1)
実は- 水は有った、冷却は可能だった、復旧設備を間違えなければメルトダウンは防げた
1)「事故原因は津波」に対する確かなる反証
(20130329開示 テレビ会議録画映像(事故発災〜平成23年3月15日:113箇所)(index).html(popup))
(20130329開示 テレビ会議録画映像(日付index).pdf(popup))
(20130329開示 テレビ会議録画映像
(本8-3:3月13日:ろ過水が5000t有る)
.html(popup))
2011年3月13日9時20分頃
『 1F
吉田所長
「あの、
D/Dの水源は何だっけ?
」
1F 「
ろ過水
。」
1F 吉田所長「ろ過水。」
1F 「ろ過水だからでっかい。」
1F
吉田所長
「
何トンあんだっけ?
」
1F 「
5000t
」 』
2011年3月13日9時23分頃
『 本店高橋フェロー「
いま、炉内にはどの位の量の水が入っていると考えればいいの
。」
1F 「初期の水はTAF(有効燃料頂部)から2m以下の水量だと思いますので、燃料の1/3程度の水量で、 それが、
急減圧したのでオーバースケールに近いところまで上がりました。これからグーと下がってくると思わ
れる。これからできればそれに追従するように大量の水を入れたい。」
本店高橋フェロー「
今現在何トン入っているのかな、何トン入れてるの、何トンパーミニッツとか。
」
1F 「水を入れているのはD/Dの流量だけです。確認しましけど、あまり大きくないんで。」
本店高橋フェロー「まだ、D/Dだけってこと?」
1F 「そうです。」
1F
吉田所長
「あのね。量はここでは測れないのだけれども、D/Dと炉圧の差圧分がないから、その差圧分
くらいで入ってる分くらいしかないですよ。
何トンとは言えない。
」
本店高橋フェロー「了解、了解。」
1F
吉田所長
「
そういう
細かい質問
は今されると困るんで
・・・・・。別でやってい
ただけるとありがたい。
」 』
(注)上記の会話からして、吉田所長はろ過水タンクと D/D (ディーゼル駆動消火ポンプ)が接続されているこ
とを知らず、ろ過水タンクに大量の代替注水用の水があることを13日になるまではっきり知らなかった。
(注)
政府事故調(中間)第6章資料 pdf10枚目
(消火系のろ過水タンクから代替注水が可能なように整備)
.pdf(p)
今回のような電源喪失事故に対応するために、ろ過水タンクからディーゼル駆動消火ポンプ経由で
代替注水を可能とするための配管工事が2002年に行われていた(アクシデントマネジメント整備の
一環)。今回はその整備がまったく生かされておらず、吐出圧力の低い消防自動車が代替注水に断
続的に使われていた。
(20110729 いわゆる吉田調書 051 pdf23枚目
(DDポンプ(誤認識))
.pdf(p)
『 回答者
ただ、極端なことをいうと、はっきり言いますよ、私の感覚では DD ポンプはほとんど期待していなかっ
た、3号機も1号機も、はっきり言って、
そんなに水源もないし、どうしようもないようなポンプ
に期待
して水を入れるなんて、そんなことを考えるよりは、ちゃんと消防車で入れるという方が確実に入ると思
っていましたから、みんな DD のことを言うんですけれども、ほとんど私のイメージでは、
こんなもの使
い物にならないだろうという感覚しかなかったです
。』
(20111220 1号機(兆候ベース) 11. フローチャート pdf13枚目
(代替注水系:消化系:0〜
0.98
MPa)
.pdf(p)
上記が正規(0.98)。消防自動車はアブノーマル(0.5程度)。
下記、3月11日19時18分に、ろ過水タンク情報が発電所対策本部に報告されていた。
(20120620 別紙2(主な時系列)pdf43枚目〜44枚目
(11日 19:18、ろ過水タンク)
.pdf(popup))
『 11日 19:18、消防隊と発電班が
原子炉への注水に必要なFPラインを活かしたまま
、他のラインについ
てろ過水タンクの出口弁を閉めたことが発電所対策本部に報告された。』
← 閉めたのは津波で破壊された消火栓
上記の報告が所長に伝わっていなかったか所長が理解しようとしていなかったかのどちらかである。
20070716
(中越沖地震による原子力発電所の火災)
.html(popup)
そもそも、ろ過水タンクと D/D FP は消火設備である。24時間365日いつでも放水が可能なように維持しておか
なければならない。それがベースにあっての代替注水である。だから、代替注水なのである。
(20111220 1号機 手順書(事象ベース)
第22章 自然災害事故 大規模地震発生(導入条件)
.pdf(popup))
『 尚、この手順書は震度6強を超える大規模地震を想定し、また
震度Cクラス系統
・機器(外部電源、
循環水系、共用所内ボイラ、
消化系
、補給水系(純粋)、変圧器等)
の損傷を想定している
。
(20120620 添付資料 pdf321枚目
(震度6強、余震の発生状況、津波警報の発表実績)
.pdf(popup))
そもそも、地震直後に消火設備の点検指示が出されていなければならない。津波で中断するとしても。
中越沖地震では地下埋設配管が地盤沈下で寸断された。そこで福島で地上に出したら今度は津波の漂流物で消
火栓が破壊された。なお「原子炉への注水に必要なFPライン」は使用可能だったので、「原子炉への注水に必
要なFPラインを活かしたまま」との丁寧な報告が発電所対策本部に対して行われていたのであるが。
吉田所長は、1)
いつまでに
、2)
何をしなければならないか
まったく分かっていなかった。(証拠資料後出)
これでは、3機共にメルトダウンさせてしまっても不思議ではない。
1)いつまでに:代替注水がいつまで続けられるかの
時間算定
外部水源による原子炉注水冷却の続行により
圧力抑制室の上部空間が埋まってしまう前までに、
.pdf(p)
原子炉へ代替注水された水は、燃料棒を冷やした後、主蒸気逃がし安全弁を経由して圧力抑制室のプールへ流れ
込み圧力抑制室のプールの水位を上昇させる。大量の代替注水によりプールの水位が上昇してベント管が水没す
るとS/Cベント機能が失われることとなり、極めて重要な機能が失われることになる。圧力抑制室のプールの上
部空間が埋まってしまえば、圧力高にもなり、それ以降は代替注水は行えず、数時間でメルトダウンに至る。
次に、圧力抑制室の上部空間に、どの位の量の水を入れられるかについて、
20111220 3号機 (シビアアクシデント) 2. pdf43枚目〜45枚目
(
外部水源注水総量制限 2300㎥
)
.pdf(p)
『 操作順序 9 外部水源による代替サプレッションチェンバースプレイを実施中は
外部水源注水総量を監視し
サプレッションチェンバーベントラインの水没防止のため、注水総量2300㎥に到達したら
代替サプレッションチェンバースプレイを停止する。 』
外部水源注水総量制限は、2300㎥である。
次に、原子炉冷却のための注水必要量について
20111220 3号機(シビアアクシデント) 2. pdf35枚目〜36枚目
(代替注水、時間帯別必要注水量)
.pdf(p)
『 8(略)、 注水流量を原子炉スクラム後の経過時間に応じた必要注水量に調整する 』
代替注水により3号機を何時間冷やし続けられるかの計算:
上記「必要注水量」を継続注水し、「外部水源注水総量制限 2300㎥」に達するまでの時間を計算すると、
約87時間、つまり
3日と15時間
となる。
1)いつまでに:
3日と15時間以内に
(
タイムリミットは、3月15日午前6時
)
代替注水には格納容器の物理的限界があり、
タイムリミットの3月15日午前6時以降
は代替注水による冷却が困難となり、数時間でメルトダウンに至る
。
なお、上記タイムリミット内に次項で述べる RHR(残留熱除去系)を復旧させれば
メルトダウンを防ぐことができる。
但し、上記タイムリミットは、事故時の運転操作が完璧に行われた場合の手順書上
での算定であって、1号機あるいは3号機のように操作に不手際があれば、タイム
リミット内であってもメルトダウンに至ってしまう。(詳細後述)
なお、注水量が必要注水量の25t/hよりも少なければ、燃料は露出し損傷してしまう。
また、25t/hよりも多ければ、早くタイムリミットに達してしまう。
吉田所長への質問は
決して
「細かい質問」
などではない。
外注水量および外部水源注水総量制限はメルトダウンへのカウントダウンを意味し
ているので、事故対応および復旧作業全体の計画調整において所長が常に把握して
いなければならない基軸情報だったはずである。吉田所長はなぜか無頓着であった。
いつメルトダウンに至るかは事前予測が可能
であり、それに基づいて全ての作業工
程が組み立てられねばならなかった。
2)何をしなければならないか:
RHR(残留熱除去系)を復旧させなければならない
事象整定(RHRによる除熱の確立):
RHR(残留熱除去系)を復旧させなければならない。
.pdf(p)
RHRを復旧させれば事象は整定するが、復旧させなければメルトダウンは避けられない。
なお、不思議なことに所長からもどこからもRHR復旧命令が
出されていなかった。(証拠資料後出)
(20120620 本編 pdf77
(発電所長の権限)
.pdf(popup))
『
発電所の緊急事態に対する応急復旧計画の立案と措置
、並びに事故拡大防止に必要な運転上の措置等の
実施は、原子力防災管理者である
発電所長に権限があり
、 』
権限があるということは責任があるということ
である。
残留熱除去系の復旧については、特に重要視され手順書が整備されている。
(20110808 アクシデントマネジメント整備 pdf48枚目
(アクシデントマネジメント関連手順書の構成概要)
.pdf(popup)
『 安全確保上
特に重要な機能を有する残留熱除去系
』
(20110808 アクシデントマネジメント整備 pdf25〜pdf26枚目
(復旧手順ガイドライン RHR、、交換部品の入手は、)
.pdf(p
『 特に安全性確保上重要な機能を有し、
故障時にその機能を復旧することが極めて重要と考えられる残留熱
除去系
』
『 ④
交換部品の入手は、敷地内の予備品の使用、プラント内の他の機器からの流用により行う
。 』
(20110808 アクシデントマネジメント整備 pdf21枚目
(手順書類、、交換部品、、予備品、、工具の準備有り)
.pdf(p)
『(7) 手順書類
事故時運転操作手順、アクシデントマネジメントガイドライン、復旧手順ガイドラインなど。
(8) 技術図書類
配管計装線図、安全保護系ロジック一覧、プラント配置図など。
(9) 復旧活動に必要な資機材
・
必要となる交換部品の入手方法としては、発電所内の同じタイプの機器からの流用や
敷地内の予備品の使用を想定している
(
必要な工具等を管理区域内工具庫及び倉庫等
に準備している
)。 』
東電用語集:
(RHR(残留熱除去系): 原子炉を冷温停止に持ち込めるだけの能力を有している。
.pdf(p)
ところで、吉田所長はいわゆる吉田調書の中で、下記の発言をしている。
(20110729 いわゆる吉田調書 051 pdf5枚目
(無限大にあるのは海水 淡水は有限)
.pdf(p)
『 回答者 (略)冷やすのに
無限大にあるのは海水
しかないですから、
淡水は、この前もお話ししたように
有限で、どこかで尽きる
のは決まっていますから、もう海水を入れるしかない。もう有無なしの
話ですね。 』
「
淡水は有限でどこかで尽きる
」「
だから無限大にある海水を入れるしかない
」とのこ
とであるが、
海水が無限大にあるのに、なぜメルトダウンさせてしまったのか
?
海水が無限大にあると思って海水を入れていると、突然、下記の事態に直面する
、
(20180317 Nスペ
(そして冷却水は絞られた 「格納容器の保護」と「原子炉冷却継続」は両立しない)
.jpg(p))
海水が無限大にあったとしても使えるのは、たったの 2300㎥ である。
「
有限でどこかで尽きる
」のは「
淡水
」よりも「外部水源注水総量 2300㎥」の制限で
あり、こちらの方が先に尽きる。ろ過水が5000tあったとしても使えるのは、たったの
2300㎥ である。
なぜ、2300㎥ なのか
。格納容器を大きくすれば冷却可能時間は延びるがキリがないし、
安全対策が何重にも講じられメッタなことでは起きないような事故のために建設コスト
をかけることは得策ではないからである。
3日と15時間あれば残留熱除去系が修復され2300㎥ に達することはないとの想定で
、
設計され、手順書整備/要員配置/訓練が繰り返し行われ、これらのことは即実行に
移されること前提としているからである
。
しかるに、
吉田所長は、無限大にある海水を無限時間使う方法に想いが至っていなかった。
要は海水の使い方の問題である。
代替注水は、原子炉内の残留熱を格納容器内のプールへ移しているだけなので、2300㎥
という容量的制限があるが、
下記のようにすれば、無限大にある海水を、無限時間使うことができる。
5号機は本店主導で
RHR(残留熱除去系)を応急復旧:仮設水中ポンプは高圧電源車で駆動
.pdf(p)
つまり、
ア)原子炉内の冷却水(高温)を残留熱除去系のポンプで汲み出して熱交換器で除熱し
て原子炉へ戻すループを作る。
イ)海水を汲み上げて熱交換器で残留熱を受け取ってその熱を海へ戻すループを作る。
このようにすれば、
残留熱が熱交換器内で海水へ移動し海へ注がれる
ことになるので、
無限大にある海水を、無限時間使うことができる
のである。
上記のような仕組みを、3月15日午前6時までに作れば、前記3号機のメルトダウンは
避けられるのである。(理論上。代替注水に成功すれば。詳細後日。)
吉田所長は、
「
3月15日午前6時までにRHRを復旧しなければメルトダウンは避けられない
」
との具体的発信をし、本店および国の具体的全面支援を受けるべきであった。
(20110729 いわゆる吉田調書 051 pdf38枚目
(本店にしても、、ものすごい恨みつらみが残っていますから)
.pdf(p)
『 本店にしても、どこにしても、これだけの人間で
これだけのあれをしている
のにもかかわらず、実質的な、
効果的なレスキューが何もないという、ものすごい恨みつらみが残っていますから。 』
なんということはない。手順書を見れば、必然的にそこへ行き着く。それなのになぜ?
それにしても、
上記テレビ会議13日9時頃の、3号機への外部水源注水総量は ?
つまり、メルトダウンへのカウントダウンは何時間残っていたのか ?
(20120620 添付資料 pdf359枚目
(福島第一 3号機 プラントデータ推移)
.pdf(popup))
上記の中の、RCIC、HPCI、S/Cスプレイ、D/Wスプレイが外部水源に該当する。
(20120620 別紙2(主な時系列)pdf92枚目
(RCIC及びHPCIの原子炉注水ライン概要)
.pdf(popup))
RCIC及びHPCIの外部水源はCST(復水貯蔵タンク)である。
20110618 福島原子力発電所等の事故の発生と進展 pdf91枚目
(CST容量)
.pdf(popup)
3号機のCST容量は2500㎥(トン)である。
(20110516 4. 運転日誌等 3・4号機 pdf13枚目.pdf(popup))
『 3号機 CSTレベル 66.1% 』
3号機の事故時の復水貯蔵量は、2500㎥(トン) x 66.1% = 1653㎥(トン)であった。
上記、1653㎥(トン)が RCIC および HPCI の水源である。
20111220 3号機(事象ベース) 第12章 外部系統事故 12-4 全交流電源喪失 pdf59枚目 頁 12-4-11.pdf(popup)
『 表4-1 全交流電源喪失時の監視可能項目 』
『
腹水貯蔵タンク水位
直流 125V(B) 』
なお、HPCI停止時の上記
腹水貯蔵タンク水位
データがあれば、差分計算により外部水源注水量がわかるのであるが、
これが分からないので、下記の擬似計算をすることとした。
RCICおよびHPCIによる注水量は、熱量的に代替注水と同量が必要と考えられ、事故発生後、約42時間経過している
ので、(注水累積は 1175t。外部水源注水総量の制限までの残りは 2300t - 1175t = 1125t。)
残り時間は
、87時間 - 42時間 =
45時間
となるわけであるが、
格納容器の圧力上昇に伴う高温蒸気をベントで空中放出する代わりに、格納容器スプレイで冷やしているので、この
分だけ外部水源注水をしていることになり、この分だけ代替注水の残り時間が短くなる
。
S/Cスプレイ、D/Wスプレイについて、
(20120509 別紙-2 pdf100枚目 添付 10-2
(3号機の格納容器スプレイ流量 50㎥/h)
.pdf(popup))
3号機の格納容器(S/C、D/W)スプレイ流量は、いずれも50㎥/hであった。
(20120509 別紙-2 pdf102枚目 添付 11-2
(3号機の格納容器スプレイ時間 総合計約19時間)
.pdf(pop))
3号機の格納容器(S/C、D/W)スプレイ時間は、合計約19時間であったので、
格納容器(S/C、D/W)スプレイによる外部水源注水量は、950㎥(トン)である
。
この 950㎥(トン)は使い込みである。カウントダウンを早めたのである。
事故後20hr以降の代替注水必要量は25㎥(トン)/時であるので、
950㎥(トン) / 25㎥(トン) = 38時間の使い込みとなる。
残された時間は
、45時間 - 38時間 =
7時間
である。
外部水源注水総量制限到達時刻は、3月13日午後4時である。
上記は、当サイトの当初の算定 3月15日午前6時から大幅に早まっている
。
以上は、「いつまでに」が運転方法により流動的に動くことを意味しており
、
注水流量と注水累積の監視が極めて重要なことを意味している。
上記の「いつまでに」は各操作各作業の優先度を決め全体スケジュール
を決定する上での基軸である
。
1F
吉田所長
「
そういう細かい質問は今されると困るんで
・・・・・。別でやっていた
だけるとありがたい。
」
なお、3号機は代替注水への移行に失敗し、既にメルトダウンしてしまっている。
では、RHR(残留熱除去系)を応急復旧させるまでの間はどう
やって冷却するのか?
全電源喪失でも、消防自動車が無くても、原子炉の冷却が可能
(20111220 3号機(兆候ベース) 7. 不測事態「水位不明」pdf7枚目
(ろ過水タンクから水頭圧差で注水可能)
.pdf(p))
『(補9)RHRS ポンプが起動できない場合でも原子炉圧力が低い場合は注水ラインを構成すればろ過水タンクの
水頭圧差により雑用水系から原子炉へ注水することができる。』
原子炉圧力が高い場合は、自動車用バッテリー 10個 120Vをマルチ掛けしてSRVを一斉に開き急速減圧すればよい。
(20120620 本編 pdf221枚目
(主蒸気逃し安全弁SRV:(僅か)8.5Wで動作)
.pdf(popup))
水頭圧差は、
(20111017 東電「中期的安全確保の考え方」pdf41枚目
(ろ過水タンクはO.P.40800)
.pdf(popup))
ろ過水タンクは標高40.8mの小高い丘の上に設置されている。
(20120418 国会事故調(資料)pdf5枚目
(ろ過水タンク容量 8000kl x 2)
.pdf(popup))
ろ過水タンク容量は8,000トン。
3月13日9時20分頃
『 1F
吉田所長
「あの、
D/Dの水源は何だっけ?
」
1F 「
ろ過水
。」
1F 吉田所長「ろ過水。」
1F 「ろ過水だからでっかい。」
1F
吉田所長
「
何トンあんだっけ?
」
1F 「
5000t
」 』
当初、ろ過水は何トンあったのか?
(20120509 別紙-2 pdf102枚目 添付 11-2
(3号機の格納容器スプレイ時間 総合計約19時間)
.pdf(pop))
3号機の格納容器(S/C、D/W)スプレイ時間は、合計約19時間であり、
(20120509 別紙-2 pdf100枚目 添付 10-2
(3号機の格納容器スプレイ流量 50㎥/h)
.pdf(popup))
3号機の格納容器(S/C、D/W)スプレイ流量は、いずれも50㎥/hだったので、(50㎥/h) x 19時間 = 50㎥(トン)
格納容器(S/C、D/W)スプレイによる、ろ過水使用量は、950㎥(トン)
であるので、
当初、ろ過水は、5000㎥(トン) + 950㎥(トン) = 5950㎥(トン)
有ったことになる。
当初のろ過水
5950㎥(トン)
を代替注水に使って、1〜3号機を
何時間冷却できるのか?
格納容器の健全性確保前提で、
代替注水により原子炉を何時間冷やし続けられるかの試算:
なお、上記を時間を把握しておくことは、応急復旧計画を立てる上で極めて重要である。
以下、代替注水で原子炉を何時間冷やし続けられるかの試算根拠。
(20111220 1号機(シビアアクシデント) 2. pdf29枚目〜30枚目
(代替注水の場合の時間帯別必要注水量)
.pdf(p))
表中の「必要注水量」を継続注水し、次項「外部水源注水総量制限1700㎥」に達するまでの時間を計算すると、
約110時間(4日と14時間)となる。
(20111220 1号機(シビアアクシデント) 2. pdf33枚目〜34枚目
(外部水源注水総量制限1700㎥)
.pdf(popup))
(20111220 2号機(シビアアクシデント) 2. pdf33枚目〜34枚目
(代替注水の場合の時間帯別必要注水量)
.pdf(p))
表中の「必要注水量」を継続注水し、次項「外部水源注水総量制限2300㎥」に達するまでの時間を計算すると、
約87時間(3日と15時間)となる。
(20111220 2号機(シビアアクシデント) 2. pdf41枚目〜42枚目
(外部水源注水総量制限2300㎥)
.pdf(popup))
(20111220 3号機(シビアアクシデント) 2. pdf35枚目〜36枚目
(代替注水の場合の時間帯別必要注水量)
.pdf(p))
表中の「必要注水量」を継続注水し、次項「外部水源注水総量制限2300㎥」に達するまでの時間を計算すると、
約87時間(3日と15時間)となる。
(20111220 3号機(シビアアクシデント) 2. pdf43枚目〜45枚目
(外部水源注水総量制限2300㎥)
.pdf(popup))
以上、代替注水で原子炉を何時間冷やし続けられるかの試算根拠。
1号機:「外部水源注水総量制限1700㎥」に達するまで約110時間(4日と14時間)(多分、ベント込み)
2号機:「外部水源注水総量制限2300㎥」に達するまで約 87時間 (3日と15時間)(多分、ベント込み)
3号機:「外部水源注水総量制限2300㎥」に達するまで約 87時間 (3日と15時間)(多分、ベント込み)
但し、ろ過水は5950㎥しかないので、2号機および3号機に2300㎥ずつ割り当てることとした場合、
1号機への割り当ては1350㎥になり、時間にして約23時間のマイナスである。
当初の、ろ過水
5950㎥(トン)
を代替注水に使えば、
1〜3号機を3日と15時間(3月15日午前6時まで)
冷却することが可能な計算になる。
吉田所長がイメージしなければならないことは上記のことであり、
それにより所員落ち着かせると共に、その時間稼ぎの間に残留熱
除去系を復旧させるように指示を出さなければならない。
3月11日19時18分に、ろ過水タンク情報が発電所対策本部に報告されていた。
(20120620 別紙2(主な時系列)pdf43枚目〜44枚目
(11日 19:18、ろ過水タンク)
.pdf(popup))
『 11日 19:18、消防隊と発電班が
原子炉への注水に必要なFPラインを活かしたまま
、他のラインについてろ過水
タンクの出口弁を閉めたことが発電所対策本部に報告された。 』
上記の報告が所長に伝わっていないか所長が理解していなかったかのどちらかである。
そもそも、ろ過水タンク情報は、復旧全体をスケジューリングす
る上で自分で取りに行かなければならない必須情報であり、
そもそも
、
防火管理の観点から地震直後からろ過水タンク
、
D/D FP、消火系配管全体について、健全性の確認指示を行い
、
気にとめておかなければならなかったはずである
。
8000tタンクに5950tしかろ過水が残っていなかったのは、津波の漂流物で消火栓が破壊され水漏れが発生したからで
あり、破壊された消火栓への出口弁を全て閉めた時点での残りが、5950tであったと考えられる。
(20120711(注水流量と順序).html(popup))
2011年3月14日9時51分
『 東電本店「
官邸から指示が来てまして15分以内に連絡くださいということで、
それぞれのプラントにどれくらいの流量を入れようとしているのか
順番と目安量を教えてください
。」
吉田所長「
それ 今あなた聞いていなかった?
それは本店が決めるっていったよね
。
」 』
← これでは話にならない。
では、全電源喪失時にプラントの
代替運転
(
当サイト造語
)は
どうするのか?
「原子炉圧力」 → 原子炉建屋2階の計装ラックで直接読取可能。
「原子炉圧力」 → バッテリー2個24Vで代替計測が可能。
「原子炉圧力」 → 照明用小型発電機120V電源で直接読取可能。
「原子炉水位」 → バッテリー2個24Vで代替計測が可能。
「原子炉水位」 → 照明用小型発電機120V電源で直接読取可能。
「D/W圧力」 → 原子炉建屋2階の計装ラックで直接読取可能。
「D/W圧力」 → バッテリー2個24Vで代替計測が可能。
「D/W圧力」 → 照明用小型発電機120V電源で直接読取可能。
「S/P圧力」 → バッテリー2個24Vで代替計測が可能。
「S/P圧力」 → 照明用小型発電機120V電源で直接読取可能。
「S/P水温」 → 照明用小型発電機120V電源で直接読取可能。
「SR弁」 → バッテリー10個120Vで代替可能。
「格納容器外の弁」 → 手動で操作。
「ICが動作しているのかどうは分からない」 → 原子炉建屋2階の計装ラックの圧力計で圧力高なら停止中。
「バッテリー喪失中でICで原子炉を冷やせない」 → 原子炉建屋で2A弁3A弁を手動で開け。
「ポンプ電源喪失で代替注水が出来ない」 → ろ過水タンクとの水頭圧差で代替注水可能。
RHR応急復旧指示は出されていなかった - その1
吉田所長(=テレビ会議による東電の総意)は、
RHRの応急復旧をどのようにとらえていたのか、
(20110808 いわゆる吉田調書 1 pdf3枚目
(外部電源が復旧できれば、、 既存のRHRだとか、)
.pdf(pop))
『 質問者 (略)
3月16日の10時04分に本店優先順位の確認
と書いてあって、1番目が1F4号機のSFP、燃料プールへの注水、
2番目に外部電源の
復旧
、
3番目に電源車を入れるための養生
、4番目に1Fの1号機、3号機の燃料プール
への注水と優先順位が書き取られてるんですけれども、これは御記憶と比べてどうですか。 』
『 回答者 それでおおむね間違っていないと思います。 』
『 質問者 そうすると、外部電源の復旧というのが2番目の優先順位としてあって、3番
目の電源車を入れるためというところがあって、この辺りのところは1〜3号機になるん
ですか。電源車というのはどうゆうことなんですか 』
『 回答者 (略)
ただ、早く外部電源を復旧して生かせる機器を生かしたいということで、2番目の外部電
源の復旧工事にとりかかる。それはうちではできませんので、本店でやってもらうという
ことでお願いをしておった。それと同時に、
外部電源が復旧できれば
、それにぶら下がる
ポンプなどを使えるようにしましょう
。ですから、そこを両面で本店でやっていたという
のがずっと続いているんです。
私などはなかなか無理だと思っていたんだけれども、
既存のRHR
だとか、そういう既
存の本設設備を回してなんとかできないか、まだそのときはそういう考えだったんです
。
ですから、外部電源を復旧する
。場合によって外部電源が届かないところについては、3番
目にあるように電源車をもってきて、電気を供給して、
何とか復旧できる機器は復旧した
いというのが大きい軸だったんです
。ですから、外部電源というよりも、電源関係の復旧
が1つの軸だった。 』
3月16日午前10時時点においても、RHRの復旧優先順位は低く、
外部電源復旧の後ということになっていた
(電源車が有ったのに)。
これでは、当直長が完璧に運転操作をしたとしても、
メルトダウンの連鎖を防げないのは当然のことである
。
メルトダウンし、メルトスルーし、デブリの熱により格納容器が
損壊し、汚染水を汲み上げ続けねばならない状態に
3機共に
、
つまり
3機共に同じ最悪状態
に至ったのは、別に不思議ではない。
3月11日にRHR(1号機はSHC)の応急復旧指示が出されていれば、
炉心損傷に至らなかったり、メルトダウンはしてもメルトスルー
には至らなかったり、メルトスルーはしても格納容器損壊には至
らなかったり、
3機
それぞれだったに相違ない。
別にRHRでなくても良いのである。残留熱を外界へ放出する機能
を持つものであれば、継ぎ接ぎでも、手作りでも、バラックでも
、
なんでも良いのである
。
たったこれだけの構造で済むのである
。
それにしても、ヒアリングした時点の2011年8月8日においても所長は(東電は)RHRの
重要性を知らなかったのか、重要性を知った上でのあえての(演出としてRHRを軽くみ
せるための)発言かは不明。
なお、RHRの復旧は外部電源が復旧してからということにされていたわけであるが、
20120620 添付資料 pdf194枚目
(福島第一原子力発電所 外部電源復旧の経緯)
.pdf(popup)
1・2号機の外部電源復旧は、3月20日。3・4号機の外部電源復旧は、3月22日。
RHR応急復旧指示は出されていなかった - その2
発電所長は、RHR系の復旧指示を出していなかった。
20120620 別紙2(主な時系列)pdf18枚目
(「RHR復旧に関する対応状況」が無い)
.pdf(pop)
『 このような状況の中、
発電所長の指揮の下
、原子炉注水、格納容器ベント、電源復旧
といった
事故収束に向けた対応が行われた
。(詳細は、別資料「注水に関する対応状況」
「格納容器ベント操作に関する対応状況」「電源復旧に関する対応状況」参照) 』
上記「
電源復旧に関する対応状況
」の中にもRHR系復旧に関する記述はまったく無い。
なお、上記の中に原子炉への高圧注水が可能なSLC系の復旧作業をしていたという記述が出てくるが、
仮に、SLC系を復旧させたところで
SLCによる注水は一方通行なので
「外部水源注水総量」の制限があり、
ベストな運転をしていたとしても、15日午前6時以降は、注水不可になり、メルトダウンは避けられない。
1 号機から 3 号機の SLC 系の復旧作業は12日から14日まで続けられていたが、
結局、1 号機から 3 号機に SLC 系又は CRD 系を利用するには至らなかった(政府事故調(中間)211p)
。
「事故収束」とは「冷温停止」のことであり、「冷温停止」させるためには「残留熱除去系復旧」が必須である。
上記文中に「残留熱除去系復旧」という最重要項目が無い。
発電所長が、「残留熱除去系復旧」の指揮を発していないし、復旧作業の中に「残留熱除去系復旧」の動きが全く
無い。
報告書に
『
発電所長の指揮の下
、(略)、
事故収束に向けた対応が行われた
。』
と書くのであれば、
発電所長の指揮の中に「残留熱除去系復旧に関する対応状況」が絶対に含ま
れていなければならない。
どんなに「原子炉注水」を指揮したところで注水は行き詰まり、どんなに
「格納容器ベント」を指揮したところで格納容器は守られるが圧力容器は
守られず、どんなに「SLC電源復旧」を指揮したところで注水は行き詰まり、
上記の3指揮だけでは
、
事故は収束に向かわず、メルトダウンの連鎖は避けられない
。
報告書の上記の部分は
、
発電所長を体裁よく見せるための
、
誤魔化しの作文である
。
それにしても、
福島第一原発はどこでどのように復旧すべき設備を
間違えたのか?
(20120620 別紙2(主な時系列)pdf23〜pdf32枚目
(高圧注水が可能なSLC等を復旧することとし)
.pdf(p))
下記注。M/C高圧電源盤は 6.9kV、P/C低圧電源盤は 480V、高圧電源車は 6.9kV、低圧電源車は 100V。
なお、RHRモータは 6.9kV、RHRSモータも 6.9kV であり 高圧電源車も 6.9kV である。
『 <健全性確認結果の報告>
・ 11日20:56,運転員による点検結果と合わせて,以下の所内電源設備の状況が発電所対策本部に報告された。
1号機:M/C,P/C使用不可。
2号機:
P/Cは使用見込み有
。
M/C使用不可
。
3号機:M/C,P/C使用不可。
・ 所内電源及び外部電源の現場状況確認の結果,外部電源の早期の復旧は困難,また,D/G 本体や
M/C 等は
水没・浸水状態であり早期の復旧は困難
であることから,
使用可能な所内電源設備と電源車を用いた電源復
旧
を目指した。
・ 並行して,工務部門では 12 日から新福島変電所の復旧を初めとした外部電源復旧工事を開始した。』
『 【1,2 号機電源復旧の準備】
・
1,2号機
は原子炉への注水状況が不明で,3号機は原子炉への注水が行われていたことから,1,2 号機の電源
復旧を優先。11 日夕方から,復旧班は,ケーブル手配や
復旧機器の選定
等,電源復旧の準備作業を開始した。
使用見込みのある2号機P/Cのうち,接続されている負荷やケーブル敷設の作業性等から,2 号機 P/C(2C)
動力変圧器(6.9kV/480V)を用いて電源復旧を行うこととした
。11 日 23:00 頃,復旧班 2 名と協力企業1
名は,暗闇の中,懐中電灯を用いて現場調査を行い,2 号機タービン建屋の定期検査用仮設ケーブル貫通
口が使用可能であることを確認。その近傍の2 号機タービン建屋脇に高圧電源車を配置することとした。
復旧機器
としては,原子炉への高圧注水が可能なほう酸水注入系(
SLC
)等を復旧することとし
,
各機器につながる 480V 小容量低圧電源盤(以下,MCC)の位置など,電源供給の経路を確認。
(略)
同時期に別の部隊が SLC 側の絶縁抵抗を 1 号機 P/C にて測定し、使用可能であることを確認した。
(略)
・ 12日20:05,4号機P/Cが使用できる可能性があることを発電所対策本部に報告。
(略)
・
3号機
は、原子炉への高圧注水が可能な
SLC
ポンプや、PCV ベント弁、直流電源設備の充電盤等を復旧す
ることとした。』
↑ 1〜3号機のいずれもが、RHR系ではなくSLCを選択している。
20120620 添付資料 pdf537枚目
(福島第一 2〜5号機の設備構成の概要)
.pdf(popup)
1〜3号機の復旧機器は、必然性というよりも、作業のし易さ、
つまり、直せそうなところから直そうとしていたのである。
これは、大問題である。
これが大きなボタンの掛け違えでRHRをスッポリ忘れさせ、またこれが大きなくせ者で
、
何かやってる感を醸成させ、多大な作業を浪費させることになった
。
例え SLC を復旧させたところで外部水源であるので、S/Pの上部空間が埋まってしまえば、それ以上は使えない。
どんなに困難であっても、残留熱除去系を応急復旧させないことには、メルトダウンを防ぐことはできない。
最初から残留熱除去系の応急復旧に取り掛かるべきであった。
(20120620 添付資料 pdf554枚目
(東電用語集:SLC:ほう酸水注入系)
.pdf(pop))
『 原子炉運転中、何らかの原因で制御棒の挿入ができない場合に、中性子吸収能力の高い五ほう酸ナトリウム溶液
を注入して原子炉を停止させる制御棒のバックアップ装置。』
20111226 政府事故調(中間報告)4 東京電力福島第一原子力発電所における事故対処 pdf135枚目 .pdf(popup)
『 ② 他方、発電所対策本部復旧班は、
1号機及び2号機のSLC系等の電源を復旧するため、3 月 13 日 8 時 30 分頃
、
2C に接続した高圧電源車の再起動を試みたが、過電流リレーが動作したためケーブル損傷が判明し、
結局、送
電できなかった
。
(略)
③
3月14日11時1分頃
に3号機R/Bで水素ガスによると思われる爆発が発生する
までの間
、前記 ①(3号機SLC系)
及び ② の電源復旧作業を行っていたが
、
3 号機については
、 既に消防車を用いて原子炉への海水注入を開始し
ており、
結局、電源復旧によって SLC 系ポンプを起動させて SLC 系注水を実施することはなかった
。
その後も、3 号機 R/B の爆発の影響を受けるなどし、
結局、1 号機から 3 号機に SLC 系を利用するには至
らなかった
。』
3月14日午前中まで SLC 系の電源を復旧させるための工事を行なっていた。
筋違いの工事である。
東電報告書の「事故の要因」に対する反証
(20120620 本編(概要版)pdf35枚目
(事象面から見た安全機能喪失の要因)
.pdf(popup))
『 今回の事故は津波による浸水を起因として,多重の安全機能を同時に喪失したこ とで発生しており,
「
長時間におよぶ全交流電源と直流電源の同時喪失
」と「
長時間におよぶ非常用海水系の除熱機能の喪失
」が
事象面から見た要因である。 』
なにしろ東電の報告書は、嘘ばかりです。下記のように、3号機の直流電
源は使用可能だったではないですか。
(20120620 別紙2(主な時系列)pdf92〜101枚目
(3号機 直流電源は使用可能)
.pdf(p))
『
全交流電源が喪失したものの直流電源は影響なく使用可能
。この直流電源を運転制御に使用する原子炉隔離時
冷却系(以下,RCIC) 及び高圧注水系(以下,HPCI)を用い,操作手順書に基づいて原子炉水位の確保を実施した。』
東電はすべてを津波のせいにしようと企んでおり、その印象操作
を「概要版」で仕込んでいるのです。
津波で全滅したとの印象操作です。
津波による
「
長時間におよぶ全交流電源と直流電源の
同時喪失
」
と十把一絡げにするのは、
誤魔化しでしょう! 下記はいったい何なんですか?
(20120620 本編 pdf346枚目
(原子炉隔離時冷却系(RCIC) で2〜3日の対応時間を確保することはできた)
.pdf(p)
『
2、3号機では
、津波襲来後も原子炉隔離時冷却系(RCIC)などの高圧注水系が機能したことで、
2〜3日の対応時間を確保することはできた
』
(20120620 本編 pdf351枚目
(原子炉隔離時冷却系(RCIC)の長時間運転に成功した)
.pdf(popup))
『 今回、
2,3号機については
、原子炉隔離時冷却系の
長時間運転に成功した
が、 』
2〜3日の長時間運転に成功したとまで書いているではないですか?
要因の
「
長時間におよぶ全交流電源と直流電源の
同時喪失
」
はその後の運転ミスおよび復旧
設備選択ミスをすべて津波のせいと思わせようとの企みなのです。
なお、1号機では津波による
「
全交流電源と直流電源の
同時喪失
」
と読み取れる記述
があるのに、
下記のFAX報告は、原災法第15条報告義務違反だらけです。
20120914 2011年3月11日16時36分(原災法第15条-1報(FAX)).pdf(pop)
『 3月11日16時36分 原災法第15条報告 1、2号機
原子力緊急事態に該当する事象の種類:非常用炉心冷却装置注水不能
「1、2号機の原子炉水位の監視が出来ないことから、注水状況が分からないため、
念のために
「原災法15条」に該当すると判断しました」 』
注。
原災法第15条報告:内閣総理大臣による「緊急事態宣言」「避難勧告又は指示」に該当する事故の場合
報告先:経済産業大臣(→内閣総理大臣)、福島県知事、大熊町長、双葉町長 殿
原災法第10条通報:上記に至らない異常事態が発生した場合の通報(例:全交流電源の喪失)
全交流電源喪失の発生時刻は15時42分
であり、
「
全交流電源と直流電源の
同時喪失
」
というこ
とは、直流電源の喪失時刻も15時42分ということになり、
16時36分の15条報告
の中の
「原子力緊急事態に該当する事象の種類」の「 ⑩ 直流電源喪失(全喪失)」および
「 ⑬ 中央制御室等使用不能」には、既にマーキングが付されていなければならず、
また、15時42分の上記事象発生に基づく報告が原子力発電所から国へ即刻行われ、それ
に基づく原子力緊急事態宣言および住民避難指示が16時頃には国から出されていなけれ
ばならないはずであった。
それにしても前記
16時36分の15条報告
はまったく酷い。「念のため」どころではない。
完全に第15条、つまり避難指示対象の事象が
15時42分
に複数発生していたはずである。
上記
16時36分の15条報告
では事故の大きさと事実と窮状が本店にも国
へもまったく伝わらない。
これでは、直流制御電源で中央制御室からの操作が可能と受け取ら
れてしまう。
本来なら、「SR弁開放用、代替計測用のバッテリー1000個を自衛隊ヘリで至急頼む」と
書かれていてもおかしくない。
「長時間におよぶ全交流電源と直流電源の同時喪失」に対する、対応責任は、当直長にある。
「長時間におよぶ非常用海水系の除熱機能の喪失」に対する、対応責任は、発電所長にある。
「非常用海水系の除熱機能を長時間に渡り喪失」したままにしておけば、メルトダウンに至るのは、当然のことで、
「非常用海水系の除熱機能」を喪失したまま応急復旧せずにそのままにしておいて、
「長時間におよぶ非常用海水系の除熱機能の喪失」という書き方は全くの誤魔化しでしょう。
東電報告書の「事故原因」に対する反証
(20120620 本編(概要版)pdf38枚目
(事故原因)
.pdf(p))
『 <事故原因>
・
今回の福島第一1号機~3号機が炉心損傷事故に至った直接的な原因は
,
1号機では津波襲来によって早い段階で
全ての冷却手段を失った
ことであり,
2,3号機では
津波による瓦礫の散乱や1号機の水素爆発により作業環境が
悪化したため,
高圧炉心注水から安定的に冷却を継続する低圧炉心注水に移行できず
,
最終的に全ての冷却手段
を失ってしまったことである
。
・すなわち,
これまでの原子力発電所における事故への備えは,今般の津波による設備の機能喪失に対応できない
ものであった
。津波の想定高さについては,その時々の最新知見を踏まえて対策を施す努力をしてきた。この津
波の高さ想定では,自然現象である津波の不確かさを考慮していたものの,想定した津波高さを上回る津波の発
生までは発想することができず,事故の発生そのものを防ぐことができなかった。このように津波想定について
は結果的に甘さがあったと言わざるを得ず,
津波に対する備えが不十分であったことが今回の事故の根本的な原
因である
。 』
東電の事故原因に対する反証ーその1
『
1号機では津波襲来によって早い段階で全ての冷却手段を失った
』とのことであるが、
(20111206 別添2:保安調査 pdf8枚目
(IC:格納容器外の弁を手動で開けることは可能であったが、)
.pdf(p))
『 ②
現場で格納容器外の弁を手動で開けることは可能であった
が、
格納容器内の弁が閉まっている可能性があったことも背景にあった
とのこと。 』
直流電源喪失によりICが停止した際に、格納容器外の弁(2Aおよび3A)を手動で開けなかった理由
について『格納容器内の弁(1Aおよび4A)が閉まっている可能性があった』とのことであるが、
(20110909 1号機
(ICの弁、格納容器外(2Aおよび3A)、格納容器内(1Aおよび4A))
pdf34枚目 .pdf((p))
仮に格納容器内の弁が閉まっていたとしても、ICとして機能しないだけで、
格納容器外の弁(2Aおよび3A)を手動で開けることになんのリスクもない。
なお、
全交流電源に
加え、直流電源も喪失し、
全電源喪失となった
とのことであるので、全交流
電源が先に喪失し、後から制御電源である直流電源が喪失したとの実感が運
転員にはあったと思われる。この場合、格納容器内(1Aおよび4A)の弁は交
流電源駆動なので、交流電源が先に喪失していれば、
(1Aおよび4A)の弁は
運転状態を継続しそのまま開いている可能性が極めて高いことを運転員は実
感できていたのではないかと思われるが
。
(1Aおよび4A)が開いていたことはその後の18時18分の操作で明らかになっ
ている。
ちなみに、2A弁は電源断の瞬間に直流駆動で自動閉鎖し、3A弁は運転操作の
直流駆動で閉じた状態がそのまま続いていた。
すなわち、格納容器外の弁を手動で開けていれば、
事故の進展をそこで止めることができたのであり、
津波だけが原因とは言えない。たとえ津波被害が
あったとしても、原子炉冷却を続ける方法は存在
していたのである。
なお、IC再稼働の契機は以下のように何回かあった。
下記の原災法第15条報告は、内閣総理大臣に対して「原子力緊急事態宣言」および
「住民避難指示」の発出を要請する、福島第一原発からのFAXである。
20120914 2011年3月11日16時36分(原災法第15条-1報(FAX)).pdf(pop)
『 3月11日16時36分 原災法第15条報告 1、2号機
原子力緊急事態に該当する事象の種類:非常用炉心冷却装置注水不能
「1、2号機の原子炉
水位の監視が出来ない
ことから、注水状況が分からないため、
念のために
「原災法15条」に該当すると判断しました」 』
FAX原案を吟味しOKならば署名をするのは所長の役割ですが
『
念のために
』
とはいったいなんですか!
『
念のために
』
という曖昧な言葉は所長がFAXか
ら取り除かねばならないのと違いますか。
『
水位の監視が出来ない
』
ということならば、
圧力は正常なのか異常なのか
?
「
圧力も監視が出来ない
」ということならば、「原子炉建屋2階の計装ラック
で直接読取可能」なのでそこで見て来いということになり、7MPa以上なので
ICが止まっているのは確実ということになり、格納容器外の弁(2Aおよび3A)
を手動で開けろということになるでしょう
。
次に、
(20111202 (中間)本編 pdf100枚目 頁90
(1号機 3月11日の状況)
.pdf(popup))
『 16時40分頃から17時頃にかけて、それまで見えなかった原子炉水位(広帯域)が
一時的に確認(16時42分 TAF(有効燃料頂部)+250cm相当)できるようになり、
津波来襲前の水位より低下していることを確認した
。 』
16時42分時点で、通常水位よりどの位低下していたかというと、
(20120620 別紙2(主な時系列)pdf38枚目 頁36
(16:42 -90cm)
.pdf(popup))
広帯域水位計では、-90cmであるが、
(20111220 1号機(兆候ベース) 10. 参考資料 pdf2枚目 頁 10-2
( 原子炉水位計)
.pdf(popup))
1号機 広帯域水位計0cm = 燃料域水位計343cm 燃料域水位計0cm = TAF
1号機 通常水位は、広帯域水位計で94cm、燃料域水位計で437cm、TAF+437cm
同広帯域水位計では通常水位の表示が+94cmであるので、
16時42分時点で水位が通常水位から184cmも低下、TAF上の4割の冷却水が
既に失われてしまっており、
ICが停止していることに疑いの余地もない
。
格納容器外の弁(2Aおよび3A)を手動で開けなければいけないでしょうに!
ああ、それなのに、それなのに、下記のFAXはいったいなんですか?
20120914 2011年3月11日16時45分(原災法第15条-2報(FAX)).pdf(popup)
『 なお、
1号機については、水位監視が回復したことから原災法第15条事象を解除いたします
。 』
原災法第15条報告は住民避難指示に関する対外報告です。解除するなら
所長の特段の吟味が当然必要でしょう。「水位監視が回復したというな
ら、正常か異常か?」「184cmも水位が低下しているということは大変
じゃないか、ICの弁表示はどうなのか? ICを操作できるのかできないの
か? ICを機能させる方法は何かないのか?
手動で弁を開けろ
」という
ことになるでしょう。
さらに、
(20120620 別紙2(主な時系列)pdf38枚目 頁36
(ホワイトボード:16:57 -150cm)
.pdf(popup))
16時57分時点の水位計表示は、-150cm、つまり水位計の下限を振り切って
いて、この15分間で60cm低下しているので、毎分4cmの低下であり、
TAFまで250cm/4cm = 62.5分後には燃料の露出が始まる非常事態が発生して
いることが簡単に計算できるでしょう。
ああ、それなのに、それなのに、下記のFAXはいったいなんですか?
(20120914 2011年3月11日17時07分(原災法第15条-3報(FAX)).pdf(popup))
『 1号機については、再び原子炉
水位の監視ができない
ことから、注水状況がわからないため、
念のため
、原災法15条に該当すると判断しました 』
『
念のため
』とはいったいなんですか!
16時42分 + 62.5分 = 17時45分までに燃料露出が始まり、
放射能漏れが発生するのと違いますか。下記のように。
(20111202 (中間)本編 pdf100枚目 頁90
(1号機 3月11日の状況)
.pdf(p))
『 運転員が現場に向かったが、現場(原子炉建屋入口)の
線量レベルが
通常より高かったことから
、
17時50分
、一旦引き返した。 』
住民避難指示に該当するFAXなのに、国(国民)に対してこんないい加減な
FAXがありますか! 自治体の長にいったいどう行動せよと言うんですか!
一連のFAXは本店あるいは経産省の担当者がチェックを入れて直ちに訂正報
告させてしかるべきでしょう。
東電の事故原因に対する反証ーその2
『
3号機では、高圧炉心注水から安定的に冷却を継続する低圧炉心注水に移行できず
』と
のことであるが、低圧炉心注水への移行に失敗したのは、
運転操作手順書と逆の運転をしたからである。
先ず、3号機の津波直後の状況は、下記であり、
(20120620 別紙2(主な時系列)pdf92〜101枚目
(3号機 直流電源は使用可能)
.pdf(p))
『
全交流電源が喪失
したものの
直流電源は影響なく使用可能
。 』
上記のように、全交流電源が喪失し直流バッテリーが使用可能な場合の運転操作につい
ては、下記の注意事項がある。
(20111220 3号機(事象ベース) 第12章 外部系統事故 12-4 全交流電源喪失 pdf50〜pdf51枚目.pdf(popup))
頁 12-4-2
『 2.1 全般的な注意事項
(3)
8時間(注)以内に、外部電源又は非常用D/Gを復旧させれば
、炉心の損傷なしに収束させること
ができるので、不用意な運転操作によってRCIC、HPCIの運転継続を損なわせてはならない。
このため以下の点に注意する。
a. 原子炉水位、圧力等重要なパラメータの連続監視を行う。
b.
RCIC、HPCIのL-2/L-8による不必要な起動、停止を避ける
。
← バッテリー消費を避ける
c. 電源復旧し、低圧の非常用炉心冷却系(ECCS)が使用可能となるまで
原子炉の減圧を行わない
。
(注)
RCICとHPCIをシリーズに運転することにより給水能力は、8時間に延長することが可能
。 』
3.11の場合は8時間以内に交流電源が復旧する見通しはまったく立っていないので、
上記には該当しないが、3号機ではバッテリー消費を伴う原子炉減圧操作を避けると
いった運転を8時間を大幅に超えて行っていた。これでは、8時間以降に突然のバッテ
リー枯渇で、HPCIが起動不可になるのは時間の問題だし、SRVが不動作になるのも
時間の問題だし、低圧注水への移行に失敗するのも時間の問題である。
それでは、上記 3.11 のような場合にどのような運転をしなければならないかというと、
8時間後にはバッテリーが枯渇して、RCICも、HPCIも、運転不能になり、SRVも動作
しなくなって減圧ができなくなるので
、
8時間以内に減圧を完了して低圧の代替注水へ
の移行を完了しておかなければならない
。
運転操作手順書の下記部分を翻訳するとそのように書いてある。
(20111220 3号機(事象ベース) 第12章 外部系統事故 12-4 全交流電源喪失 pdf51枚目
(代替注水)
.pdf(pop))
頁 12-4-3
『 [参考事項] HPCI、RCIC運転不能時消化系による注水
消化系にはディーゼル駆動の消化ポンプを有しているため、全く他の注水系が使用できない場合には
代替注水
として使用することができる。しかし、ポンプ揚程が60数mのため、原子炉へ注水するには
原子炉の減圧が必要
となる。
従って、原子炉の減圧に必要なSRVの制御電源であるDC電源が枯渇する事故後8時間以降は注水系と
して期待できない
。 』
つまり、代替注水をしようとしたらDC電源が枯渇する前(原則事故後8時間以内)に、原子炉の減圧をして代替
注水への移行を完了しておかなければならない。なお、ポンプ揚程60数m = 数気圧 = 0.数MPa = 数百kPa である。
なお、DC電源枯渇前に、SRV開放用および原子炉水位等の下記監視項目代替監視電
源用の自動車バッテリーあるいは小型発電機120V電源をセッティングし、DC電源枯
渇に備えておかなければならない。
(20111220 3号機(事象ベース) 第12章 外部系統事故 12-4 全交流電源喪失 pdf59枚目 頁 12-4-11.pdf(pop))
『 表4-1 全交流電源喪失時の監視可能項目 』 『 逃し安全弁 直流 125V(A)、(B) 』
3.11の3号機は上記を考慮した
運転も備えもしていなかった
。
ここで、代替注水が可能な圧力に減圧するまでにどの位の時間がかかるかについて、
(20111225
(55℃/hを守りながら代替注水が可能な圧力に下げるまでの時間見積もり)
.html(p)
当サイトでは、上記のように最低2時間30分かかると試算した。
RCIC用バッテリーAは容量4時間であり、HPCI用バッテリーBも容量4時間であるので、
HPCIを予備と考え、RCICだけで減圧し低圧注水へ移行完了するのを運転目標としなけ
ればならない。
ところが「
RCICの起動停止によるバッテリー消費のリスク
を伴う
減圧操作
」をしてお
(20120620 添付資料 pdf359枚目
(福島第一 3号機 プラントデータ推移)
.pdf(popup))
らず、『 運転員は、RCICの起動停止によるバッテリー消費を避け 』た運転をしている。
つまり、余計な操作をしなければ、バッテリーが長持ちするとの消極的運転である。
なお、「バッテリー枯渇前に交流電源を確実に復旧させる」との情報があれば、ジタバ
タしない方が良い。
ちなみに、下記は福島第二原発のRCIC運転方針である。
(20120723 政府事故調 2
福島第一原子力発電所及び
第二原子力発電所における被害状況と事故対処 pdf148枚目.pdf(p)
福島第二 4号機の事故対処方針(福島第二 1号機および2号機も同じ方針を実行した)
『 当直長は、仮に、
原子炉圧力を高圧に維持したままの状態で
、
大地震や津
波その他の不測の事態により RCIC が作動しなくなった場合
、次なる低圧注
水手段に移行するために減圧操作をする間、原子炉への注水が途切れるので、
RCIC が作動している間に SR 弁による減圧操作を実施し、次の低圧注水が
可能となる原子炉圧力にまで減圧しておく必要があると判断した。
そこで、当直長は、原子炉が高圧である間、RCIC による注水を継続し、
SR 弁による減圧操作を繰り返して徐々に原子炉を減圧した上で、RCIC が自
動停止する前に他の低圧注水手段に切り替え、間断なく原子炉注水を実施し
ながら、
RHR の復旧を待つ
という方針で対応することとした。 』
福島第二原発は外部電源は喪失していなかったが、理にかなった減圧を
実施し、低圧注水に切り替え、低圧注水でRHRの復旧を見据えた時間稼
ぎをしている。その時間稼ぎの間に
自衛隊機によるモータ空輸
等を行い
RHRを復旧させ、メルトダウンを防いだ。
(20120620 添付資料 pdf365枚目
(福島第二 2号機 プラントデータ推移)
.pdf(pop))
以下、福島第一原発の運転方針および運転の詳細について
(20120620 別紙2(主な時系列)pdf92〜101枚目
(3号機 バッテリーの使い方に問題 消費を避ける→使え)
.pdf(p)
以下に、改めて3号機の運転方針および運転について、コメントを示す。
頁90 RCICの運転方針
pdf92.pdf(p)
← 減圧を想定していない。
『 ・ 運転員は、RCIC の起動停止によるバッテリー消費を避けること及び原子炉水位確保を安定して行うため、
原子炉水位高により自動停止に至らない措置、運転制御に必要なバッテリーを節約する措置を実施。 』
運転員は、RCICの起動停止を恐れず、原子炉圧力を減圧し、代替注水へ移行しなければならない。
頁92 3/12 11:36 RCIC 停止
pdf94.pdf(p)
← バッテリーA 消耗の可能性大
頁93 12 日 12:35、原子炉水位低により HPCI が自動起動
pdf94.pdf(p)
← バッテリーB 使用開始
頁93 HPCIの運転方針
pdf95.pdf(p)
『 ・ バッテリーの節約についても、RCICと同様に 』
← 減圧を想定していない。
運転員は、HPCIの起動停止を恐れず、原子炉圧力を減圧し、代替注水へ移行しなければならない。
原子炉圧力が高圧のままだと代替注水への移行が不可だし、
バッテリーがストンと落ちたらSRVによる減圧も不可になるので、メルトダウンの危機に直面する。
ちなみに、下記プラントデータで、HPCI運転中に原子炉圧力が急減している
(20120620 添付資料 pdf359枚目
(福島第一 3号機 プラントデータ推移)
.pdf(popup))
上記、原子炉圧力の低下について、低圧代替注水への移行のために意識的に減圧したものと思っていた
が、そうではなかった。東電の報告書には下記のような記述があり、意図的に減圧した分けではなく、
また
圧力低下を悪いことのように扱っている。4時間以内に圧力を低下させ代替注水へ移行しなければ、
バッテリーが枯渇し代替注水への移行は極めて困難になる。
これでは代替注水への移行に失敗したとしても不思議ではない。
(20120620 本編 pdf118枚目
(3号機HPCI連続運転による圧力低下)
.pdf(popup))
『 なお、福島第一3号機の高圧注水系の蒸気配管に関する地震の影響について、原子炉隔離時冷却系
が停止し、
高圧注水系が起動してから原子炉圧力が約7MPaから約1MPaまで低下している
ため、
3号機の高圧注水系の蒸気配管破断の可能性も含め確認を行った。この結果、運転員からの聞き取
りにより、実際に高圧注水系(HPCI)室に入室し異常が見られなかったことが確認され、高圧注
水系の蒸気配管に異常はなかったことが確認された。また、トーラス室(圧力抑制室が設置されて
いる部屋)にも蒸気配管が通っているが、高圧注水系が停止した後の13日朝に運転員が入室してお
り、配管が破断したような異常は認められていない。 』
上記HPCI運転時になぜ圧力低下が発生したかについて、RCICとHPCIを比較すると、
頁91 RCICの定格流量(25.2L/s)
pdf93.pdf(p)
『 原子炉水位が水位調整範囲の上側または下側に近づいたら流量の設定値を変更(定格流量(25.2L/s)
100%から約 75%の範囲)する方法を繰り返した。 』
25.2L/s = 1.512t/m = 90.72t/h
頁93 HPCIの定格流量(268L/s)
pdf95.pdf(p)
『 原子炉水位が水位調整範囲の上側または下側に近づいたら流量の設定値を変更(定格流量(268L/s)
100%から約 75%の範囲)する方法を繰り返した。 』
268L/s = 16.08t/m = 964.8t/h
HPCIの定格流量はRCICの定格流量の約10倍あるので、同様の運転を行うと、10倍の高圧蒸気が流れ出て、
10倍の冷却水が投入される。温度低下により圧力低下が発生しても別に不思議ではない。本来は代替注水
への移行準備をしておくべきだった。
頁93 注水方針
pdf95.pdf(p)
『 ・ 発電所対策本部と中央制御室は、既設設備での原子炉への注水手段を
RCICの後は、HPCI、HPCIの後はDDFPにより注水することを考えていた。 』
「HPCIの後はDDFP」ではなく、バッテリーがあるうちにRCICまたはHPCIで水位を確保しつつ減圧しDDFPに
移行しておかなければならない。何より、RHRが視野に入っておらず、DDFPの後がまったく見えていない。
注。RCICでCST復水貯蔵タンクの水を原子炉へ注入した冷却水の出て行く先も、 HPCIでCST復水貯蔵タンク
の水を原子炉へ注入した冷却水の出て行く先も、DDFPでろ過水タンクの水を原子炉へ注入した冷却水の
出て行く先も、最終的には、S/Pである。いずれの方法であったとしても、外部水源注入総量が2300㎥を
超え、S/Pの上部空間が満杯に近くなればベント弁が水没することになり、格納容器の健全性は失われる。
(20180317 NHKスペシャル
(なぜ注水を絞ったのか)
.jpg(popup))
注水を絞ったところでデブリの熱で格納容器が損壊し汚染水を汲み上げ
続けねばならないことになるだけの話である。
バッテリーの消費を抑えRCICを長時間運転したからといってその分だけ冷却総時間が延びる訳ではない
。
代替注水可能時間がその分だけ減るだけの話である
。
頁95 HPCIを停止。SRV動作せず。圧力下げられず。代替注水移行失敗。HPCI起動不可。
pdf97.pdf(p)
『 ・ 13 日 2:42、運転員は中央制御室の HPCI 制御盤にて、
HPCI の停止ボタンを押す
とともに HPCI タービ
ン蒸気入口弁を操作スイッチで全閉とし HPCIを停止した。 』
『 ・ HPCI から DDFP による代替原子炉注水に移行するために、13 日 2:45に中央制御室の SRV 制御盤にて
SRV1 弁の操作スイッチを開操作し、原子炉の減圧操作を試みるも、開動作せず
。
その後、SRV 全弁を
順次、操作スイッチにて開操作するが開動作しなかった
。
原子炉圧力が上昇し DDFP での注水ができ
ない
状況が発電所対策本部へ報告された。 』
←
バッテリーB 枯渇 SRV動作せず 減圧出来ず
『 ・ 13 日 3:35、運転員は、
HPCI
を起動しようと中央制御室の HPCI 制御盤を確認したところ、運転制御
のための FIC の表示が消灯しており
起動出来なかった
。 』
手順書に
『 原子炉の減圧に必要なSRVの制御電源であるDC電源が枯渇する事故後8時間以降は注水系として
期待できない。』
との記述があり、8時間以降は、いつバッテリーがストンと落ちても不思議はない。
これが
現実になった
。しかも、13日にもなるのにSRVを開くための代替措置としての自動車用バッテリー10個が事前
に準備されていなかった。
冷却水は沸騰し安全弁から吹き出す一方で、燃料露出は時間の問題である
。
(20120620 別紙2(主な時系列)pdf87〜91枚目
(3号機 TAF到達 3/13 4:15)
.pdf(popup)
『 3月13日 6:19
4:15に有効燃料頂部(TAF)に到達
したものと判断、官庁等に連絡 』
3号機のRPV破損時刻を下記2号機の予測を例に試算すると、
(20120914 2011年3月11日?時?分(原災法第15条-6報(FAX)).pdf(p)
『 2号機のTAF到達予想は、21時40分頃と評価しました。
炉心損傷開始:22時20分頃
RPV破損 :23時50分頃 』
← TAF到達から2時間10分後にRPV破損
3号機のRPV破損(底抜け、メルトスルー)予想時刻は6時25分ということになる。
(20120620 本編 pdf206〜207枚目
(SRV用バッテリーの準備がしてなく、泥縄)
.pdf(popup))
『 ・
消防車によって原子炉へ注水するためには、消防車の吐出圧力が低いため
、
主蒸気がし安全弁による原子炉圧力の減圧が必要であった
。(略)
・ このため、
13日7時頃、発電所対策本部の社員の自動車のバッテリーを
取り外して集め、発電所対策本部復旧班が中央制御室へ運搬した
。』
頁98〜頁99 自動車用バッテリーで減圧、DDFPによる注水を開始。
pdf100〜101.pdf(p)
『 13 日 9:08 頃、復旧班2名は、(SRVに)12V のバッテリーを 10 個直列に接続する作業を開始していたところ、
運転員が原子炉圧力の低下を確認した。(略)原子炉圧力の減圧により、DDFPによる注水を開始するとともに、
9:25 に消防車による注水を開始した。 』
原子炉冷却が6時間も停止していれば、メルトスルーが発生しても何の不思議もない。時既に遅し、である。
さて、上記一連の失敗を東電がどのように
うやむや
にしようと
しているかというと、下記PDFのように
ああだこうだ
で呆れる
ほかない。
RCICで減圧し、減圧しきれなかった場合はHPCIでさらに減圧
し、低圧注水へ移行していれば、
ああだこうだ
の下記PDFは不
要であった。
(20120620 本編(概要版 別添) pdf16〜pdf17枚目
(3号機「HPCIから代替注水への移行失敗」)
.pdf(p)
(20120620 本編 pdf221〜pdf224枚目
(3号機「HPCIから代替注水への移行失敗」のあきれた弁明)
.pdf(pop))
東電の事故原因に対する反証ーその3
『
最終的に全ての冷却手段を失ってしまったことである
。』とのことであるが、
全ての冷却手段を失ってしまうまでの時間は、何時間だったのか?
つまり、
RHRを応急復旧させるだけの時間が、全く無かったのか
?
東電は
『
2〜3日の対応時間を確保することはできた
。』
と言い、
(20120620 本編 pdf346枚目
(原子炉隔離時冷却系(RCIC) で2〜3日の対応時間を確保することはできた)
.pdf(p))
『
2、3号機では
、津波襲来後も原子炉隔離時冷却系(RCIC)などの高圧注水系が機能したことで、
2〜3日の
対応時間を確保することはできた
。 』
ついには
『
長時間運転に成功した
』
とまで誇っている。
(20120620 本編 pdf351枚目
(原子炉隔離時冷却系(RCIC)の長時間運転に成功した)
.pdf(popup))
『 今回、
2,3号機については
、原子炉隔離時冷却系の
長時間運転に成功した
が、 』
事実、2号機は、下記プラントデータが示すように、
(20120620 添付資料 pdf351枚目
(福島第一 2号機 プラントデータ推移)
.pdf(popup))
ほぼ3日間、原子炉水位は保たれ、この間、燃料は露出していない。
ならば、
3日以内
にRHRを応急復旧させれば、
2号機のメルトダウンは避けられた筈である。
下記、RHR応急復旧にどの位の時間がかかるものなのかについて
福島第
二
RHR応急復旧に要した時間
1号機 58時間 2分 = 2日と10時間 2分(モータ2機交換)
2号機 63時間51分 = 2日と15時間51分
4号機 72時間20分 =
3日と20分
(モータ1機交換)
上記、応急復旧の意味合いと、余裕がどれだけあったかについて
代替注水は原子炉の崩壊熱を格納容器へ移しているだけなので、
格納容器(D/W、S/C)の圧力が時事刻々上昇し、ベントの危機
が迫っていた。
福島第二 1号機 ベント寸前まで圧力が上昇、RHR がギリギリ間に合う
福島第二 2号機 ベント寸前まで圧力が上昇、RHR がギリギリ間に合う
福島第二 4号機 ベント寸前まで圧力が上昇、RHR がギリギリ間に合う
自衛隊ヘリで空輸した電源ケーブルを総延長9km敷設、電源車も使用
なお、自衛隊による支援がなかったら間に合わなかったかも知れない
格納容器圧力増、ベントまで残り2時間、電源ケーブルはつながれた
つまり、RHRの復旧は一刻の猶予もなく、慌てず騒がず、落ち着
いて行く先を見通し、ベントの迫る中にあっても粛々と作業を進
める知識と判断力と自信と胆力が必要である。
それにしても、福島第一2号機は、
なぜ、下記のようなことになったのか?
なんと、
2号機で、晴天の霹靂、
メルトダウン後の、3月26日になって、
(20130306開示 テレビ会議録画映像
(87-1:3月26日:2号機:残留熱除去系を生かせそう?)
.html(pop))
「その後、よくよく調べてみると・・・」
今更、何を言ってるの? 時すでに遅しでしょう。
残留熱除去系を3日以内に応急復旧させていれば、メルトダウンは避けられた可能性
大なのに。ああ、勿体無い。
下記資料では、RHR系が全滅したことになっているが、
20120620 添付資料 pdf297枚目
(2号機:非常用炉心冷却系 冠水状況)
.pdf(popup)
20120620 添付資料 pdf298枚目
(2号機:系統概略図)
.pdf(popup)
この中に使用可能なものがあったのではないのか?
RHR復旧指示の遅れを隠すために、津波で全滅したと
いうシナリオを作り、それに沿った嘘の被害データを
作り上げ、事実を覆い隠しているのではないのか?
3号機についても、下記資料では、RHR系が全滅したことになっているが、
20120620 添付資料 pdf299枚目
(3号機:非常用炉心冷却系 本体冠水状況)
.pdf(popup)
20120620 添付資料 pdf300枚目
(3号機:系統概略図)
.pdf(popup)
その後よくよく調べてみたら使えるものがあったのではないのか?
(20111226 政府事故調(中間報告)3
災害発生後の
組織的対応状況 pdf25
(3月27日には、「RHR 代替・回復チーム」)
.pdf(p)
『
3月27日
には、「RHR 代替・回復チーム」(
残留熱除去代替機能等の検討を行うチーム
)、、
が設置され
、』
「RHR 代替・回復チーム」(残留熱除去代替機能等の検討を行うチーム)は、
所長指示で11日夕刻に設置されていなければならなかった。
次項のいったい何がいけなかったのか?
東電の事故原因に対する反証ーその4
『
事故への備えは
、今般の津波による
設備の機能喪失に対応できないものであった
。
』と
のことであるが、
下記の備えのどこに問題があったのか? 何が
対応できなかった
のか?
(20111220
手順書の体系:事象整定(RHRによる除熱の確立)
.pdf(p)
どんなに過酷な事故もRHR(残留熱除去系)へ移行すれば事故は収束する。つまり、RHRを応急復旧させれ
ば、そこで事故の進展は止まる。逆にRHRを復旧させないことには、事故は次から次へと進展する。RHRの
復旧が遅れれば、炉心損傷、メルトダウン、メルトスルー、格納容器損壊へと事故は進展する。今般は、1
〜3号機のすべてが格納容器損壊へと進展してしまった。
残留熱除去系の復旧については、特に重要視され、手順書から資機材まで事細かく記述されている
。
(20110808 アクシデントマネジメント整備 pdf48枚目
(アクシデントマネジメント関連手順書の構成概要)
.pdf(popup)
『 安全確保上
特に重要な機能を有する残留熱除去系
』
(20110808 アクシデントマネジメント整備 pdf25〜pdf26枚目
(復旧手順ガイドライン RHR、、交換部品の入手は、)
.pdf(p
『 特に安全性確保上重要な機能を有し、
故障時にその機能を復旧することが極めて重要と考えられる残留熱
除去系
』
『 ④
交換部品の入手は、敷地内の予備品の使用、プラント内の他の機器からの流用により行う
。 』
(20110808 アクシデントマネジメント整備 pdf21枚目
(手順書類、、交換部品、、予備品、、工具の準備有り)
.pdf(p)
『(7) 手順書類
事故時運転操作手順、アクシデントマネジメントガイドライン、復旧手順ガイドラインなど。
(8) 技術図書類
配管計装線図、安全保護系ロジック一覧、プラント配置図など。
(9) 復旧活動に必要な資機材
・
必要となる交換部品の入手方法としては、発電所内の同じタイプの機器からの流用や
敷地内の予備品の使用を想定している
(
必要な工具等を管理区域内工具庫及び倉庫等
に準備している
)。 』
(20120620 本編 pdf77
(発電所長の権限と責任)
.pdf(popup))
『
発電所の緊急事態に対する応急復旧計画の立案と措置
、並びに事故拡大防止に必要な運転上の措置等の
実施は、原子力防災管理者である
発電所長に権限があり
、 』
権限があるということは
発電所長に応急復旧計画の立案と措置の責任がある
ということ
である。
*なお、下記のように、発電所長が不慣れな場合を想定し、法律に下方の条項が準備されている。
(20110808 いわゆる吉田調書 2 pdf19枚目
(実際に直接運転をやった経験がないものですから、)
.pdf(p)
(20110722 いわゆる吉田調書 020 pdf23枚目 頁23 .pdf(popup))
『 回答者
絶望していました
。 基本的には、私自身ですね。シビアアクシデントに入るわけですけれど
も、注水から言うと、
全部のECCSが使えなくて
、IC と RCIC が止まって、HPCIがありますけ
れども、それらが止まった後、バッテリーが止まった後、どうやって冷却するのかというのは、
検討しろという話はしていますけれども、自分で考えても、これというのがないんですね。
質問者 答えがない。
回答者 答えがないんです。』
← 手順書の体系に、RHRによる除熱と書いてあるんですけれども。
(20111106 いわゆる吉田調書 348 pdf58枚目〜59枚目
(手順書、、私は開いていません)
.pdf(pop))
吉田所長は
『
全部のECCSが使えなくて
』
で思考停止していた。「使えなくなったRHR(ECCS)を直せ」
と号令をかけるのが所長の役割である。
所長は冷温停止までのシナリオを示しゴールを示さなければ
ならない
。例えば「残留熱除去系を3日以内に復旧させるので、各当直長は数千トンのろ過水による代
替注水等で各号機を3日間なんとか持ち堪えて欲しい。」等。
ICも、RCICも、HPCIも、バッテリーが止まった後のろ過水タンクを使っての代替注水も、原子炉の運
転は長年の経験を積み
準国家試験みたいな形の当直長試験に合格している当直長の役割
である。あくまで
も機長は所長ではなく当直長なのである。
今般は当直長も冷温停止へのシナリオおよびゴールを提示し
ていなかった
ことが下記から明らかである。
(20120620 別紙2(主な時系列)pdf144〜pdf145枚目
(「我々がここにいる意味があるのか」)
.pdf(p)
『 ・ 恐怖心というより電源を失って何も出来なくなったと思った。若い運転員は不安そうだった。
「
操作もできず、手も足も出ないのに我々がここにいる意味があるのか、なぜここにいるのか
」
と紛糾した
。(最後はどう収めたのですかの問いに対して)
自分が「ここに残ってくれ」と頭を
下げた
。
続いて別の当直長も無言で頭を下げてくれた
。(略)。
・ 一部の人からここに残ってどうなるんですかという意見があり、他の人も口には出さないが同じ
ような思いだったと思う。気分が悪くなって横になった人もいて、その人は今も(注:聞き取り
時点)出社できない状況。 』
所長あるいは当直長あるいは所員あるいは本店あるいはテレビ会議が、冷温停止までのシナリオおよび
ゴールを提示していたら、上記のような「現場の声」は発生しないはずである。目標がはっきり示され
れば、人は動き頭を使い解決策をなんとか作り出すことになるものだと思うのであるが。
それにして
も
、
上記の「現場の声」はにわかには信じがたい
。
津波が想定外であることを強調するための脚色であ
るような気がしてならない
。運転員に当事者意識がまるで無いし、労働組合の団体交渉のようである。
*上記のように、発電所長が不慣れな場合を想定し、法律に下記の条項が準備されている。
(20100608 原子力災害対策特別措置法(事故前最終版).html(popup))
(原子力防災管理者)
第九条
原子力事業者は、その原子力事業所ごとに、原子力防災管理者を選任し、原子力防災組織を統括
させなければならない。
2
原子力防災管理者は、当該原子力事業所においてその事業の実施を統括管理する者をもって充てなけ
ればならない。
3
原子力事業者は
、
当該原子力事業所における原子力災害の発生又は拡大の防止に関する業務を適切に
遂行することができる管理的又は監督的地位にある者のうちから
、
副原子力防災管理者を選任し
、
原子
力防災組織の統括について、原子力防災管理者を
補佐
させなければならない
。
4
原子力事業者は
、
原子力防災管理者が当該原子力事業所内にいないときは
、
副原子力防災管理者に原
子力防災組織を統括させなければならない
。
*以上、発電所長が不慣れな場合を想定し、法律に上記の条項が準備されている。
前述の、2号機について、
(20130306開示 テレビ会議録画映像
(87-1:3月26日:2号機:残留熱除去系を生かせそう?)
.html(p))
「
対応できなかった
」のではなく「
対応していなかった
」のである。
福島第一原発は、RHRの非常用海水系ポンプについて、下記に示すように特段の
作業を行った様子は記述されていない。
20120620 本編 pdf128枚目
(非常用海水系ポンプの津波被害)
.pdf(popup)
『 ①
非常用海水系ポンプ
1号機から6号機は海水を利用することで
崩壊熱の除去を行う
構造になっている。また、一部の空冷式
を除き、非常用D/Gも海水を利用して機関の冷却を行う構造である。 このため、海水を取り込むための非
常用海水系ポンプ(格納容器冷却海水系ポンプ、
残留熱除去海水系ポンプ
、非常用D/G海水ポンプ)が海
側エリアに設置されている。
これらの非常用海水系ポンプを設置している海側エリアの敷地高さは O.P.+4mであり、津波高さの評価
結果を踏まえ、津波の高さ5.4~6.1mに対して機能を確保できるよう対策を講じていたものの、津波はそれ
を大幅に超えるものであったことから
これらのポンプのモータは冠水し、系統の機能を喪失した
。
なお、屋外海側エリアに設置されている非常用海水系ポンプ設備については、設備点検用クレーンの倒
壊、漂流物の衝突等によるポンプならびに付属機器の損傷、
モータ軸受潤滑油への海水の混入が確認され
、
たものもあったが
点検中で取り外していた4号機の残留熱除去海水系ポン プ(A、C)を除き、いずれも津波
を受けた後も据付場所に自立しており、ポンプ本体が流出したものはなかっ たなど、
非常用海水系ポンプ
の躯体の機械的損傷は限定的であった
。例えば、6号機のD/G(6A)冷却用の海水ポンプは平成23年3月18日
時点で特段の修理を行わずに起動することができたことから、その後の平成 23年3月19日、D/G(6A)を起
動することができた。 【添付7-2】 』
残留熱除去海水系ポンプについて
『モータは冠水し、系統の機能を喪失した。』
と言って
るだけで、壊れたものを直そうともせずに、下記のように無い物ねだりである。
(20110729 いわゆる吉田調書 051 pdf38枚目
(これだけの人間でこれだけのあれをしている)
.pdf(p)
『 本店にしても、どこにしても、これだけの人間で
これだけのあれをしている
のにもかかわらず、
実質的な、効果的なレスキューが何もないという、ものすごい恨みつらみが残っていますから。 』
プラントがどのような状態になっていてどのようなことになる見通しで、事故の
進展を止めるためには何が必要で本店に何を支援してもらいたいかをテレビ会議
で
具体的に表現
しなければ本店も何をしたら良いのかさっぱり分からない。
一方、福島第二原発は、下記に示すようにRHRの非常用海水ポンプについてどう
にか復旧させようと必死の作業をしている。
(20120723 政府事故調(最終報告)2
福島第一原子力発電所及び
第二原子力発電所における被害状況と事故対処 pdf154枚目.pdf(p)
『
第二発電所対策本部復旧班では
、(略)、津波の襲来を懸念して、(略)、
3月11日 22 時頃に
、(略)、
RHR の起動に必要な非常用海水ポンプの状況確認を開始した
。そして、同月 12 日未明頃以降、第二発電
所対策本部は、RHRCポンプ、RHRSポンプ及び EECWポンプの
モーターについて絶縁抵抗測定
を開始し、
その測定結果を第二発電所対策本部内のホワイトボードに書き出すなどして、非常用海水ポンプの使用の
可否を選別し、
絶縁抵抗のないモーターについては
真水で洗浄
するとともに、洗浄作業と並行して代替の
モーターを手配
するという方針で作業を進めた。
そして、同日朝方頃までに各号機の詳細な被害状況が判明し、その被害状況を踏まえ、第二発電所対策
本部復旧班は、1号機、2号機及び4号機の RHRについて、A 系又は B 系のどちらの系統を復旧するかの
検討を行った。
以下、略 』
「
対応できなかった
」というのならば、何が対応できなかったのか、
検討はしたが、どうにもこうにもしようがなかったということであ
るならば、それは、物品か?、電源か?、配管か?、弁の開け閉め
か、計測か、構造上の問題か?、人員か?、あるいは、どこまで進
んでいてどこで行き詰まったのか?、を東電は明らかにしなければ
ならない。
それが本当の事故原因である
。
1号機についても、
「
対応できなかった
」のではなく「
対応していなかった
」のである。
「
対応できなかった
」というのならば、何が対応できなかったのか、
検討はしたが、どうにもこうにもしようがなかったということであ
るならば、それは、物品か?、電源か?、配管か?、弁の開け閉め
か、計測か、構造上の問題か?、人員か?、あるいは、どこまで進
んでいてどこで行き詰まったのか?、を東電は明らかにしなければ
ならない。
それが本当の事故原因である
。
3号機についても、
「
対応できなかった
」のではなく「
対応していなかった
」のである。
「
対応できなかった
」というのならば、何が対応できなかったのか、
検討はしたが、どうにもこうにもしようがなかったということであ
るならば、それは、物品か?、電源か?、配管か?、弁の開け閉め
か、計測か、構造上の問題か?、人員か?、あるいは、どこまで進
んでいてどこで行き詰まったのか?、を東電は明らかにしなければ
ならない。
それが本当の事故原因である
。
東電の事故原因に対する反証ーその5
『
津波に対する備えが不十分であったことが今回の事故の根本的な原因である
。
』と
のことであるが、
津波は決して致命傷ではなかった。
その証拠に、
(20120620 本編 pdf346枚目
( RCIC で2〜3日の対応時間を確保することはできた)
.pdf(popup))
『
2、3号機では
、津波襲来後も原子炉隔離時冷却系(RCIC)などの高圧注水系が機能したことで、
2〜3日の対応時間を確保することはできた
。 』
2〜3号機では、
2〜3日の対応時間を確保することはできた
とのことである。
1号機についても、格納容器外の弁を手動で開けていれば冷却を継続できたであろうことは前述した通りである。
では「
対応時間の確保
」とはいったいどういう意味か。
RCICもHPCIも代替注水も、原子炉の崩壊熱を格納容器のS/Pへ移すことにより時限的に
燃料損傷を防いでいるだけの
時間稼ぎ
に過ぎず、いずれメルトダウンに至る。この時間稼
ぎの間に何をしなければならないかというと、
原子炉の崩壊熱をプラント外へ恒久的に放
熱するRHR
を応急復旧させなければならない。
では、せっかく確保した2〜3日の対応時間内になぜ RHR の
応急復旧が出来なかったのか?
それがなんと、RHRの復旧には全く手が付けられておらず、
SLCの復旧を行なっていた。
1 号機から 3 号機の SLC 系の復旧作業は12日から14日まで続けられていたが、
結局、1 号機から 3 号機に SLC 系又は CRD 系を利用するには至らなかった(政府事故調(中間)211p)
。
これでは、仮に完璧な運転操作をしたとしても、あるいは
それなりの運転をしてそれなりの時間稼ぎをしたとしても
、
十分なろ過水を残したままで、1号機と3号機は既にメルトダウンさせてしまっていた。
3月14日午前7時30分頃:所長「ろ過水が2000t残ってます」
メルトダウンは避けられない。
11日にRHR応急復旧指示が出されていたとして、復旧が間に合う
可能性が有ったとすれば、事故の根本的原因は「人災」であり、
プラントには弱点が無かったということの証明になる
。つまり、
津波如きに根本的に負けないプラントだったということになる。
福島第二原発も、合計3機が
住民避難指示
を出さざる
を得ないほどの甚大な
津波被害
に見舞われていた。
(20110812 東電「
福島第二
」
pdf2枚目(部分)
(1号機:津波被害)
.pdf(p))
上記は福島第二原発の1号機の例であるが、RHRの海水系については津波により電源盤が全滅し、モータも半数以上が
冠水していた。なお、2号機と4号機が同様の被害を受けていた。
(20120723 政府事故調(最終報告)2
福島第一原子力発電所及び
第二原子力発電所における被害状況と事故対処 pdf153枚目〜168枚目.pdf(p))
『 増田所長は、1号機、2号機及び4号機のRHRについて、A系又はB系のいずれか1系統を速やかに復旧するよう指
示した。この指示を受け、第二発電所対策本部復旧班は、3月11日夕方頃からRHR復旧に向けた検討を開始した。』
残留熱除去系(RHR)の応急復旧のために、自衛隊に支援を要請。
(20110312
自衛隊「原子力災害派遣による活動」
.html(popup))
『(12日)02時25分 東京電力のケーブルを輸送するための第1ヘリコプター団のCH47x3機が霞ヶ浦飛行場へ
到着。到着後、ケーブルを搭載し、
福島第2原子力発電所
へ輸送予定。 』
注。被水した電源盤を迂回してモータに給電するための電源ケーブルが必要になっていた。
『(12日)22時07分 第1輸送航空隊(小牧)のCー130x1機が冷水ポンプ用のモーター3個を福島へ輸送。
じ後、陸上自衛隊の車両で輸送。』
注。
福島第2原子力発電所
の要請による空輸および陸送。
(20120723 政府事故調(最終報告)2
pdf165枚目
(福島第二:仮設電源ケーブル敷設ルート(略図))
.pdf(pop)
(20120723 政府事故調(最終報告)2
pdf166枚目
(第二原子力発電所:(1号機に危機迫る。正に綱渡り))
.pdf(p)
1号機のEECWポンプ(1B)の復旧が間に合わない。格納容器の圧力が上がり続け爆発の危険が迫っている。
ベントをすれば格納容器の圧力は下げられるが、風評被害は避けられない。爆発の危険は迫る。ベントは避けたい。
軸受冷却用のポンプ復旧を待てず、軸受焼き付きのリスクを冒し、RHR起動に踏み切り、格納容器の冷却を開始した。
EECWポンプ(1B)は、この20分後に復旧した。20分待てない程に事態は緊迫していたのである。
ちなみに、EECWポンプ(1B)の
モータは
自衛隊機で空輸したモータ
であり、
電源は
高圧電源車+変圧器
であり、
これらを接続した
電源ケーブルは
自衛隊ヘリで空輸
したものであった。
自衛隊の支援がなければ、ベントが避けられなかったに相違なく、メルトダウンに至っていても何の不思議もない。
メルトダウンを防ぐために何が必要か、
そしてそのために必要な物品は何処に有るか、そしてそれら必要な資機材を
どうやって運ぶか
、
そしてどうやって工事を間に合わせるか
、
手順書に記載の無い問題を次々に解かねばならない
。
そしてそれを解いた
。
手順書に記載の無い問題を解くためにこそ人間はそこにいるのである
。
追記。福島第二 4号機のRHRCポンプ(B)のモータは、柏崎刈羽原発からの陸送によるものである。福島第二は八方
手を尽くしていた。その結果、間に合ったのである。 住民避難指示は出されたものの、ベントは避けられたのである。
福島第二 1号機 RHR残留熱除去海水系の応急復旧工事内容。
RHRCポンプ
モータ:自衛隊機で空輸
電源:放射性廃棄物処理建屋から電源ケーブルを敷設し供給。
RHRSポンプ モータ:使用可能だった 電源:放射性廃棄物処理建屋から電源ケーブルを敷設し供給。
EECWポンプ
モータ:自衛隊機で空輸
電源:高圧電源車+変圧器
の構成で電源ケーブルを敷設し供給。
福島第二 2号機 RHR残留熱除去海水系の応急復旧工事内容。
RHRCポンプ モータ:使用可能だった 電源:放射性廃棄物処理建屋から電源ケーブルを敷設し供給。
RHRSポンプ モータ:使用可能だった 電源:放射性廃棄物処理建屋から電源ケーブルを敷設し供給。
EECWポンプ モータ:使用可能だった 電源:3号機の空き端子から電源ケーブルを敷設し供給。
福島第二 4号機 RHR残留熱除去海水系の応急復旧工事内容。
RHRCポンプ
モータ:柏崎刈羽から陸送
電源:3号機の空き端子から電源ケーブルを敷設し供給。
RHRSポンプ モータ:使用可能だった 電源:3号機の空き端子から電源ケーブルを敷設し供給。
EECWポンプ モータ:使用可能だった
電源:高圧電源車+変圧器
の構成で電源ケーブルを敷設し供給。
注。
高圧電源車+変圧器
を使用したのは、480V電源の空き端子が被水で数が足りなくなっていたからである。
なお、電源ケーブルは自衛隊ヘリで空輸したものであり、電源ケーブル敷設総延長は福島第二全体で9kmに及んだ。
20120620 別紙2(主な時系列)pdf128枚目〜143枚目
(福島第二 主な時系列等)
.pdf(popup)
福島第二 :RHR応急復旧時刻 :RHR応急復旧に要した時間
1号機 :3月14日(月) 1時24分 :津波第一波から、58時間 2分後 = 2日と10時間 2分後
2号機 :3月14日(月) 7時13分 :津波第一波から、63時間51分後 = 2日と15時間51分後
4号機 :3月14日(月)15時42分 :津波第一波から、72時間20分後 = 3日と20分後
(20120620 添付資料 pdf364枚目
(福島第二 1号機 プラントデータ推移)
.pdf(popup))
代替注水続行で格納容器圧力が上昇、ほぼ設計圧力に達しベントギリギリであるが、RHR復旧により圧力は低下。
(20120620 添付資料 pdf365枚目
(福島第二 2号機 プラントデータ推移)
.pdf(popup))
代替注水続行で格納容器圧力が上昇、ほぼ設計圧力に達しベントギリギリであるが、RHR復旧により圧力は低下。
(20120620 添付資料 pdf367枚目
(福島第二 4号機 プラントデータ推移)
.pdf(popup))
代替注水続行で格納容器圧力が上昇、ほぼ設計圧力に達しベントギリギリであるが、RHR復旧により圧力は低下。
(20140525 報ステS F2-1
(ベントまで2時間、電源ケーブルはつながれた。)
.pdf(pop))
上記の復旧時間短縮には、自衛隊機によるモータ空輸、自衛隊ヘリによる電源ケーブル空輸が大きく貢献している。
なお、特記すべきは、
外部電源を喪失した福島第一原発が高圧電源車を使うことなく、
外部電源を喪失しなかった福島第二原発が
高圧電源車+変圧器
を使って RHR を応急復旧させていることである。これは、津波
で 1、2、4号機の海水系480V端子が全滅し、480V端子が足り
なかったことによる。
福島第二原発は、
手順書を超える事態に手順書をベースにし
絶望することなくうらみつらみも持たず慌てず騒がず冷静に、
対処した。
人間がそこにいるのは、想定外の事態に対処するためである。
想定外の事態に対処するために、人間がそこにいるのである。
(20110812 東電「
福島第二原発
」
( 1号機:RHRのB系統を応急復旧させ、メルトダウンを防いだ )
.pdf(p))
(20110812 東電「
福島第二原発
」
( 2号機:RHRのB系統を応急復旧させ、メルトダウンを防いだ )
.pdf(p))
(20110812 東電「
福島第二原発
」
( 4号機:RHRのB系統を応急復旧させ、メルトダウンを防いだ )
.pdf(p))
福島第一原発は、被災したRHR海水系をそのまま放っておいた。
(20120620 東電「
福島第一原発
」
( 2号機:RHR系統はそのまま放っておかれた。メルトダウン必至 )
.pdf(p))
(20120620 東電「
福島第一原発
」
( 3号機:RHR系統はそのまま放っておかれた。メルトダウン必至 )
.pdf(p))
福島第二原発は、海水系の構成が複雑であり、復旧必要台数が多い。
(20110812 東電「
福島第二原発
」
( 1号機:RHR海水系は1系統につき3台を復旧させる必要がある。)
.pdf(p))
注。RHR海水系の電源はすべて仮設電源であり、
高圧電源車+変圧器
も使用しての応急復旧である。
福島第一原発は、海水系の構成がシンプルであり、復旧させやすい。
福島第二原発の、半分以下の作業量ですむ。
(20120620 東電「
福島第一原発
」
( 2号機:RHR海水系は1台を復旧させればそれだけで済む。)
.pdf(p))
福島第一原発は、絶海孤島の無人原発ではなく、そこには事故当時
関連企業含め数千人の人間がいた。そして、
20120620 添付資料 pdf74枚目
(1号機における設備・機器の主な取替・修理実績)
.pdf(popup)
福島第一原発は
、
原発修理工場
でもある。
たいていの設備・機器は、取替・修理ができる
。
壊れたら直せば良いのである
。絶望せず慌てず騒がず恨まず、粛々と直せば良いのである。
手順書類、交換部品、工具、等々については前記の通り整備されていた。
RHRおよびRHRSのモータ電源は、6.9kV、
(20110909 3号機 添付資料 pdf28枚目
(福島第一 3号機:RHRSの電源は6.9kV)
.pdf(pop))
下記のように、高圧電源車は、6.9kVなので、高圧電源車で直接ポンプを動かせる。(変圧器不要)
(20111226 政府事故調(中間報告)4
東京電力福島第一原子力発電所における事故対処
pdf85枚目
(電源車:6,900V用の高圧電源車、100V用の低圧電源車)
.pdf(p))
電源車の規格については、6,900V用の高圧電源車、100V用の低圧電源車は一般に存在する、、、
(20120620 添付資料 pdf431枚目
(福島第一 資機材の運送状況(電源車))
.pdf(popup))
高圧?V 低圧?V
(なぜ、電圧が書いてないのか?)(なぜ、電源車を使わなかったのか?)
(20120620 別紙2(主な時系列)pdf27枚目
(発電所構外企業事務所から高圧側ケーブルをドラムごと)
.pdf(p)
電源ケーブルは有った。電源盤が被水していたら、電源ケーブルを敷設すれば良い。
なお、重要なことは、既存のRHRに、こだわらなくても良いということです。とにかく、
プラントの熱を外部へ継続的に放出する簡単な機能
を作れば、バラックでも継ぎ接ぎで
も仮設でもなんでも良いのです。
外部電源が喪失し、津波が13mではなく8mだった場合をシミュレーションすると、
20120620 本編(概要版)pdf17枚目
(主要建屋への浸水経路)
.pdf(p)アップロード未了
上記のように敷地の高さが10mあるので、建屋への津波侵入はなく、1号機2号機3号機のDC125V電源は
健在であり、IC、RCIC、HPCI、による原子炉冷却は、条件付きで可能である。また非常用ディーゼル発
電機本体自体は被水することはないが、
20120620 本編 pdf128枚目
(非常用海水系ポンプ)
.pdf(popup)
『 これらの非常用海水系ポンプを設置している海側エリアの敷地高さは O.P.+4mであり、津波高さの評価
結果を踏まえ、津波の高さ5.4~6.1mに対して機能を確保できるよう対策を講じていた 』
非常用ディーゼル発電機の冷却海水ポンプが被水することにより、
20120620 添付資料 pdf536枚目
(福島第一 1号機の設備構成の概要)
.pdf(popup)
1号機は、全交流電源喪失になり、
20120620 添付資料 pdf537枚目
(福島第一 2〜5号機の設備構成の概要)
.pdf(popup)
2号機は、空冷の2Bのみとなり、3号機は、全交流電源喪失となり、4号機は、空冷の4Bのみとなる。
但し、
20110808 アクシデントマネジメント整備報告書 pdf46枚目
(電源の融通)
.pdf(popup)
1号機については、2号機の空冷2Bから1号機へ電源融通すれば、1号機のICは直流電源が枯渇する事なく
長時間運転が可能になる。
1号機の場合、原子炉の残留熱を熱交換器を介してプラント外の空中へ放出するICを持っているので
、
外部水源注水総量制限を受けず、ICタンクへ水を補給しさえすれば、無制限に近い冷却が可能である
。
2号機については、空冷2Bの交流電源により直流電源が枯渇する事なくRCICおよびHPCIによる冷却が可
能であるが、外部水源であるCSTが枯渇する前にろ過水タンクからの代替注水に切り替える必要がある。
2号機の場合、外部水源注水総量制限を受けるので、3日と15時間以内に被水したRHR系のポンプを交換
しRHR系を復旧させ、原子炉の残留熱を熱交換器を介して海水へ放出する機能を回復させておくことが
必須である
。
3号機については、4号機の空冷4Bから3号機へ電源融通すれば、3号機は直流電源が枯渇する事なく
RCICおよびHPCIによる冷却が可能であるが、外部水源であるCSTが枯渇する前にろ過水タンクからの
代替注水に切り替える必要がある。
3号機の場合、外部水源注水総量制限を受けるので、3日と15時間以内に被水したRHR系のポンプを交換
しRHR系を復旧させ、原子炉の残留熱を熱交換器を介して海水へ放出する機能を回復させておくことが
必須である
。
つまり、
交流電源が活きていたとしても
、
直流電源が活きていたとしても
、
2号機と3号機においては、RHR系を復旧させないことには、メルトダウンは避けられな
いのである
。
RHR系応急復旧に残された時間は、3日と15時間しかないけれども、
3日と15時間もあるのである。
ちなみに、福島第二原発は、交流電源も直流電源も活きていたが、
RHRの海水系ポンプが津波により機能を喪失したため、3機にメル
トダウンの危機が迫っていた。これを辛くも逃げ切った。
(20130709 東電「
福島第二原子力発電所はなぜ過酷事故を免れたのか
」.html(popup))
『
格納容器内に蒸気(熱)を溜めておける時間内に
海水ポンプ等の復旧に成功した
。 』
上記の
『
格納容器内に蒸気(熱)を溜めておける時間内に
』
とは、
外部水源注水総量制限に達する時間内に
、
と言う意味であり、その時間内に
『
海水ポンプ等の復旧に成功した
』
からメルトダウンが防げたのである。
では、
全電源が喪失した場合はどうか
。
(20111220 3号機(兆候ベース) 7. 不測事態「水位不明」pdf7枚目
(ろ過水タンクから水頭圧差で注水可能)
.pdf(p)
『(補9)RHRS ポンプが起動できない場合でも原子炉圧力が低い場合は注水ラインを構成すればろ過水タンクの
水頭圧差により雑用水系から原子炉へ注水することができる。』
RHR系応急復旧に残された時間は、3日と15時間しかないけれども、
3日と15時間もあるのである。
(20130329開示 テレビ会議録画映像
(本33-2:3月14日:ろ過水が2000t残っている)
.html(pop)
つまり、電源があろうが無かろうが、RHR系応急復旧に残された時
間は、3日と15時間しかないけれども、3日と15時間もあるのである。
これが、このプラントの
絶対限界
であると同時に
しなやかさ
でもある。
これを把握していたかいなかったかがその集団の
運命を分けたのである。
そして、多くの人々の運命を分けたのである。
それにしても、解けないナゾが残る。
なぜ、所長を支える所員が残留熱除去系の重要性を進言しなかったのか?
なぜ、本店の技術系社員が残留熱除去系の重要性を進言しなかったのか?
所長の人柄がそれを避けさせたのか
?
所長が全てを網羅していると信じていたのか
?
それとも、残留熱除去系を復旧させられない絶対的な理由があったのか
?
もし、それがあったとすれば、それは原子力プラントそのものを否定することになる
。
このナゾを明らかにしなければ、新潟県でも同じことを繰り返す。
高校野球で優勝校が翌年予選敗退することがある。人員交代に伴い技術レベルがガク
ンと落ちるからであるが、福島第一事故の場合は何か様子が違う。
外部電源が復旧すれば何もかもが一挙に解決するかのような共同幻想に全員が巻き込
まれていってしまったようにも思われるが、集団心理的にも、行動科学的にも、世に
も不思議な出来事であり現象でもある。
全員参加のテレビ会議で「SLCじゃない。RHRを直せ」
と誰かが言えば、メルトダウンの連鎖が避けられて、
何十兆円もの日本の損失が防げた可能性がある。
たった一人の
、
たった
、
一言で
。
最後は人間なのである。人間が原因なのである。
試練に耐えた福島第二原発は、再生可能エネルギーへの繋ぎとして、
再稼働有りである。
福島第二原発の廃炉が、福島第一原発の事故原因うやむやの免罪符
としての廃炉であるならば、時節柄、もったいないし、東電の未来
は無い。