  ツギハギでもなんでもいいんです
  バラックでもいいのです
  プラント内の熱を外へ出すことによって内部を冷やす
  そのような仕組みを創作すればいいんです
 
  
    
残留熱の除去は簡単な仕組みで可能です。
残留熱除去海水ポンプがまるで使えなかったら水中ポンプで代用してもいいのです。
図の左側、水中ポンプで海水を汲み上げて熱交換器を介して海に戻す流れを作ります。
もう一つ、図の右側、残留熱除去海水ポンプを動かして原子炉内の冷却水を汲み出して
熱交換器を介して原子炉へ戻す流れを作ります。
この二つの流れ、冷却水と海水がそれぞれぐるぐる回れば、原子炉内の熱が熱交換器を
介して海水へ移動し海へ注がれます。これで残留熱の除去が永続的に出来るようになり
ます。
上図の水中ポンプの仮設電源は高圧電源車です。
配管はツギハギしてでも兎に角どうにか接続します。
 
  上記と同等の機能を持つ仕組みを1〜3号機で作ろうとしていたが成し遂げられなかったと
  いうことならば、その成し遂げられなかった理由が本当の事故原因です。
  それが物品なのか、構造なのか、体制なのか、
  それが本当の事故原因であるべきです。
  この事故から教訓を得るために。
 

  それが、なんと、
  福島第一原発では、RHRの復旧は後回しにされていた  
  
(20110808 いわゆる吉田調書 1 pdf3枚目.pdf(pop))
  『 質問者 (略)    
3月16日の10時04分に本店優先順位の確認
  と書いてあって、1番目が1F4号機のSFP、燃料プールへの注水、2番目に外部電源の
  復旧3番目に電源車を入れるための養生、4番目に1Fの1号機、3号機の燃料プール
  への注水と優先順位が書き取られてるんですけれども、これは御記憶と比べてどうです
  か。 』

  『 回答者 それでおおむね間違っていないと思います。 』

  『 質問者 そうすると、外部電源の復旧というのが2番目の優先順位としてあって、3
  番目の電源車を入れるためというところがあって、この辺りのところは1〜3号機になる
  んですか。電源車というのはどうゆうことなんですか 』

  『 回答者 (略)
  ただ、早く外部電源を復旧して生かせる機器を生かしたいということで、2番目の外部電
  源の復旧工事にとりかかる。それはうちではできませんので、本店でやってもらうという
  ことでお願いをしておった。それと同時に、
外部電源が復旧できれば、それにぶ
  ら下がるポンプなどを使えるようにしましょう。ですから、そこを両面で本店でやってい
  たというのがずっと続いているんです。
  私などはなかなか無理だと思っていたんだけれども、
既存のRHRだとかそういう
  既存の本設設備を回してなんとかできないか、まだそのときはそういう考えだったんで
  
  ですから、外部電源を復旧する。場合によって外部電源が届かないところについては、3
  番目にあるように電源車をもってきて、電気を供給して、何とか復旧できる機器は復旧し
  たいというのが大きい軸だったんです。ですから、外部電源というよりも、電源関係の復
  旧が1つの軸だった。 』

  
3月16日午前10時時点においても、RHRの復旧優先順位は低く、
  
外部電源復旧の後ということになっていた(電源車が有ったのに)。
  
これでは、1〜3号機の全てをメルトダウンさせてしまっても不思議はない。
  
福島第二は人間がいたからメルトダウンを防げたのです。
  
福島第一は人間がいたのにメルトダウンを防げなかったのです。
    (下記は、20120705国会事故調査委員会報告書pdf19枚目の部分)
 
 

  
ひょっとしたら、
  原発は絶対に安全であるということに社内外でなっていなければならないので「今後30年
  以内に20%程度の確率で発生すると推定されるプレート間大地震による大津波が来た場
  合、全機の残留熱除去海水系ポンプが3m〜4mも水没し全機の除熱機能が喪失し、除熱機
  能の復旧が滞れば炉心損傷を起こし放射性物質が漏出するような危険なことになる。」な
  どといった
不遜なことを語ることはタブーだったのかも知れない
  もし、そのようなことが語られていれば「そのような危険なものは会社側の職場環境配慮
  義務違反であり、そのような危険性のある職場で運転操作員を働かせるわけにはいかな
  い。」などと労働組合は反発せざるを得ず、組合問題、団体交渉、労使紛争といったこと
  になっていたかも知れない。ところが、そうはなっていなかった。よって、本件の危険性
  については運用の現場の発電所内で語られることは一切なく、運用とはかけ離れた本社の
  限られた人たちによってのみハード的な対策についてのみ語られていたものと思われる。

  発電所では残留熱除去系は忘れ去られた遠い存在と化していたのかも知れない

  いずれにしても、もし、発電所内で広く語られていれば、3.11の結果は変わっていたこと
  でしょう。情報は力を持つのです。情報があれば、結果は変わるのです。
 

  
以上、まとめると、
  
2002年7月31日の国の地震調査委員会による地震予測に基づく津波の試算を国
  
または国が東電に命じて行えば、残留熱除去海水系およびその電源盤が水没す
  
ることが明らかであったことから、国は電気事業法第40条に基づく規制権限を
  
行使すべきであり、これを行使し技術基準適合命令を発していれば狙わずと
  
もそれに付随して残留熱除去系が技術基準適合対象設備になったというインパ
  
クトが東電内に深く残りそうなっていれば、長期評価に基づく津波対策工事
  
完了のいかんを問わず、例え3.11のような大津波が来たとしても稼働全機で
  
残留熱除去系を見落とすといったような大失態が生ずる筈も無く除熱機能を
  
持っていないSLCの復旧に貴重な三日間を無駄に費やすといったようなことが
  
生ずる筈も無く、福島第二原発と同様に3.11初日から残留熱除去系復旧工事に
  
着手しRHRポンプとRHRSポンプを電源車で稼働させるに至れば原子炉の除熱
  
機能が働き、放射性物質の漏出事故は回避できていたということになるのであ
  

  
増してやモータがあるいは電源ケーブルが事前に準備され、電源車が到着し、
  
残留熱除去系が坦々と復旧されればなおさらである。増してや安全を確かなも
  
のとするために対策工事完了までの運転停止を命じていたのであれば、なおさ
  
らである。  

  
なお、対策が困難な場合は、元々立地に適さなかったのであるからして、撤退
  
するしかないのである。
  
原子力事業者任せでは、とんでもない穴が開くことがあるのです。ですから、
  
それを想定し、国によるダブルチェックとダメ押しがあらかじめ用意されてい
  
るということになります。
  
本件に関する一次的な責任はもちろん東電にありますが、「国策民営」の監督
  
責任を国が引き受けなければ、国としての示しがつかず、国としての体を成し
  
ません。その監督責任を国が引き受けないとなれば、住民が原発の稼働を許す
  
ことにはならないでしょう。  
 

  
以上のまとめ
  
津波の到来は予見できたか:30年以内に20%の確率で予見できた。
  
放射性物質漏出事故は回避できたか:国の規制権限の行使により回避できた。
  
以上、国の規制権限の行使により放射性物質漏出事故は回避できたのであり、
  
国の監督不行届きという過失があったのであるからして、被告国は、国賠法
  
1条一項に基づく損害賠償責任を免れない。  

  国の規制権限が行使されそれを契機に「津波が来たら何はさておき残留熱除去系の確保」
  が標語になっていなければならなかった。
    
 
2)さて、3.11の事故報告書について、
東電が3.11の事故処理において残留熱除去系を見落
  とし(除熱が手遅れになり)過酷事故にしてしまった
という東電の大失態と、国(原子
  力安全・保安院)が規制権限を行使し残留熱除去海水系ポンプに関する技術基準適合命令
  を発すべきなのにこれを発せず過酷事故を未然に防げなかった
という国の監督不行き届き
  と、プルサーマルを推し進めたい資源エネルギー庁がらみで3.11の前年に
国と東電がつ
  るんで行なった福島県に対する3号機の耐震偽装(残留熱除去海水系ポンプの津波リスク
  抜き)報告により福島県が原発運転に待ったをかける機会を逸した
という福島県に対する
  背信行為以上の3点が追求され詮索されるのを防ぐということにおいてそのために上
  記3点の手掛かりを与えないように事故報告書を訳の分からないようにそれらしく書くと
  いうことにおいて、国民の先頭に立って真相を明らかにすべき国(原子力安全・保安院)
  と東電の立場、つまり調べる側と調べられる側の立場が一致した
 

  残留熱除去系の津波被害を全機で見落とし過酷事故にしてしまったことは黙して語らず、
  事故原因は「「想定外の津波」による冷却電源の喪失」というもっともらしいふんわり
  とした総花的でつかみ所のない抽象的なもので納得していただくことに致しましょう。

  そのようにしてしまえば、国の責任も、東電の責任も、深入りされず詮索されずに済む。

  
そのようにすれば、お互いに傷が付かないで済む。
  
お互いに傷付かないことは、良いことなのである。  

  東京電力は福島第一原発の大失態を覆い隠すために「全ては津波」と思い込ませるような
  情報戦を展開したのです。
  ですから、人々は、福島第一原発の事故原因は「「想定外」の津波による電源の喪失」
  と思い込んでいるのです。
  東電のイメージ戦略:
  
津波で福島第一原発の全てがダメになったと視覚的に思わせる戦略図。
 
  実際は3号機のバッテリーは、A系B系の両方が生き残っており、RCICとHPCIにより長
  時間確保していた。1号機のバッテリーAは、約1時間後に自然回復した。DD F/Pは、
  2台が自動起動、1台は手動で起動させた。空冷の非常用ディーゼル発電機の2号機の
  D/G(2B)と4号機のD/G(2B)のD/G本体は運用補助共有施設に設置されており津波
  の侵入被害はなかった。

  福島第一原発のRHRは喪失したまま放って置かれたが、福島第二原発は、必死になって
  RHRを修復していたのである。
  これが、メルトダウンの分かれ目である。

3.11では、福島第二原発も、津波で残留熱除去海水系ポンプ(RHR系)が全滅し、

海への残留熱放熱機能を失いメルトダウンの危機が3日後に迫っていました。

福島第二 1号機 RHR系応急復旧後

RHRCポンプのモータとEECWポンプのモータは
自衛隊機で空輸したものです。
仮設の電源ケーブルは自衛隊ヘリで空輸したものです。
480Vの空き端子が足りなくなったので、
高圧電源車 + 変圧器でモータを回し急場を凌いでいます。

壊れたら、直せばいい。

福島第二は、直した。

福島第一は、直さなかった。

福島第一は、RHRを見落としていた。

福島第一では、RHRは全くの手付かずだった。

福島第一 2号機のRHR系は構造がシンプルであり、

福島第二よりも直し易い。

残留熱除去海水系はモータ1台を交換して電源ケーブルを布設して

高圧電源車で動かせばそれでいい。

注。RHRは重要な設備なので4重化されています。
4系統のうちの1系統だけ動かせばよかった。
 

  情報操作:
  事故報告書は「吉田神話的お涙頂戴的文学的報告書」とする。
  吉田所長が叫び怒鳴りつけているセンセーショナルなテレビ会議映像を戦略的にテレビ局
  に提供すると同時に、吉田所長は最善を尽くしていたというイメージ操作ですべてを覆い
  尽くし事故処理に関する一切の疑問が出ないようにする。
  また、所員は体育館に雑魚寝で冷たい弁当という劣悪な環境の中で事故処理に頑張ってい
  るとの情報操作を行なって同情を買うようにし東電への批判が出ないようにする。(TBS
  のAZのMCのMMさんが「消防自動車の燃料切れで原子炉の冷却が止まっていたなんて、
  東電は一体何やってんだ!」と言っていたMMさんが、翌日に東電に対するトーンがガラ
  リと変わって「現場の人は劣悪な環境の中で一生懸命頑張っているんだよ」などと言って
  それ以降東電の批判は一切しなくなった。これはMMさんに限ったことではない。それま
  で東電の批判をしていた他局の情報番組も東電の批判をしなくなった。コメンテーターが
  うっかり東電の批判をすると実体を知らずに放送禁止用語を発言したかのような気まずさ
  が流れMCがそれを取り繕った。)かくして、東電批判はタブーとなり、事故の真相究明
  はタブーとなり、少しの東電批判も他のマスコミが叩くこととなり、吉田所長のセンセー
  ショナルな場面のみが根雪のように残り、折に触れ放送され人々の記憶に残ることとなっ
  たのである。
 

  衆院特別委員会が「事故原因の徹底的検証に必要」として東電の窓口である原子力安全・
  保安院を通して東電に資料の提出を求めていた。東電が提出した資料は原子力安全・保安
  院を経由して衆院特別委員会に届いた。つまり、下記資料は、原子力安全・保安院が追認
  したものであり、原子力安全・保安院の事故究明に対する姿勢を表しているのである。
 
  事故に関するすべての情報について、国と東電がコントールした内容しか表に出されるこ
  とはなく、国民には、国と東電がコントールした内容に基づくものしか知らされなかった
  のである。
 

  事故原因は「想定外の津波による電源の喪失」は東電の騙しである以上に監督者たる国の
  騙しなのである。
(もし、東電の騙しに国が気が付かなかったと言うことであるならば、
  監督者不在であり、全国の原発は即刻停止しなければならない。)
 

  
かくして、マスコミと国民は国に騙されることになったのである。

  下記は東電の事故報告書であるが、
  <事故原因>は、津波、津波、津波、想定外の津波、である。
  
  (20120620東電事故報告書 本編 pdf346枚目の部分)
 
  上記の<事故原因>には、残留熱除去系(1号機の場合はSHC/CCS、2号機3号機の場合
  はRHR)に関することが何も記述されておらず、まったくの子供騙しの「事故原因隠し」
  である。
  下記「図ー1 事故時運転操作手順書の体系」にあるように、どんなに「シビア」な「ア
  クシデント」であったとしても「RHRによる除熱の確立」に持ち込めば「事象」はそこ
  で「整定」し進展を停止するのである。
 
  つまり、炉心損傷が発生した場合は、そのとき残留熱除去系がなぜ稼働出来なかったかが
  故障状況を含めて事故原因として書かれていなければ、全くもってして事故原因の用を成
  さない。
  当サイトによる<事故原因>
  残留熱除去系を見落とし、海水系ポンプ等の修復は手付かずのまま時限内にこれを稼働さ
  せることなく、原子炉は空焚きになって炉心損傷に至り、さらに圧力容器の底が抜け、溶
  け落ちた燃料の熱で格納容器が損壊するに至り、1号機〜3号機の放射性物質が広範に飛散
  するに至った。
  *1号機の補足:16時42分のバッテリーA自然回復時にICの2(A)弁と3(A)弁を開け
  ればICが作動し空中への除熱が開始される。なお、ICタンクへ水を補給し続ける限り長期
  間の除熱が可能である。なお、2(A)弁と3(A)弁はAUTOには戻さないこと。AUTOに
  戻しておくと、バッテリーA枯渇時にフェイルセーフ機能が働いてギリギリ弁が閉まる可
  能性がある。もっともそうなった場合は原子炉建屋へ行って弁を手動で開ければ良い。な
  お、弁が開いているのか閉まっているのか分からなくなった場合は、原子炉建屋2Fの計
  装ラックで原子炉圧力を見れば良い。圧力が高ければ弁が閉まっており圧力が低ければ弁
  は開いている。ICを作動させておけば、SHC/CCSを復旧させるのに十分な時間を確保す
  ることが可能であった。
  *2号機の補足:残留熱除去系への切替時の減圧については、12Vバッテリー10個でSR
  弁を8弁以上並列掛けで一斉に解放する急速減圧を行うこと。なおSR弁は0.6Wであるの
  で、一斉に開ける弁は多ければ多いほど良い。その方が減圧時の冷却水の水位低下が少な
  くてより安全である。
  *3号機の補足:後日記入
  東京電力は上記<事故原因>を甘んじて受け入れなければならない。
  もし、上記を否定するのであれば、残留熱除去系を復旧させることが出来ない理由を具体
  的に提示しなければならない。
  なお、それが簡単に修復することが出来ないような特殊なものであるならば、それはリス
  クに他ならない。
  残留熱除去系は極めて重要な安全装置であるがゆえ、特殊なものではなく極めてシンプル
  な作りのはずである。
  例えば11日に残留熱除去系復旧命令が一斉に出ていたとして何処にネックがあったのか。
  モータか、電源ケーブルか、電源車か、配管か、熱交換器か、工事か、計測か、操作か。
  上記のいずれかに絞られるはずである。それともネックは無かったのか。
  
  津波による電源喪失ということで、電源車があり余るほど駆けつけていた(下図参照)
  でも、過酷事故は起きた・・・ということは、事故原因は津波による電源喪失とは言えな
  い・・・では、津波と事故は関係がなかったのか・・・いや、津波が残留熱除去海水系ポ
  ンプを直撃しモータがショートして故障し原子炉の除熱機能が喪失した(それに気付かず
  それが修復されることはなかった)・・・そして、原子炉が空焚きになって炉心損傷が発
  生し、炉心が溶融して圧力容器の底が抜け格納容器へ溶け落ち、その燃料の輻射熱で格納
  容器が変形し、格納容器が損壊するに至った・・・
 


  いわゆる国会事故調(平成23年5月24日付け閣議決定された東電福島原発事故調査・
  検証委員会)がベースにした東電の事故報告書も、東電から資料提出された内容も、東電
  から聞き取った内容も、すべて東電と国にコントールされた情報である。
  だから、事故原因について「何かおかしい、何かがおかしい、何かスッキリしない」と感
  じていながらそれが限られた情報だけでは分からず、モヤモヤ、隔靴掻痒なのである。
 
  
(20120705 国会事故調査委員会報告書 本編 pdf15枚目.pdf(popup))
  『【事故の直接的原因】
   本事故の直接的原因は、地震及び地震に誘発された津波という自然現象であるが、
  
事故が実際にどのように進展していったかに関しては、重要な点において解明されて
  
いないことが多い
  (省略) 
   しかし
東電は、事故の主因を早々に津波とし、 ・・・。
   
直接的原因を、実証なしに津波に狭く限定しようとする背景は不明だが、 ・・・。
  
想定外とすることで責任を回避するための方便のようにも聞こえる が、・・・。』

  上記
『 事故が実際にどのように進展していったかに関しては、重要な点において解明
  されていないことが多い。』
とのことであるが、除熱必要時に残留熱除去系が数時間
  でも停止していればメルトダウンしてしまうことは自明の理であって、事故の主因が
  解明されていないはずが無いのであって、それは国と東電がしらばっくれているので
  あって、もし事故の主因が解明されておらずなぜ3.11のような大事故になったのかが
  皆目見当がつかないと言うようなことであるならば、他の原発において原因不明の大
  事故が発生するリスクを否定することができないのであるからして、柏崎刈羽原発の
  再稼働はおろか全国の原発は直ちに停止しなければならない。


  (下記は、20200930asahi電子版の部分)
 
  地裁の判決が五分五分できっ抗しているのは、東電の事故報告書に事故原因がはっきり書
  かれておらず、したがって責任がはっきりせず、事故原因が「想定外の津波」という方便
  であり、双方にこれといった決め手がないからである。だから、判決が五分五分になるの
  である。

  真実を隠されているから地裁判決がどっちつかずの五分五分の中途半端な結果になるので
  ある。
  正に、下記である。

  (下記は、20220425AtomicAge部分)
 

  
さて、最高裁は、誰の責任なのかはっきりさせて「想定外の津波」などといっ
  
た責任逃れの方便を見抜くことができるのかどうか。

 (真実が隠されていて)白黒がはっきりしない裁判は騙し合いである。自分の不利は隠し、
  自分の有利になるようなことをもっともらしく針小棒大に誇張して主張し裁判官の心証を
  得た方が勝ちなのである。裁判で必ずしも真実が明らかになるとは限らないし、真実に近
  い側が必ずしも勝つとは限らないのである。とりわけ本裁判は司直の手が入って調べられ
  たものではないことから、技術的にまったく非対称なのである。残留熱除去系の失態に触
  れられたくない国と東電がすべての情報を保有し、原告にはそのごく一部分しか、しかも
  コントロールされた情報しか公開されておらず原告側が圧倒的に不利なのである。原告側
  は圧倒的に不利な狭い土俵でしか戦うことができないのである。被告側が組織的に真実を
  隠し裁判官を誘導していたらどうしようもないのである。


3)(あえて原判決からの参考引用)
非常用海水系ポンプ隠しの国の主張
  (
国が責任逃れをするために繰り出した国の騙しの筋書きであり、国の引っ掛けである。
  (なお、後述する最高裁判決は、国の主張に沿ったものになっています。)

  (下記は、原審:第二審仙台高等裁判所20200930判決文の一部分です。199頁の最後と
   200頁の最初を結合してあります。
 

  上記の国の主張に対するコメント

     上記に出てくる(東電の)「平成20年試算」は下記である。
 
     なお、上記に出てくる取水口前面の津波水位8.4m〜10.2mはそれぞれ下記である。
 
     上記試し試算を発電所設備に当てはめた場合、どのようなことが予見可能かという
     と、
     
敷地東側からの津波は、発電所設備を守るための防波堤により数mは低減される
      ものの、
非常用海水系ポンプ(津波の高さ5.4〜6.1mまでに対応)が設置されて
      いる海抜4mの区画で最大8.4m〜10.2mに達する。これにより、1号機〜6号機の
      残留熱除去海水系ポンプが全滅し、運転中の全機が原子力緊急事態に突入し、運
      転中の全機がメルトダウンの危機に直面することが想定される。

     ②敷地東側からの1号機〜4号機への津波は最大のものでも9.3mであるので、1号
      機〜4号機の主要建屋のある海抜10mの敷地へ津波が流入することはない。

     ③敷地南側の津波は、発電所設備を守るための防波堤よりも南側のものであり、防
      波堤による低減効果がないので15.7mに達し、海抜10mの敷地へ流入する。主要
      建屋への影響は、敷地の南端に位置する4号機のみであり、被害は東側のように
      全面的なものではなく下記のような限定的なものである。(なお、4号機の非常
      用ディーゼル発電機2台のうちの1台は空冷式であり、4号機建屋内ではなく運用
      補助共用施設に設置されているため4号機建屋内へ津波が流入したとしてもD/G
      本体が被害を受けることはない。)
  

  さて、
  国が上記をどのようにちょろまかして結果的に最高裁を騙すことになったかというと、
  ・主要建屋が存在する10m盤に津波が流入して来るのは敷地南側からのみであるため、
  (・敷地東側から10m盤に津波が流入して来る試算にはなっていなかったものの、
    
その手前の東側海抜4mの区画に津波が流入し非常用海水ポンプを全滅させる試算
    になっており、東側こそが真に対策が必要な試算結果である
  ・国は「津波が流入して来るのは敷地南側からのみであるため、」という言葉を使って
   それが全てであるかのようにさらりと流し、重要な設備が設置されている東側海抜4m
   の区画には何ら触れずに、東側海抜4mの区画の対策想起の機会を与えず、責任逃れを
   しようと企んでいるのである。

  国が東電に命じて防潮堤を設置させていたとしても、
  ・防潮堤が設置されるのは敷地南側のみであり、
  (・敷地東側に防潮堤が設置されることにはならない。)

  これでは、敷地東側から10m盤を超えて到来した3.11の津波の浸水を回避することはでき
  なかった。(そして、主要建屋への浸水が電源を喪失させ、本件事故を引き起こした。)

 (したがって、
  ・国が規制権限を行使して東電に対策を命じていたとしても(津波の流入が予測されてい
   ない東側には対策工事は行われず)東側からの津波流入による3.11事故は防げなかった
   のであるからして、

  ・国が規制権限を行使せず東電に対策を命じていなかったからといって、国が責任を問わ
   れることにはならない。したがって、国賠法1条一項に基づく損害賠償責任を負うこと
   にはならない。)

  以上が国の主張の補足説明である。
 

  上記は、国が仕掛けたもっともらしい罠である。
(というのが当サイトの見立てである。)
  事前予測による敷地東側からの9.3mの津波は、10m盤は超えないものの、10m盤より海
  側にある4m盤上の
非常用海水系ポンプ(残留熱除去海水系ポンプ)5.4m〜6.1mを全滅さ
  せることになり、これにより原子炉の除熱機能が失われ、モタモタしていたら炉心損傷に
  なる。国には規制権限を行使し技術基準適合命令を発すべき責任があった。
  このことは上記の国の主張ではネグレクトされ、上記の国の主張が全てであるかのような
  誘導をしているのである

  (裁判で不利になる証拠を持っていても提出義務はありませんが、相手方から求められる
   ことや、裁判所から文書提出命令を出されると、出さざるを得なくなります。)


  東電の国の長期評価に対する対応は、国の主張するような南側に対応したものではなく、
  以下に示すような敷地東側の海水ポンプを意識したものになっています。
  つまり、国の主張は机上の空論であり、騙しの企みなのです。

   (下記、別件-福島原発刑事裁判第1回公判-20170630-要旨告知された証拠より。)
 
   (下記、東電事故調査報告書20120620 本編pdf44枚目(23頁)の一部分)
 
   (下記、別件-福島原発刑事裁判第1回公判-20170630-要旨告知された証拠より。)
 

  本津波試算は、3.11の8年前には計算が可能であったことから、3.11の8年前に規制権限を
  行使して東電に対して津波対策を命じていれば、上記の事柄が一気に進み、あるいは除熱
  機能修復の準備が出来ていて残留熱除去系を見落とすことなく3.11発災後直ちに1〜3号機
  の除熱機能の修復に着手していれば、あるものは放射性物質の飛散が食い止められていた
  か、あるものは圧力容器が底抜けしたものの格納容器損壊は食い止められていたか、ある
  ものは炉心損傷はしたものの圧力容器の底抜けが食い止められていたか、またあるものは
  炉心損傷が避けられていた、そのいずれかに事故の進展が抑制されていた可能性が大きい
  のである。
  なお、安全性を重視して運転停止命令を発して対策工事をしていれば、放射性物質が飛散
  することはなかったのである。
  国の役割は大きくその責任は極めて重大なのである。
 

  ちなみに、

  (下記は、原審:第二審仙台高等裁判所20200930判決文の200頁の一部分です。)
 
  (下記は、原審:第二審仙台高等裁判所20200930判決文の201頁の一部分です。)
 
  (下記は、原審:第二審仙台高等裁判所20200930判決文の228頁の一部分です。)
 


  確かに、残留熱除去系統を使用不能にするような原子炉にとって致命的な津波が福島第一
  原発に来襲していなければ放射性物質が飛散するような過酷事故は発生していなかった。
  しかし、残留熱除去系統を使用不能にするような原子炉にとって致命的な津波が福島第一
  原発に来襲したからといって放射性物質が飛散するような過酷事故への進展を防ぐことが
  まったく出来なかったのかといったらと決してそういう分けではなかったのです。

  
東京電力事故調査報告書 20120620 本編(概要版)pdf35枚目 には、
  『 今回の事故は津波による浸水を起因として、多重の安全機能を同時に喪失したことに
  よって発生しており、「長時間におよぶ全交流電源と直流電源の同時喪失」』

  と書かれており、
  津波による一撃ですべての機能が同時に喪失したかのような書き振りになっていますが、
  事実は決してそうではありません。

  その証拠に、同報告書の本編に下記のような記述があるのです。
 
  
東京電力事故調査報告書 20120620 本編 pdf351枚目 に、
  『 今回、2,3号機については、原子炉隔離時冷却系の長時間運転に成功したが、 』

  と書かれています。

  その成功したとまで表現された長時間運転とは何時間かというと、

  
東京電力事故調査報告書 20120620 本編 pdf346枚目 に、
  『 2、3号機では、津波襲来後も原子炉隔離時冷却系(RCIC)などの高圧注水系が機能
  したことで、2〜3日の対応時間を確保することはできた。』

  と書かれています。

  つまり、2〜3日は原子炉の水位は保たれており、残留熱除去系を修復させる猶予時間は
  2〜3日はあったということになります。

  そのような修復のための猶予時間の確保に成功しながら、なぜ放射性物質が飛散するよう
  な過酷事故への進展を阻止することが出来なかったのでしょう。
  その原因ついて、同報告書の本編(概要版)に下記のような、津波による不可抗力が発生
  したかのような書き振りの記述があります。

  
東電事故調査報告書 20120620 本編(概要版)pdf35枚目
  『「長時間におよぶ非常用海水系の除熱機能の喪失」』

  非常用海水系の除熱機能の喪失をそのまま放っておいてそれが長時間におよべば、除熱が
  出来ず炉心損傷が発生し放射性物質飛散という過酷事故にまで進展しまうのは当然のこと
  です。

  既出の3月26日のテレビ会議にあったように残留熱除去系を見落としていて、残留熱除去
  系の修復にはまったくの手付かずのままその間に放射性物質飛散という過酷事故にまで事
  故は進展してしまっていたのです。

  当サイトの主張は、3月11日に残留熱除去系の修復に着手していれば放射性物質の飛散は
  抑制できたというものです。

  なお、3月11日に残留熱除去系の修復に着手していたとしても放射性物質の飛散を抑制す
  ることが出来なかったということであるならば、その出来なかったことの立証責任が、本
  裁判が情報的に非対称である本裁判に鑑み、国側にあることを強く主張するものである。

  (メモランダム:1号機は11日16時42分にバッテリーAが自然回復してICの運転が可能に
   なっておりそもそも原子炉建屋内のICの2(A)弁と3(A)を手動で開ければ空中への
   除熱が可能でありICタンクへのろ過水等の給水を行えば長期の除熱が可能であったこ
   と、1,2号機の計測電源は小型発電機で12日15時には復旧していたこと、3号機は代替注
   水への移行に失敗しなけれは猶予期間を2日から3日へ伸ばすことが可能であったこと、
   8000tのろ過水タンクの水は11日19時18分には5900tが残留していたこと、モータ電源
   が喪失していても海抜40mの丘の上にあるろ過水タンクからの水頭圧差で代替注水が可
   能であったこと、ろ過水タンクの水は東電が設置した導水管で坂下ダムから給水されて
   いたこと、6.9kV高圧電源車は17台駆けつけていたこと、残留熱除去系の2基のモータ
   は6.9kVであること、電源ケーブルはあったこと、代替モータの有無は不明、いずれに
   しても2基の電動ポンプと熱交換器と配管だけのシンプルな構造だけで海水への除熱が
   可能である。
   なお、移行のための原子炉圧力降下は12Vバッテリー10個によりSRVを8弁以上同時に
   開く急速減圧を行なうこと。)
 
  
東京電力「福島第二原子力発電所はなぜ過酷事故を免れたのか」
  『 事故を免れたポイント(福島第二原子力発電所)』
  『 格納容器内に蒸気(熱)を溜めておける時間内に海水ポンプ等の復旧に成功した。』
 

  津波は過酷事故の端緒に過ぎなかった。端緒に過ぎなかったものの人間は全知全能ではな
  いので過酷事故に至ってしまった。当然のこと過酷事故の端緒は事前に取り除いておかな
  ければならなかった。ハード対応にしろ、ソフト対応にしろ。

  
4)さて、本件発電所設備に「国の長期評価に基づく津波の試算」を本判決多数意見がどのよ
  うに当てはめ、どのように本判決に落とし込んだかというと、
 
  
  
  先ずは、福島第一原発の設備とその海抜について、本判決がどのように説明していたかと
  いうと、
  
本判決2頁目『本件発電所の概要』において、
  『 ウ (略)主要な建屋は、いずれも海抜10mの平らな土地上にあり、(略)。
  本件敷地の東側は、海水をくみ上げるポンプ等の設備が設置された海抜4mの区画等を挟
  んで海に面している。 』

  
  つまり、
  証拠物件1)主要な建屋(中に非常用電源設備がある)は、海抜10mの敷地上にある
  証拠物件2)海水をくみ上げるポンプ
非常用海水系ポンプ)は、敷地の東側の海抜4m
        の区画上に設置され海に面している

  
  そして、津波に弱いのは海抜の低い証拠物件2)です。
 
  

  次に、上記設備に対する「国の長期評価に基づく津波の試算」はというと、

   (東電の津波の試算は平成20(2008)年4月頃)
 
  つまり、東側前面の津波は最大8.4m〜10.2mの高さになり海抜4mの区画上に設置されて
  いる
非常用海水系ポンプ(津波の高さ5.4〜6.1mまで対応)を3m〜4mも超えている。
  なお、それぞれの津波の高さは下記のように計算されています。
 
   (なお、1号機〜4号機の主要な建屋のある敷地(海抜10m)は超えず。)
   (なお、5号機〜6号機の主要な建屋のある敷地(海抜13m)は超えず。)

  まとめ)国の長期評価(30年以内に20%程度の確率で発生するとされる地震)による津
      波が来れば、
非常用海水系ポンプが3m〜4mも水没し、除熱機能が全喪失し、
      住民避難指示が出されるような事故に進展する。

    上記非常用海水系ポンプは、残留熱を海水へ放熱して、炉心損傷を防ぐための重要
    なものであることから、省令62号4条1項の「津波により原子炉の安全性を損な
    うおそれ」がないものでなければならないところ、国の長期評価に基づく地震予測
    から津波を試算した場合、
津波に対する安全性を3m〜4mも欠いているのであるか
    らして
電気事業法第40条の技術基準適合命令の対象であり、
    
命令を出さなければ国の規制権限の不行使である  
  
  
しかるに、
  本判決多数意見の判決への「津波の試算」の落とし込みは、
  
  
本判決4頁目『(5)本件長期評価に基づく津波の試算』に示すように、
  『ア 東京電力は、(略)、本件長期評価に基づいて本件発電所に到来する可能性のある
  津波を評価すること等を関連会社に委託し、平成20年4月頃、その結果の報告を受けた。

  (略)本件敷地の海に面した東側及び南東側の前面における波の高さが最も高くなる津
  波は、本件敷地の南東側前面において、最大で海抜15.707mの高さになるが、
  本件敷地の東側前面では本件敷地の高さ(海抜10m)を超えず
  主要建屋付近の浸水深は、4号機の原子炉建屋付近で約2.6m、4号機のタービ ン建屋付
  近で約2.0mとなるなどというものであった。』

  
というものであり

  
それが、なんと、
  
本件敷地の東側前面について、本判決2頁目『発電所設備の概要』に出てき
  
海水をくみ上げるポンプが設置された「海抜4mの区画」をすっ飛ばして、
  
いきなり
『本件敷地の東側前面では本件敷地の高さ(海抜10m)を超えず、』
  
し、その中に「海抜4mの区画」を呑み込み、体良く「海抜4mの区画」そのも
  
のの証拠外しを行なっているのです。
  
(「国の責任は無し」の判決を導く上で大事故を予見させる「海抜4mの区画
  
 は邪魔なのです。実に巧妙にもっともらしい文章でいっきに『高さ(海抜10m)
  
 を超えず、』とし「海抜4mの区画」を意識外へ消し去っているのです。)

  15.707mの津波でなくとも、8.4m〜10.2mの津波であったとしても重要設備が設置されて
  いる「海抜4mの区画」にとってはとんでもない大津波なのです。津波の比較を高さだけ
  で比較してはいけないのです。津波が低くても重要設備が被水する場合はそこに重きを置
  かなくてはいけないのです。(もっとも、高さだけで比較して煙に巻こうとした ?)


  なお、『本件敷地の高さ(海抜10m)を超えず、』と言い切るためには、「抜4mの区画
  上の津波の試算が1号機〜4号機では最大9.4mであることを5号機〜6号機の10.2mと区別
  して号機別に細かく注意深くチェックする必要があり、「海抜4mの区画」の不記載は、
  「海抜4mの区画」の単なる見落としではないでしょう。
  
海抜4mの区画」の存在を十分認識した上で、『本件敷地の高さ(海抜10m)を超えず、』
  との判決根拠をその中から導き出し、その「海抜4mの区画」自身は判決から省いている
  のです(まるで推理小説の完全犯罪のシナリオのように証拠を消しているのです)。
 

  予見可能性の観点からより津波の被害を受けやすい海抜4m盤上の設備について、これを
  取り上げていなければ適切な裁判とは言えません。
  (「当事者が適法に提出した攻撃防御方法」に主張が記載されていなかったとしても
    判決を左右する証拠であるので「海水をくみ上げるポンプ」とはいったい何なの
    か証拠調べをして掌握しておくべきです。騙されたでは済まされないのです。
    裁判官の無知により国民が不利を被るようなことがあってはならないのです。)



  
なお、「津波の試算」の証拠能力について、本判決は
  
下記のように認定しています。  
   
本判決9頁目『(2)(略)、本件試算は本件長期評価が今後同様の地震が
   発生する可能性があるとする明治三陸地震の断層モデルを福島県沖等の日本海溝寄り
   の領域に設定した上、平成14年津波評価技術が示す設計津波水位の評価方法に従って、
   上記断層モデルの諸条件を合理的と考えられる範囲内で変化させた数値計算を多数実
   施し、本件敷地の海に面した東側及び南東側の前面における波の高さが最も高くなる
   津波を試算したものであり、安全性に十分配慮して余裕を持たせ、当時考えられる最
   悪の事態に対応したものとして、
合理性を有する試算であったと
   
いえる  

  津波が
本件敷地の東側前面では本件敷地の高さ(海抜10m)を超えず、』であっても、海
  抜10mの敷地に行き着く前の海抜4mの区画において重要設備を超えるとの試算になって
  いたのです。

  津波がわざわざ(海抜10m)の敷地を駆け上がって主要建屋に侵入し残留熱除去系の電源を
  喪失させずとも、その手前の海抜4mの区画の残留熱除去海水系ポンプのモータを被水さ
  せれば原子炉の除熱機能を失わせることができるのです。

  こうなると(下記詳細事例既出)、
   
原子力災害対策特別措置法施行規則第九条のイ(5)
   
残留熱を除去する機能が喪失すること。
   
原子力災害対策特別措置法施行令第四条第4項第五号
   原子力緊急事態に至る可能性のある事象

   
原子力災害対策特別措置法第10条(原子力防災管理者の通報義務等)
   
原子力災害対策特別措置法施行規則第21条の二
   
圧力抑制機能が喪失すること。
   
原子力災害対策特別措置法施行令第六条第4項第四号
   原子力緊急事態の発生を示す事象

   
原子力災害対策特別措置法第15条(原子力緊急事態宣言等)
   
第15条第3項の規定に基づき住民避難指示が出されることになっています
  

  
まとめ:不当判決のカラクリ:その1
  
本判決は
  
本判決4頁の津波の試算の引用において「海抜4mの区画」外しを行ない、
  
規制権限を行使しなくてはならない部分の存在を
  
それとなく巧妙に消し去っているのです
  
 30年以内に20%程度の確率で発生するとされる地震による津波を発電 
  
所設備に落とし込み、原子力災害対策特別措置法に当てはめれば、住民
  
避難指示が出されるような事故になることが合理性を持って予見可能だ
  
ったのです。過酷事故の端緒となるような津波脆弱性を持つ欠陥原発だ
  
ということが予見可能だったのです
  
 このような津波に対するリスクを持った欠陥原発の運転を周辺自治体
  
が許す筈がなく、運転に同意するとは到底思われません。
  
 このような原発に対し規制当局が電気事業法第40条に基づく
  
運転停止命令が出していれば、放射性物質が大量に放出される
  
ような事故は避けられたのです。(実際に何らかの規制権限を
  
行使していて、それでも事故が発生したというならば、それは
  
想定外の事故と言えるでしょうが。)  
 

  
もう一つの証拠外し(引用文言の中抜き)について

  
本判決4頁 には国の指示について下記のように書かれています。(下線部分に注目)
   『 イ 原子力安全・保安院は、同月、東京電力を含む発電用原子炉施設の設置者等
    に対し、既設の発電用原子炉施設等について、上記指針に照らした耐震安全性の評
    価を実施するよう指示した。 』
 

  
一方、国の指示は
  『 耐震安全性の評価を実施し
その結果を当院に報告するよう指示した。』となってい
  ます。  

  つまり、判決文では
その結果を保安院に報告』(するよう)という文言が中抜きされ
  ているのです。
 

  その
中抜きにより、本判決は 本判決5頁 の下記を成り立たせているのです。
   『 イ 東京電力は、その後、本件試算津波と同じ規模の津波に対する対策等につい
    ての検討を行ったものの、直ちに対策を講ずるのではなく、土木学会に本件長期評
    価についての研究を委託することとして、当面の検討を終えた。』
 

  つまり、判決文への国の指示の記載に
その結果を保安院に報告が含まれていれば、
  『当面の検討を終えた。』
ではなく当面の検討を終え、その結果を保安院に報告
  た。』
と判決文に書かなければ判決の整合性が取れないのです。
 

  そして、
当面の検討を終え、その結果を保安院に報告した。』と判決文に書いた場合
  は、次の疑念が発生することになるのです。

  ・保安院は
直ちに対策を講ずるのではなくという東電の対策先送りを了承していた
   のかどうか。
  ・保安院は
土木学会に本件長期評価についての研究を委託するという東電の問題先
   送り
を了承していたのどうか。
  ・保安院は東京電力に対して何らかの指導監督をしていたのかしていなかったのか。
 

  つまり、判決文から
その結果を保安院に報告という文言を中抜きしていれば、上記
  の保安院の対応疑念は発生しないのです。
 

  つまり、
判決文を「国の責任無し」とするためには国(保安院)の対応疑念を発生させ
  てはならず、そのために
その結果を保安院に報告』(するよう)という文言を中抜き
  して判決文の辻褄を合わせているのです。
 

  
ちなみに、2006年9月20日の、
  『 耐震安全性の評価を実施し
その結果を当院に報告するよう指示した。』
  に基づく東京電力の保安院への結果報告は、下記のとおりである。
 

  
東京電力/日本海側/柏崎刈羽原発(1号機〜7号機)
   
7号機最終報告2008年12月03日(含。津波評価)
   
6号機最終報告2009年05月19日(含。津波評価)
   
1号機最終報告2010年03月24日(含。津波評価)
   
5号機最終報告2010年06月09日(含。津波評価)
  
耐震安全性(含。津波)に問題がなければ、上記のように報告ができるのです。  

  
東京電力/太平洋側/福島第一原発(1号機〜6号機)
   
5号機中間報告2008年03月31日津波評価は、2009年6月提出予定の最終報告で、
    ということになっていたが、
    
2008年12月8日のプレスリリースで 「2009年6月予定の最終報告を延期します。」
    
中間報告から2011年3月で3年を経過、東電からの最終報告が無いまま3.11
   
3号機中間報告2009年06月19日最終報告津波評価)は可能な限り速やかに提出予定
    
中間報告から2011年3月で1年8カ月を経過、東電からの最終報告が無いまま3.11
   1号機、2号機、4号機、6号機は上記3号機に同じ
 

  
東京電力/太平洋側/福島第二原発(1号機〜4号機)
   福島第一原発と同様。中間報告(津波含まず)はあるも最終報告(津波含む)は無し。


  
上記を見れば「耐震設計審査指針」改定後における耐震安全性の評価に
  
おいて規制権限を行使しなければならない原発の洗い出しが実に明解、
  
一目瞭然です。太平洋側は明らかに異常です。3年経っても対処出来ず
  
に最終報告が出せないということは、3年経っても対処出来ないような
  
重大な津波リスクを抱えながら危険運転を続けているということです。
  
そのことは、保安院から見れば手に取るように分かったはずです。
  
そのような重要な意味を持つその結果を保安院に報告』(するよう)
  
という文言を判決から意図的に中抜きして国の責任をうやむやにしたら
  いかんでしょう
 

  

  
まとめ:不当判決のカラクリ:その2
  
本判決は
  
本判決4頁の保安院の指示の引用においてその結果を保安院に報告』(するよう)とい
  う文言の
中抜きを行ない、
  
規制権限を行使しなくてはならなくなるであろう
  
部分の浮上をそれとなく巧妙にうやむやにしてい
  
るのです  
 

  
以降、本判決は非常用海水系ポンプを抜かしたまま、国の関与なしを前提とし
  
たまま、仮定に仮定を積み重ねて判決を組み立てています一方、東電は非常
  
用海水系ポンプを主眼に対策案を検討していますこのため本判決は事実上の
  
事実誤認を生み出し事実誤認を含んだものになりますこの事実誤認は、規制
  
権限を行使した場合に東電が取るであろう津波対策の予見について大きな齟齬
  
を発生させることになり本判決を現実から離れた「荒唐無稽の現実味のない
  
もっともらしい絵空事」たらしめることになるのです
  
5)
判決文9頁〜10頁『他方、本件事故以前において、津波により安全設備等が設置された
  原子炉施設の敷地が浸水することが想定される場合に、想定される津波による上記敷地の
  浸水を防ぐことができるように設計された防潮堤等を設置するという措置を講ずるだけで
  は
対策として不十分であるとの考え方が有力であったことはうかがわれず、その他、本件
  事故以前の知見の下において、上記措置が原子炉施設の
津波対策として不十分なものであ
  ったと解すべき事情はうかがわれない。
したがって、本件事故以前に経済産業大臣が上記
  の規制権限を行使していた場合に
本件試算津波と同じ規模の津波による本件敷地の浸水
  を防ぐことができるように設計された防潮堤等を設置するという措置に加えて
他の対策が
  講じられた蓋然性があるとか、そのような対策が講じられなければならなかったというこ
  とはできない

  
とありますが、  

  
上記判決文は、明らかに「海抜4mの区画(敷地)」を外して論じたもの
  
であり、下記の東電の対策案と乖離しています。  

    下記平成20年 = 2008年2月5日
   (下記、別件-福島原発刑事裁判第1回公判-20170630-要旨告知された証拠より。)
 
    下記平成22年 = 2010年8月27日
   (下記、別件-福島原発刑事裁判第1回公判-20170630-要旨告知された証拠より。)
 

  
上記を勘案すれば、判決文10頁冒頭は、下記のような正反対の判決文に
  
なります。
  
『したがって、本件事故以前に経済産業大臣が上記の規制権限を行使していた場合に
  件試算津波と同じ規模の津波による本件敷地の浸水を防ぐことができるように設計された
  防潮堤等を設置するという措置に加えて
「海水ポンプを建屋で囲う」「海水系電動機の水
  密化」「防護壁」「建屋等の津波衝撃緩和策」「漂流物防止策」が講じられた蓋然性があ
  り、そのような対策が講じられなければならなかったということが
できる

  
国が規制権限を行使し東電の背中を押していれば、国が東電の監督指導を
  
していれば、事態は大きく変わっていたことになります。


  
まとめ:不当判決のカラクリ:その3
  
判決文10頁冒頭防潮堤以外の津波対策を否定
   判決がなぜ
「防潮堤以外の対策を否定」したかというと「規制権限を行使したとしても
   結局事故を防げなかったのだから「国に責任はない」との論理展開」をするためです。
   逆にいうと「国の責任なし」とするためには他の対策案がこの世に存在してはならない
   のです。規制権限を行使してそれをやらせればよかったのではないかとなるからです。
   
ですから本判決は躍起になって「防潮堤以外の対策を否定」しているのです


  参考(水密化についての傍証)

  (下記は、一審福島地裁判決129頁の部分)
 


  
6)
本判決10頁『 (3)ところが、本件長期評価が今後発生する可能性があるとした地震の
  規模は、 津波マグニチュード8.2前後であったのに対し、本件地震の規模は、津波マグニ
  チュード9.1であり、本件地震は、本件長期評価に基づいて想定される地震より もはるか
  に規模が大きいものであった。また、本件試算津波による主要建屋付近の 浸水深は、約
  2.6m又はそれ以下とされたのに対し、本件津波による主要建屋付近の浸水深は、最大で
  約5.5mに及んでいる。そして、本件試算津波の高さは、本件敷地の南東側前面において
  本件敷地の高さを超えていたものの、東側前面においては本件敷地の高さを超えることは
  なく、本件試算津波と同じ規模の津波が本件発電所に到来しても、
本件敷地の東側から海
  水が本件敷地に浸入することは想定されていなかった
が、現実には、本件津波の到来に伴
  い、本件敷地の南東側のみならず東側からも大量の海水が本件敷地に浸入している。』

  
とし、
  続いて
同10頁『 これらの事情に照らすと、本件敷地の浸水を防ぐことができるものと
  して設計される防潮堤等は、本件敷地の
南東側からの海水の浸入を防ぐことに主眼を置い
  たものとなる可能性が高く
一定の裕度を有するように設計されるであろうことを考慮し
  ても、
本件津波の到来に伴って大量の海水が本件敷地に浸入することを防ぐことができる
  ものにはならなかった可能性が高い
といわざるを得ない。』
  
としている。  

  
まとめ:不当判決のカラクリ:その4
  上記
本判決10頁の中で、
  
本件敷地の東側から海水が本件敷地に浸入することは想定されていなかった
  
としているが、
  上記
その4は、その1で不当な「東側「海抜4mの区画(敷地)」外
  し」
を仕組んでいるからであり、東側「海抜4mの区画(敷地)」には8.4m〜10.2mもの
  大津波(1号機から6号機の残留熱除去海水系ポンプが全滅)が想定されていた
のであるか
  ら、

  
その4は不当な「東側(大津波)隠し」
  
である
  なお、海水ポンプが設置された
東側「海抜4mの区画」は東電と国が隠したい区画であ
  る。
 
 
 

  
まとめ:不当判決のカラクリ:その5
  上記
本判決10頁の中で、
  
『(設計される防潮堤等は、本件敷地の) 南東側からの海水の浸入を防ぐことに主眼
  置いたものとなる可能性が高く

  
としているが、
  上記
その5は、その1その4東側(大津波)隠しを行な
  い、残った方角の
南東側に視点を移すいう仕組まれた東側南東側「方角
  スリ替え」
が行なわれており、
  
その5は巧妙な「方角スリ替え」であ
  

  なお、海水ポンプが設置された
東側「海抜4mの区画」は東電と国が遠ざけたい区画であ
  る。
 
 
 

  
まとめ:不当判決のカラクリ:その6
  上記
本判決10頁の中で、
  
本件津波の到来に伴って大量の海水が本件敷地に浸入することを防ぐことができるも
  のにはならなかった可能性が高い
といわざるを得ない。』
  
としているが、
  上記
その6は、その1
その4を背景にその5方角スリ替え
  を行ない東側を排除しておいて、『(設計される対策は、)(東側から大量の海水が
  本件敷地に浸入することを防ぐことができるものにはならなかった可能性が高いといわ
  ざるを得ない
としたものであり、方角をスリ替えておいて「防ぐことができるもの
  にはならなかった・・・」との論理立ては「防ぐことができるものにはならなかっ
  た・・・」を得たいがためのスリ替えでありわざとでありイカサマ以外のふさわしい言葉
  が見つかりません

  
その6は「方角スリ替え」によって仕組まれたイカサマである
  
(下司の勘ぐり:スリ替えなければ、防ぐことができた。だからスリ替えた。)  

  
下記に示すように東電の対策案は、南東側ではなく東側に主眼が置かれており、本判
  
決が「方角スリ替え」に基づく論理的に不当な判決、つまり空理空論であることの証
  
左である。
   (下記、別件-福島原発刑事裁判第1回公判-20170630-要旨告知された証拠より。)
 
   (下記、東電事故調査報告書20120620 本編pdf44枚目(23頁)の一部分)
 
   (下記、別件-福島原発刑事裁判第1回公判-20170630-要旨告知された証拠より。)
 
 

  
ちなみに、
  
本最高裁判決は、原審(仙台高等裁判所)の判決をひっくり返していますが、
  
本最高裁判決は、原審が否定した下記の国の主張に沿ったものになっていま
  
す。
   (下記は、原審20200930の一部分です。199頁と200頁を結合してあります。)
 
   国のねらいは、国が東電に命じて防潮堤を設置していたとしても「津波による侵水を
   回避できなかった」のであるからして、国が東電に命じていなかったからといって国
   に規制権限不行使の責任が発生することはない、との論理展開をすることである。

  下記は本判決の再掲(本判決は、上記国の主張の最後4行に沿ったものである)
 
  本判決の
10頁『 これらの事情に照らすと、本件敷地の浸水を防ぐことができるものと
  して設計される防潮堤等は、本件敷地の南東側からの海水の浸入を防ぐことに主眼を置い
  たものとなる可能性が高く、一定の裕度を有するように設計されるであろうことを考慮し
  ても、本件津波の到来に伴って大量の海水が本件敷地に浸入することを防ぐことができる
  ものにはならなかった可能性が高いといわざるを得ない。』

  
としているが、
  そもそも、
 
  
血を流さずに肉を切り取ることが出来ないように
  最高裁判決の言う南東側前面にだけ15.707mに対応する防潮堤を他に何の影響も与えずに
  ポンと置くようなことは出来ないのである。
  仮に闇夜にポンと防潮堤を置けたとしても、夜が明ければ必ず見つかる。
  「あれはいったい何なんだ」と周辺自治体に説明を求められる。
  「三陸沖から房総沖の日本海溝において津波地震が発生する可能性があるのでそれに対応
  するためのものである」。
  「そんな素っ頓狂な話があるか。東側はどうなんだ、北側はどうなんだ」と必ずなる。

  
残留熱除去海水系ポンプが水没することが明るみに出る
  「そんなに危険なプラントは運転員に運転をさせられない。職場環境配慮義務違反だ。」
  と組合に団体交渉を申し込まれ対応を迫られる。
  「非常用海水系ポンプの安全対策が完成するまで運転を停止するのか、運転を継続すると
  すれば予備品確保と24時間365日即応体制は必須」と必ずなる。

  
最高裁判決の言うように東側(海の真正面)には何もせず
  
南東側(敷地の外れ)にだけ15.707mに対応する防潮堤を
  
他に何の影響も与えずに設置するようなことは出来ないし
  
またそのような素っ頓狂なことには決してならないのであ
  

  なぜなら、そこには人間がいるからである。
  原発の周辺には人々が住んでいる。
  原発の周辺には人々の営みがあるのである。
  原発は決して絶海の無人島にある訳ではない。
  周辺の人に対する心遣いがなければ原発は運転出来ない。
  原発は人が運転している。決して全自動無人運転ではない。

  本判決多数意見には、人間の気配が無いのである。
  本判決多数意見には、血が通っていないのである。
  本判決多数意見は、荒唐無稽の現実味のないもっともらしい絵空事である
  南東側にだけ10mの防潮堤を設置し、重要な設備が設置されている東側は何らの補強工事
  もせず、これは三陸沖から房総沖のどこでも発生する可能性のある津波に対処するための
  ものだという素っ頓狂で奇妙奇天烈な絵柄を見せられて、これに納得する人がいるだろう
  か。

  本判決多数意見は、絵柄が成り立たないのである
 
  そんな誤魔化しは、いつかバレるに決まっている
  そのことに裁判官が気付いていないとすれば、尤もらしい誤魔化しに騙されやすい裁判官
  ということになり、恐ろしいことである。


  
7)
本判決は10頁〜11頁『(4)以上によれば、仮に、経済産業大臣が、本件長期評価を前
  提に、電気事業法40条に基づく規制権限を行使して、津波による本件発電所の事故を防ぐ
  ための適切な措置を講ずることを東京電力に義務付け、東京電力がその義務を履行してい
  たとしても
本件津波の到来に伴って大量の海水が本件敷地に浸入することは避けられな
  かった可能性が高く、その大量の海水が主要建屋の中に浸入し、本件非常用電源設備が浸
  水によりその機能を失うなどして本件各原子炉施設が電源喪失の事態に陥り、
本件事故と
  同様の事故が発生するに至っていた可能性が相当にあるといわざるを得ない

  
としている。  

  
まとめ:不当判決のカラクリ:その7
  
本判決10頁〜11頁で、
  『
津波による本件発電所の事故を防ぐための適切な措置を講ずることを東京電力に義務
  付け、東京電力がその義務を履行していたとしても
、』本件事故と同様の事故が発生
  するに至っていた可能性が相当にあるといわざるを得ない

  
としているが、
  上記
その7は、その6の『(設計される防潮堤等は、)(東側から)大量の
  海水が本件敷地に浸入することを防ぐことができるものにはならなかった可能性が高いと
  いわざるを得ない
とした「方角スリ替え」によるイカサマに寄って立つもので
  
あるから、
  
その7は論理的に不当(イカサマ)である
  
(イカサマと注釈したのはイカサマと注釈するのが内容的に一番ふさわしくぴったりの表現だからである。)  
 

  
規制当局は危険な原発に対する運転停止命令を出さねばならなかった
  
本判決9頁目において『合理性を有する試算であったといえる』とされた30年以内に
  20%程度の確率で発生するとされた長期評価に基づく大津波が発生すれば、敷地東側海抜
  4m区画において8.4m〜10.2mの高さになり、高さ5.4m〜6.1mの残留熱除去海水系ポンプ
  は水没し稼動全機の「
残留熱を除去する機能が喪失」する。(そもそも技術基準適合命令対象
  
設備なのです)。
  上記が法的にどのような事故になるかというと、原子力災害対策特別措置法に照らし合わ
  すと、「
原子力緊急事態に至る可能性のある事象」に相当し「直ちに、その旨を主務大
  臣、所在都道府県知事、所在市町村長に通報しなければならない。(
原災法第10条)」。
  さて、残留熱除去海水系ポンプが故障している間は原子炉の残留熱を格納容器の圧力抑制
  室のサプレッションプール(ex.2980㎥)へ移すことにより急場を凌いでいるが、約10時
  間でサプレッションプールの水温が100℃に達して沸騰し格納容器の「
圧力抑制機能が喪
  失
」して格納容器の圧力が上がり始める。(事故時運転操作手順書の12-4-1に、S/P水温
  は事故後8時間で90℃(に達する)との記述がある。)
  ここで、上記が法的にどのような事故になるかというと、原子力災害対策特別措置法に照
  らし合わすと、「
原子力緊急事態の発生を示す事象」に相当し内閣総理大臣から「原子力
  緊急事態宣言
」が出され「住民避難指示」が出されることになっている(原災法第15条
  
(福島第二原発の事例既出)。
  なお、残留熱除去海水系ポンプの故障修復については、大津波警報が出ている間は危険な
  ので、この間の修復は困難である。
(ちなみに、3.11の場合の大津波警報の解除は12日20時20分。)
  つまり、
長期評価に基づく津波が発生すれば
10時間以内に残留熱除去海水系ポンプを修
  復することが困難な状態に陥り
10時間後には住民避難指示が出されるような事故に
  進展する
福島第二原発の事故:長期評価による津波試算7.2m〜8.2m、3.11の浸水高約7mで住民
  
避難指示が出されるに至った。
  なお、複数機同時発生でパニック状態に陥り修復が滞れば複数機がメルトダウンに至りま
  す。

  地震と津波で警察も消防も自治体も住民も下敷きや漂流の人の救助で忙しい最中に、より

  
によって、「原子力緊急事態の「住民避難」が 同時発生だなんてとんでもありませ
  

  
長期評価により津波脆弱性が顕現したのだから、
  
即刻運転を停止すべきだったのです。
  
事故の発生は予見が可能であり、運転停止により結果を回避すべきだったのです。
  
規制当局は危険な原発に対する運転停止命令を出さねばならなかったのです。
  
下記のような避難リスクも想像し下記のようなことを起こしてはならなかったのです。
  
(避難リスク:(福島・双葉病院の悲劇 - 原発事故避難で死亡した50人の寝たきり患者(popup)))
  想定される最大の津波が来ても安全だというから稼働に同意しているのに、地震による津
  波が来たら「住民避難指示」が出され見殺しを迫られるような危険な原発の稼働に同意は
  出来ないというのは至極当たり前のことでしょう
(既出したように3号機のプルサーマル
  の件での福島県への安全性報告書では津波のリスクについては隠蔽されていたのです。)

  もし、規制当局が上記の論理が分からないというならば規制当局の資格はなく、もし、東
  電が上記の論理が分からないというならば原子力発電事業を営む資格はありません。
  もっとも、東電は「耐震安全性の評価(含。津波評価)」を3年も出し渋っていたのであ
  るからして運転停止に該当する案件であることを自覚しながら(2009年9月7日の「炉を
  止めることができるんですか。」発言)ズルズル危険運転を継続していたことは想像に難
  くなく、規制当局にしても出し渋りの原因を想像出来ぬはずがありません(2009年9月7
  日の「ポンプはダメだなと思った」との認識)。でも一歩を踏み出さ(せ)なかった。

  本裁判の本質はここにあるのです
(本当の事故原因はナアナアのなれ合いなのです。)
  
これが最高裁が向き合わなければならない本裁判の本質です
  
この本質に最高裁が向きあって初めて国民が納得するのです  

  
規制当局が運転停止を伴う規制権限を行使していたと仮定すれば
  
本判決にあるような本件事故と同様の事故が発生するに至っていた可能性が相当
  
にあるといわざるを得ないとはならずに本件事故と同様の事故が発生するに
  
至っていた可能性は極めて低いといわざるを得ないということになるので
  
したがって、上告人(国)は、経済産業大臣が電気事業法40条に基づく規制権限を行使
  して津波による本件発電所の事故を防ぐための適切な措置を講ずることを東京電力に義
  務付けなかったことを理由として、被上告人(原発事故被害者)らに対し、国家賠償法1条
  1項に基づく
損害賠償責任を負うことになるということになる  

  
本件に関する一次的な責任はもちろん東電にあるものの、「国策民営」の監督責任を国が
  引き受けなければ、国としての示しがつかず、国としての体を成しません
  最高裁が国の監督責任についてお咎めなしとするならば、つまり国とナアナアのなれ合い
  になるならば、国としての示しがつかず、国としての体を成しません国の緊張感はなく
  なり、国のタガが外れた状態の日本になるのです
  国のタガが外れ、国が策に失敗した時、そのツケは国民に回って来るのです
 

  
なお、「運転停止」と考えると命令ハードルが高そうに思われるかも知れませんが、最初
  から津波リスクが表面化していたら、絶対に運転開始許可が下りていない原子炉なので
  
  もともと、運転許可を出してはいけない原子炉に運転許可を出していただけの話なので
  

  
運転を停止しての長期に及ぶ東電の東側を主眼とした適切な津波対策工事中に3.11のよう
  な大津波が来たとしても運転を停止中であるので放射性物質が漏出するような事故は起こ
  り得ないし
津波対策工事完了による運転再開後においては3.11のような大津波が来たと
  して
津波対策による設備被害低減効果がゼロであるとは到底考えられず、設備被害はよ
  り少ないことが見込まれ、尚且つ
技術基準適合命令を受けたことにより、狙わずともそれ
  に付随して
残留熱除去系が技術基準適合命令対象設備になったというインパクトが東電内
  に深く残っており、
そうなっていれば、例え3.11と同様の設備被害を及ぼすような巨大津
  波が来たとしても、
稼働全機で残留熱除去系を見落とすといったような大失態が生ずる筈
  も無く、
除熱機能を持っていないSLCの復旧に貴重な三日間を無駄に費やすといったよう
  なことが生ずる筈も無く、福島第二原発と同様に3.11初日から残留熱除去系復旧工事に着
  手しRHRポンプとRHRSポンプを電源車で稼働させるに至れば原子炉の除熱機能が働き、
  
本件事故またはこれと同様の事故が発生しなかったであろうということになるのである

  
本判決は11頁『 そうすると、本件の事実関係の下においては、経済産業大臣が上
  記の規制権限を行使していれば本件事故又はこれと同様の事故が発生しなかったであろう
  という関係を認めることはできないことになる

  (つまり、規制権限を行使していたとしても、同様の事故が発生していた)

  
としているが、
  
事実虚構」のスリ替えが行なわれており、
  
本判決は不当(イカサマ)である
  
(イカサマと注釈したのはイカサマと注釈するのが内容的に一番ふさわしくぴったりの表現だからである。)
  
なお、当サイトの見解は上述したとおり、本判決とは逆であり、
  
経済産業大臣が規制権限を行使していれば本件事故またはこれと同様の事故が発生し
  なかったであろうという関係を認めることができることになる
』というものである。
  
したがって、上告人(国)は、規制権限を行使しなかったことを理由として、被上告人
  (原発事故避難者)らに対し
国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負う  

  
事故と人間  
 (この項目は:書き掛け)
  高さ5mの防潮堤は5mの働きしかせず、高さ10mの防潮堤は10mの働きしかしない。
  しかし、訓練された人間は違う。充分に訓練された人間は15mを超える働きをする
  なお、「原子炉施設が電源喪失の事態に陥った」のが事故原因であるならば、なぜ電源車
  は役に立たなかったのか。
13台も駆け付けていた高圧電源車 は、なぜ役に立たなかった
  のか。役に立たなかったのではない。役に立てなかったのだ。 電源車でSLCポンプを動
  かそうとしていて貴重な三日間を無駄に費やしてしまっていたのである。なにも原子炉施
  設の全ての機能を復旧させなければ炉心損傷を防ぐことが出来ないということではない。
  残留熱除去系を復旧させれば除熱が出来るようになり炉心損傷は防げるのである。  
 
 

  
まとめ:不当判決のカラクリ:その8
  本判決は
11頁『(6)したがって、上告人が、経済産業大臣が電気事業法40条に基づ
  
規制権限を行使して津波による本件発電所の事故を防ぐための適切な措置を講ずること
  を東京電力に義務付けなかったことを理由として、被上告人らに対し、国家賠償法1条1
  項に基づく
損害賠償責任を負うということはできない
  
としているが、
  
その8その1その4その5その6その7
  
よって仕組まれた不当な方角スリ替えの上に成り立っており、
  
その8を得るためにその1を巧妙に仕組んだものであり、
  
本判決は判決として不当(イカサマ)である
  
(イカサマと注釈したのはイカサマと注釈するのが内容的に一番ふさわしくぴったりの表現だからである。)  
  

  
本判決は平成14年7月に国の長期評価に基づき公表された30年以内に20%程度の確
  率で発生するとされたプレート間大地震予測の4年2カ月後の平成18年9月に国(原子力安
  全・保安院)から原子力事業者へ出された耐震安全性評価指示と、その1年7カ月後の
  成20年4月の東電の津波の試算平成23年3月の津波による事故
それぞれ一瞬を
  
切り取って論じただけのものであり平成18年9月の国の耐震安全性評価
  指示から3.11まで4年半もあるのに、国が東電からどのような報告を受け取ったのか受け
  取らなかったのか、それについて国が東電に対してどのような監督指導指示命令をしたの
  かしなかったのか、3.11までの4年半の間の国と東電の動向にまるで言及することが無い
  まま、あれだけの事故があったのに事故の4年半前に出されていた耐震安全性評価指示
  (含。津波に対する安全性)についての国と東電の動向についての吟味がまるで無いま
  ま、国に責任は無いと結論付けており、
本判決は、実態からかけ離れた単な
  
る想像による誠に杜撰な判決と言わざるを得ない  
  

  
本判決において、規制権限の不行使の責任を問われている規制当局の動向が本判決の中に
  
出てくるのは、本判決4頁 の中の下記のたったの3行だけである。
   『 イ 原子力安全・保安院は、同月、東京電力を含む発電用原子炉施設の設置者等
    に対し、既設の発電用原子炉施設等について、上記指針に照らした耐震安全性の評
    価を実施するよう指示した。 』
(当サイト注。「津波に対する安全性」を含む。)
  上記2006年9月の指示以降、大事故に至るまでの4年半の規制当局の対応について判決文
  に何の記載も無いまま、規制権限不行使には当たらないとの判決を出しているのである。
  国は何もしなくてもそれでお咎め無しとの判決を出しているのである。

  国の動向として書くべきものが何も無いとするならばそれこそが正に規制権限不行使の
  証左なのである
  そうだとすれば、本判決は国の指導力の無さをそのまま写し取ったものに他ならない
 
 
 
 なお、ここで、再確認しておくが、
 規制当局は、公共の安全を確保し、環境の保全を図るために、
津波に関する科学的知見を
 継続的に収集し
原子力事業者が安全対策を先送りしていないかどうか不断に注視しつつ
 運転停止を含む規制権限を適時かつ適切に行使し、原子力災害を未然に防がなければなら
 ないし、その被害の甚大さに鑑み、それを未然に防ぐための強力な罰則付きの規制権限を
 法により与えられているのであるからして、規制権限の不行使により、公共の安全を確保
 することに失敗し、あるいは環境の保全を図ることに失敗すれば、国はそれを賠償しなけ
 ればならない。

 
 国にその覚悟がないのであれば、原発そのものがこの日本に存在してはならないのである。
 以上の覚悟が規制当局に無いのであれば、原子力の安全な利用などは絵に描いた餅である。
 

最後に、

冒頭の(まえがきに代えて)で紹介した規制当局関係者の述懐を下記に再構成しておきます。

  ※(2011年8月24日のプレスブリーフィングより)※
 
  上記に出てくる「担当者」の述懐が、下記です。
  ※ (2011年8月31日の政府事故調査委員会ヒアリング記録より)※
 
  上記の「上司」の述懐が、下記である。
  ※ (2011年9月2日の政府事故調査委員会ヒアリング記録より)※
 

                                        
以上   
  
  
  

 
追伸1)2022 6.17最高裁判決 - その後は「(最高裁の虜判決=)裸の王様」状態
  

 
20230310 仙台高裁(原告:いわき市民約1340人)(福島民報)
 ※
原発事故、国の賠償認めず 仙台高裁判決、一審覆す 福島県いわき市民訴訟控訴審
  『昨年6月に先行する4件の集団訴訟で最高裁が国の責任を否定して以降、国を被告に
   含む同種訴訟の下級審で判決が出るのは初めて。』

  『国家賠償法上、
規制権限の行使を怠ったことで違法に損害を与えたとは言えず、賠償
   責任はない
と結論付けた。』   
  

 
20230314 福島地裁(原告:福島県南相馬市小高区の住民587人) 国の責任否定
 
20230314 福島地裁(原告:福島県南相馬市鹿島区の住民313人) 国の責任否定
 
20230314 岡山地裁(原告:岡山に避難してきた市民107人) 国の責任認めず   
  

 
20231226 東京高裁(原告:東京都などへ避難した47人)(産経新聞)
 ※
原発避難、国の責任否定 東京高裁、東電賠償も減額
  『東京高裁は26日、
国と東電に計約5900万円の支払いを命じた一審東京地裁判決
   
の一部を取り消し国への請求を棄却した

  『裁判長は「
仮に国が規制権限を行使して東電に対策を義務付けていたとしても、津波
   による浸水を避けられなかった可能性が高い
」と述べた。』   
  

 
20240126 東京高裁(原告:神奈川県への避難者)(東京新聞)
 ※
最高裁に沿う判断 憤り」 原発、神奈川県内避難者訴訟で弁護団 二審は国の賠償責
  任認めず

  『東京電力福島第1原発事故による神奈川県内の避難者が損害賠償を求めた訴訟は26日、
   
東京高裁で一転して国の賠償責任が否定された   
  

 
(原審: 20180315 京都地裁)(原告:京都府内に避難した174人)(日本経済新聞)
 ※
原発避難、国と東電に賠償命令 京都地裁判決
  『
京都地裁は15日、国と東電の責任を認め、110人に対する約1億1千万円の支払いを命
   じた。全国で約30ある同種の集団訴訟では5件目の判決で、国の責任を認めたのは3件
   

  『
浅見宣義裁判長は、政府の地震調査研究推進本部が2002年に公表した「長期評価」に
   基づき、国が津波をある程度予見することは可能で、東電に対して対応を命じなかっ
   たのは違法と指摘。避難指示に基づく避難でなくとも、個人ごとの当時の状況によっ
   ては自主的に避難を決断するのも社会通念上、合理性があると判断した。

 
20241218 大阪高裁 予定(原告:京都府内に避難した166人)(京都新聞)
  『
東京電力福島第1原発事故の影響で福島県などから京都府内に避難した55世帯166人
   が、国と東電に約8億3900万円の損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審が22日、大阪高
   裁(牧賢二裁判長)で結審した。津波や事故を巡る国と東電の責任を認めた2018年3
   月の京都地裁判決に対し、原告、被告双方が控訴していた。判決は12月18日に言い渡
   される

  
 
 

 
6.17最高裁判決に対する声明
 
6.17最高裁判決は、あたかも国の弁護が如きの偏ったものであり、結論
 
の集束に向けて、都合の悪い数値と文言は切り捨て、都合の良い数値と
 
文言のみをかき集め、都合の良い仮定を設定し、それらしく判決の体裁
 
を整えたものであって、易きに流された現実離れした判決であり、司法
 
の劣化極まれりである。
 
6.17最高裁判決は、国民の裁判に対する信頼を著しく損なうものであり、
 
司法の自浄作用として司法自ら再審し自問自答し公表しなければならず
 
例えそのようにしたとしても国民の信頼を回復することは極めて困難で
 
ある。   
  
  
  

 
追伸2)福島第一原発避難者訴訟:裁判(官)成績表
 
2022年の6.17最高裁判決は、正されなければならない。当判決は、国の主張に誘
 
引され津波対策の主眼東側から南東側スリ替え、そのスリ替えによる恣意的
 
な津波対策の仮定の元に国の責任を認めないとしており、イカサマさせられ
 
判決との表現がその体を一番よく言い表しているのであるが、これは原発設備に
 
対する裁判官の無知の成せる技であり東側に津波対策の主眼とすべき重要な設
 
備があることを裁判官は知らない)裁判官の社会性の成せる技でもある南東
 
主眼の津波対策を見たら周辺住民は腰を抜かす4m盤を挟んで海に面した東
 
側を津波対策の主眼とするのが当然
 
イカサマさせられ判決はオセロゲームのように全て覆されなければならない。日
 
本が美しくあるために。イカサマさせられ判決は、この日本から排除されなけれ
 
ばならない。全国に離散させられた人々の故郷を取り戻すために。日本の科学技
 
術の真の名誉のために。事故原因をあいまいにしておかないために。危険な存在
 
を国民が知り得るために。国民の選択のために。公正な裁判を取り戻すために
 
これを目にしたものは声を上げ、国民を騙し切れないということを国に知らしめ
 
なけれなければならない国を喪失してからでは、遅いのである
 
(注。イカサマでなければ重大な過失(判決を左右する重大な見落とし)が存在する。)
  

 
20170317前橋地裁○20210121東京高裁X20220617最高裁Xに正すべし!
 
20170922千葉地裁X20210219東京高裁○20220617最高裁Xに正すべし!
 
20171010福島地裁○20200930仙台高裁○20220617最高裁Xに正すべし!
 
20190326松山地裁○20210929高松高裁○20220617最高裁Xに正すべし!
 
20180315京都地裁○20241218大阪高裁予定ビラを携え取り囲もう!
           (20220617最高裁判決
- その後は「(最高裁の虜判決=)裸の王様」連鎖状態)
 
20180316東京地裁○20231226東京高裁Xに正すべし!
 
20190220横浜地裁○20240126東京高裁Xに正すべし!
 
20190314千葉地裁X20231222東京高裁Xに正すべし!
 
20190802名古屋地裁20231122名古屋高裁に正すべし!
 
20191217山形地裁X20240117仙台高裁Xに正すべし!
 
20200310札幌地裁○○を確保すべし!
 
20200624福岡地裁Xに正すべし!
 
20200811仙台地裁X20240318仙台高裁Xに正すべし!
 
20210326いわき支部 20230310仙台高裁X20240410最高裁Xに正すべし!
 
20210602新潟地裁X20240419東京高裁Xに正すべし!
 
20210730郡山支部○○を確保すべし!
 
20220420さいたま地裁X に正すべし!
 
20220602郡山支部Xに正すべし!(都路町
(20220617最高裁判決 - その後は「(最高裁の虜判決=)裸の王様」状態)

 
20230314福島地裁Xに正すべし!(小高区
 
20230314福島地裁Xに正すべし!(鹿島区
 
20230314岡山地裁Xに正すべし!
 
20240321神戸地裁Xに正すべし!
 
20241211広島地裁予定ビラを携え取り囲もう!
 
最高裁は騙されている王様は裸だ」と声を上げよう!
 
の全てを科学的技術的論理的に○に正し、原発オセロを達成させましょう!
 
 pdf版-7) の最終ページを印刷して全国の裁判所前で裁判官に配布する等の事前活動にご自由にご活用下さい。
                                        by gemini.to 20240911版

 
 ひとつが踏みとどまるかあるいはひとつが逆転すれば形勢は逆転します。その力があります。 何故なら真実だ
 
 からです。
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  

あれやこれやで結局、原発の発電コストは高くなる。
国も電気事業者も再生可能エネルギーへと舵を切る
べきである。
当サイト上フレームの「遥かなる国」のように。